第25話 全国ツアーのスタート
「みんな!準備はいいわね!これは全国ツアーの第一弾、成功させるわよ!」
ハルヒのテンションが、楽屋の空気を一瞬にして高揚させる。彼女の目は輝いていて、いつも以上にエネルギッシュだ。初日のライブを目前に控え、俺たちSOSスターズは、舞台裏でリハーサルの最終チェックをしていた。ステージに出る前の独特な緊張感が漂っているが、ハルヒだけは緊張しているどころか、すでに次のステージの成功を確信しているようだ。
「おいキョン、ちゃんと準備できてる?あんたもちゃんとサポートしてよね。」
ハルヒが俺に目を向ける。もちろん、俺はステージに立つわけじゃないから、準備も何もない。が、そういう問題じゃないんだろう。
「まあ、俺にできることは見守るくらいだがな。」俺は軽く肩をすくめて答えた。
「まったくもう、そういうやる気のないところがダメなのよ!あんたも気合い入れて応援してよ!」
ハルヒは半ば本気で文句を言いながらも、すぐにステージ衣装の細かいチェックに戻っていった。
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楽屋は賑やかで、準備は着々と進んでいた。朝比奈さんは緊張で手が震えている様子だ。彼女の小さな肩が不安で震えているのを見ると、俺も少しだけ心配になる。
「み、みなさん、本当に大丈夫でしょうか…?私、失敗したらどうしよう…」
朝比奈さんが不安そうな声で漏らすと、ハルヒが即座に反応した。
「大丈夫よ、みくるちゃん!あなたが可愛ければ、それで観客はもうノックアウトよ!何も心配いらないわ。」
ハルヒは自信満々に言い切り、朝比奈さんに優しく微笑んだ。それを聞いて、朝比奈さんも少しだけ笑顔を見せたが、まだ緊張は解けていないようだ。
一方で、長門は一言も発さずにキーボードの調整を進めている。いつもの冷静さで機材の調整を行いながらも、その手は一切の迷いを感じさせない。古泉も観客の様子を伺いつつ、いつもの笑顔で、すべてが順調であるかのように振る舞っている。
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ついに、ライブの時間がやってきた。
場内のざわめきが増し、観客たちは期待に満ちた目でステージを見つめている。ハルヒはその盛り上がりを聞き、満足げに微笑んだ。彼女の目には、勝利を確信したかのような光が宿っている。
「よし、行くわよ!SOSスターズ、全国ツアー開幕!」
ハルヒの掛け声と共に、メンバーたちは舞台袖からステージへと飛び出していった。
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観客の歓声が一気に沸き上がる。ライトが照らされ、ハルヒはその光の中で堂々と立っている。まるで、このステージが彼女のために用意されたかのように、自然体でステージに立っている彼女の姿は、圧倒的なカリスマ性を放っていた。
「みんな、今日はSOSスターズの全国ツアー初日に来てくれてありがとう!これから最高のステージを見せてあげるから、楽しんでいってね!」
ハルヒの力強い声が会場全体に響く。観客の期待は一層高まり、拍手と歓声が止まない。彼女の笑顔は自信に満ち、ステージ上で堂々と踊り始めた。長門のキーボード演奏が流れ出し、朝比奈さんも少し緊張しているが、ハルヒに引っ張られるようにして一歩踏み出す。
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ハルヒのダンスはエネルギッシュで、観客を一瞬で引き込んだ。彼女のカリスマ性に引き寄せられるように、観客たちは熱狂し始め、手拍子が自然に起こる。朝比奈さんの可愛らしい動きも加わり、ステージは完璧なバランスを見せている。
俺は舞台裏からその様子を見ていた。いつも以上にハルヒが輝いて見えるのは気のせいではないだろう。まるで、この瞬間が彼女にとって待ち望んでいた舞台であるかのようだ。
「どうだ、キョン!これが私たちの力よ!」
ステージの合間に、ハルヒが自信満々に俺の方を振り返りながら言った。その笑顔はまさに勝者の笑顔だった。
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ライブは順調に進み、観客たちは興奮の渦に包まれたまま。アンコールの声が会場中に響き渡る。ステージ裏に戻ってきたハルヒたちは、汗をかきながらも笑顔を浮かべている。
「ふぅ、やっぱり最高のステージだったわ!これからもどんどん成功させるわよ!」
ハルヒは息を切らしながらも、まだ次のステージのことを考えている。
「お前、まだ次のことを考えてるのか?」
俺は呆れながら言ったが、ハルヒは満面の笑顔で答えた。
「当然よ!これは全国ツアーの始まりに過ぎないんだから。次の会場ももっと盛り上がるに決まってるわ!」
ハルヒのその自信には驚かされる。次から次へと新しい挑戦を求める彼女のエネルギーは、まさに底なしだ。
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「さあ、次の会場も待ってるわよ!準備はいい?」
ハルヒがメンバーに向かって元気よく叫ぶと、全員がそれぞれに頷いた。観客の拍手と歓声がまだ耳に残る中、俺たちの全国ツアーは、確実にその第一歩を踏み出したのだった。
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