ぶつくさと


 最近はよく眠れている。しかし日々の頭痛が酷い。なぜこうも身体というのは嫌にバランスをとるようにできているのだろうか。あっちが治ればこっちがガタついて、ああもう、四肢を放り投げてのんびりラジオでも聞いていたくなる。

 しかしそんなことはしていられない。仕事に、勉強に、常にタイムリミットは迫ってきている。もちろん頭の衰えも感じるし、身体だって不調を抱えつつ動くのは辛くなってきた。そのうえ、私は何か思いついたことをこうして吐き出さなければパンクしてしまう。困った性分だ。

 いっそ一人で旅行になんかどうかと思ったが、旅先で浮かれて手をつけた半端な原稿が増えるのが目に見えている。棚に本が入らなくなり、徐々に明智小五郎のような部屋を築き上げてしまうのではないかと戦々恐々しつつも、新しい棚を買うのは後回しだ。いつだって必要なものは後回し、衝動に身を任せゆく、私の悪い癖である。

 ああ、私もふらりふらりと出歩いては、面白き事の匂いを嗅ぎつけてみたい。明智小五郎やホームズを見るたびに、なんて夢のある人生なんだと憧れるが、私には彼らの持つ素晴らしい知識、洞察力、判断力の一つも持っていやしない。人間観察を趣味にして、興への触覚をぴこぴこ蠢かせる人生が良かった。今日も今日とて無い物ねだりの戯言はベッドの隙間に溢れて落ちていく。

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