試練を耐え抜け！

エクゾディア戦を生きる

大学受験。それは高校３年生である俺らに待ち受ける人生の試練だ。

ある担任は言った。「大学受験は落とされる為に受ける」と。

誰がそんな受験を望むか？誰も望まないに決まっているだろう。

高校受験も満身創痍な自分が戦える訳もない。じゃあ、高校卒業したら働く？

馬鹿言え、オール労働の人生なんて反吐が出る。楽に生きたいんだ、俺は。

俺は別に裕福に暮らしたい訳じゃない。勿論、それは恋愛とか金銭の話じゃない。唯、面倒ごとは避けたい趣旨なのだ。だが、どうだろう。

世間を見れば賃上げ問題だの、ブラック企業だの大人だって今を苦しんで

生きているじゃないか。そんな世間に生きるなんて若者は拒絶反応を起こすはず。

だって、生きている時代が違うのだから。さて、話を戻して今は夏休み期間だ。

それもお盆休み期間。それが明ければ補修重ね＆実力交差で夏休みはＥＮＤだ。

幸い計画的な俺だから課題は全て網羅して闇に屠った。計画通りって奴だ。

だが、実力考査は避けて通れない道なのだ。パスするのはあくまで２次元。

現実なんて所詮は残酷な夢物語だ。諦めろ。だなんて納得出来ないがな。

此処でもしコケた場合を説してあげよう。と思っていたら召喚してきたな。

相手のターン（登校日）に親（エクゾディア）を召喚した。

これが何を指し示すのか？親の効果は２ターン後（実力テスト）に発動する。

だから自分のターンを２回終えた時点で敗北になってしまうのだ。

だが、此方には７枚の山札がある。今からそれを説明しよう。

倫理、数Ⅲ、数Ｃ、論理、化学、物理、日本史の７枚でそれぞれ効果を有す。

だが、その効果を発動する前に「条件」をクリアしなければならない。

よくある「相性」って奴だ。俺と相性が良いのは倫理と論理、科学の３枚。

この３枚だけは全ての効果を発動することが出来る、切り札的存在だ。

だが、他の４枚。特に数Ⅲと数Ｃの効果を発動するには３ターンを浪費する。

つまり、この２枚を引いた時点で効果が腐って親の効果を発動され負けとなる。

相手のライフは前のターンに使った「宿題撃破」の効果でライフを３割削った。

つまり、残りのライフである７０を削り切らなければならない。

俺は悩んだ末に１枚の山札を切った。「化学」の文字、作戦成功だ。

化学の効果を発動し俺は学年１の秀才である神野に連絡を入れた。

「数Ⅲと数Ｃ、片方は手伝ってあげるよ。でも、平均点を５点超えなきゃ駄目だ」

これは最高の効果であり最悪の効果を引いてしまった。

そもそも勝利条件を説明していなかった。相手のライフを０にするのは当然として

「親」を撃破しなければならない。達成条件は全教科で平均点を超えることだ。

だが、神野の話に乗るならばそれよりも厳しい条件下で戦う羽目になる。

どうするか、俺は長考の末に話に乗ることにした。これで効果発動条件の緩和だ。

３ターン後に発動だった条件を２ターン後に短縮。更に神野の補正で＋６点保証だ。

これは相手にも効いたらしい。攻撃前なのに５ダメージ。微量だが効果のオマケと

見れば安いものだ。そうして「化学」を墓地（脳内）へ送り２枚目を引く。

見えた文字は＿「数Ⅲ」。危ない危ない、話に乗って本当に良かった。

数Ⅲをスタンドへ送り攻撃。通常攻撃、「勉強頑張ってるよ」はどうだ＿？

７ダメージ。まぁまぁのようだ。ジュヤブとしては安牌な選択と見るか…？

相手のターンは効果の弱いカード２枚を切っただけ。どうやら手抜きらしい。

実に腹の立つことだがこれだけでキレていたら相手のペースだ、落ち着け。

残りの山札は５枚。１度に引ける枚数は決められてないが１枚は数Ｃのカード。

引いた時点で効果を空振りし相手のターンとなり負けとなってしまう。

だから、何としても回避しなければならないのだが同時に別の問題も発生する。

このターンを終えれば相手の親が発動し数Ｃ関係なく負けになる＿どうすれば良い？

悩んだ末に５枚を全て取ることにした。相手の残りライフ５８を削り切るには＿。

「暗記（教科のコンボ）に頼らないと無理、だよな」

１枚目で数Ｃを引いた時点で負けになるが＿どうだ？「日本史」の文字だ！

「日本史の効果を発動！自身のライフを４０削り相手に同等効果を付与！」

日本史の効果は自傷した分だけ相手にもその自傷ダメージを与える効果だ。

