老いと勘違いしてしまう
二十歳を超え、なんだか老いを感じることがぽつぽつと出始めたなあと感じる。それは本当は老いではなく、心や時間の余裕から始めた自省を、身体的な側面から行った結果なのであるが、私たちは時の流れと共に手放したものも、失ったものも、全て老いと括ってしまう傾向にある。
私がもっぱら感じているのは、笑い飛ばす力が減ったことである。
他人のミスも、自分のミスも、笑い飛ばすことが前より難しくなった。読み間違いを指摘されては、え、こっちが本当って最近見たけど、なんて阿呆らしいハッタリをかましたりするもんだから、本当に参ってしまう。あはは、間違ってしまったよ、恥ずかしい、なんて素直に認めて笑い飛ばせばいいものを、なんだか悔しくて、自分の積み重ねが突かれてグラつくのが嫌で、見栄を張ってしまうのだ。
他人のミスに関しては、自分の中であれこれ原因を推測するあまり、壮大な話と捉えたがる傾向が出てきた。部下が少し同じようなミスを重ねただけで、これが苦手なのだろうか、どうして苦手になったのだろうか、原点はどこにあるのか、なんて一人でぐるぐると無駄に脳を回すことが増えた。部下の歩んできた人生まで推測したり、ひどい時には直接尋ねたりなんかもする。厄介な人間だ、原因なぞ解明に時間がかかるし、時間をかけてもさほど大きな影響は無い。なぜならば、当たり前たまが、ミスの発端は本人の問題だけとは限らないからである。
私はこれに対し、まずは笑い飛ばすことを目標にしようと考えた。とにかく一旦、笑ってみる。ミスや出来事を受け止め反芻するのは、その後、生活していく上で思考が、塀の上に気まぐれに乗せた雪玉のように、ある程度の質量を持ち塊になり始めた頃合いで良いのだ。
さて、一昨日のしたミスのせいで不足を補わなくてはならない。代替え案を考えながら通勤しよう、と思いながら眠りについた。
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