時と場合によっ敵にも味方にもなる効果だが今回の場合は最高の味方だ。

「残りライフ１８だな、このまま削り切ってやっ＿」

「トラップ効果、〈問題の難易度上昇〉を発動」

トラップカード、だと？最悪だ、てっきり余裕ムーブだと思っていたのに＿。

「自身のライフを５０まで戻し相手に３２ダメージを与える」というもの。

差し引き、自分のライフは２８。相手は５０。形勢逆転となってしまった＿。

「残り切れるカードは４枚。下手に自傷効果も切れなくなった…最悪だ」

トラップカードの発動は１ターンに１回だから警戒しなくては良くなったものの

不利な状況なのは何も変わっていない。取り敢えず、２枚目＿「論理」の文字。

「論理＿厄介なんだよな、無条件で発動出来るのは救いだけどこの効果は＿」

論理の効果は次のカードの効果を即時に発動する代わりにライフを５失うという

次のカードが数Ｃなのかどうかも分からない状況で渋過ぎるものだった。

「（だけど、此処で発動させなきゃ通常攻撃を与えて相手のターン）」

どうせ負けるのは遅かれ早かれの状況だ、どうせなら最期まで行こうじゃないか。

「論理の効果発動！自身のライフを５削ってカードを１枚切る！」

最悪、倫理さえ来なければ得ではある状況だが＿「理」の文字が…。

「なっ…」

数Ｃに「理」の文字はないから候補は倫理（死）おあ物理（生）。結果は＿。

〈倫理カードの効果によ「物理」カードの効果を即時に発動〉

ー最悪の時代は免れたらしい。俺の運はまだ死んでなかったようだ。

「相手に物理攻撃を７与え更に物理攻撃による被ダメージ増加効果を付与」

更に論理の効果は発動した効果を２倍にする効果がある。つまりは＿。

〈論理カードの効果の影響で物理カードの効果を２倍のものとします〉

となる訳だ。これで相手の残りライフは３６（被ダメージ効果２倍）となった。

俺も論理カードの効果で残りライフは２３。差し引き１３まで迫った形だ。

だが、これだけでは全く足りない。と此処で朗報が飛び込んできた。

〈数Ⅲカードの効果を発動、相手へ８ダメージ〉

被ダメージ効果２倍によって相手残りライフは２０。遂に捲ることに成功した。

だが、安心している場合ではない。此処から更に削り切らなければ負けるのだ。

「３枚目のカードを切っ＿」

此処で倫理を引けば実質、勝ちなようものだ。だが、その文字は…

〈数Ｃカードの効果は３ターン後に発動されます〉

終わった。５０％の確率外してしまうなんて＿。後、残ってるのは通常攻撃。

３択の中で１番火力の出る「勉強頑張ってるよ」で７（１４）ダメージ。

どう考えても６ダメージ足りない。どうすれば＿良いんだ？

〈行動選択可能時間、残り２分＿〉

その音声にハッと顔を上げる。もう、時間がないのだ。

「（結局、俺は２次元になれなかったんだ＿）」

３次元の人間は２次元なれない。誰でも分かっている事実なのに…！

〈行動選択可能時間、残り６０秒＿〉

〈行動選択可能時間、残り５０秒＿〉

〈行動選択可能時間、残り４０秒＿〉

〈行動選択可能時間、残り３０秒＿〉

〈行動選択可能時間、残り２０秒＿〉

〈行動選択可能時間、残り１０秒＿〉

「通常攻撃〈勉強頑張ってるよ〉を発動し相手に７ダメージ」

俺は自身のターンエンド（死）を迎える為に攻撃のコールをした。

そうして、相手に１４ダメージを与えて俺のターンは終了する。つまり＿。

〈相手のターン。親の効果発動し相手のライフを＿〉

そうして俺のライフは全て消し去った。

敗因？そんなもの決まっている。自分の力を自惚れた、違うな。

自分ならやれるって勘違いしてたんだ。だから、実際の実力に見合わず負けた。

じゃあ、どうする？此処で負けて終わり？

そんな訳ないだろう。負けて終わる物語なんてあって良い訳ないだろう。

じゃあ、どうする？今はまだ時間もある。

死んでやり直すことも過去に戻ってやり直すことも出来ない中で俺は。

俺は決められた時間で戦わなきゃ駄目なのだ。だったら、やるしかないよな。

補正もなくて生きてる奴だって居る。負けてから勝つのが主流だろう。

「なぁ、神野。ちょっと手伝って欲しいんだけど」

遊びで使っていたスマホを武器に変え俺は電話を掛けた。

だって、そうだろう？

最後に笑うのは主人公なのだから。