第5話 北へ

 土曜日にも拘わらず羽田空港は閑散としていた。

 新型感染症の影響だろう。オリンピックも近いというのに外国人の姿はほとんど無く、日本人客も少ない。

 空木うつぎの乗った飛行機は、定刻に羽田空港を飛び立った。梅雨空の雲を抜けると久々の青空を見ることが出来た。新千歳空港は晴れていた。青空をバックに樽前たるまえ山の溶岩ドームが望めた。この景色を空木が見るのは四年振りだった。

 ベージュのコットンスーツにデッキシューズの姿は、少し時代ずれしているかも知れなかったが、空木は精一杯のお洒落のつもりだった。山岡清美に会う時に、むさ苦しい探偵と思われないようにするための、空木の精一杯の努力だった。

 

 薄野すすきのの『すし万』の暖簾をくぐるのも四年振りだろうか。女将の「いらっしゃいませ。お待ちしていましたよ」の声に迎えられた空木は、既に来ていた土手登志男が座るカウンター席の隣に座った

 二人はお互いに「久し振り」と言いながら、生ビールで乾杯した。

 「土手、暫くお前の所に泊まらせてもらうが、宜しく頼むよ」

「札チョンの汚い部屋ですけど、好きなだけ泊まっていってください。空木さんには調査を引き受けて貰って感謝していますから」土手はニコニコしながら、店主の須川に顔を向けた。

「空木さん、土手さんの言う通りです。調査を引き受けて貰って私も感謝しています。ありがとうございました」店主の須川はそう言うと、和帽子を脱いで頭を下げた。

「調査は引き受けましたが、目当ての人が見つかった訳ではないので、役目を果たした訳じゃないんですよ」

「じゃあ今回札幌に来たのはその為なんですか」

「役目が果たせるかどうかは分からないんですけど、気になることがあって来ることにしたんです。それに久し振りに『すし万』の寿司も食べたかったんで、どっちがついでか分かりませんけど、ついでに来たという訳です」

 空木はビールを空け、焼酎のロックを注文し、つまみに北寄貝と時子を頼んだ。

 「‥‥気になることがあるんですか?」

 土手もビールを空け、焼酎の水割りを頼んだ。

 「詳しい話は出来ないが、俺に東京で会って調べて欲しいという人物が浮かんできた根拠になったノートというのがあるらしいんだが、それをじかに見たいと思っているんだ」

「なるほど、それで札幌まで来られたんですね。しかし、その行方が分からない人は生きているんですか。今日もテレビで羊蹄山ようていざんの麓で白骨化した死体が見つかったって言っていましたけど‥‥」

「捜している人は東京に居るらしいんだけどな‥‥」

 空木は土手にそう言ったものの、本当に東京で生きているのだろうか、空木も心の隅でもしかしたらという思いが無い訳ではなかった。

 「一か月前にも道東で白骨化した死体が見つかっているんですけど、あの身元は判ったんですかね。大将知ってる?」

「いえ、知りませんけど、続けて白骨死体が出てくるとは、ヒグマにやられたにしても気持ち悪いですよ」

「一か月の間に二つの白骨化死体が出たんですか‥‥」

 山岡清美もこのニュースを知っているのだろうか。さぞ不安な思いになっているのではないかと空木はおもんばかった。


 翌日の日曜日の午後三時に、空木は山岡清美と中島公園近くのホテルのロビーで待ち合わせた。

 友人と二人で来るという清美のメールに、空木は女友達を想像していたが、ホテルのロビーで人探しをしている様子の男女を見て、男の友人、いや彼氏かも知れないと想像した。その男性は、日に焼けてがっちりした体つきだった。

 空木は人探し風の二人にゆっくりと近付いた。男性が空木に気付き、女性の肩を空木の方に向けさせた。

 「空木さんですか‥‥」男性が声を掛けた。

「はい、空木です」

「札幌まで来ていただいてありがとうございます。こちらの女性が山岡清美さんです。私は友人の深堀和哉と言います。宜しくお願いします」深堀和哉はそう言うと、清美に「この方が空木さんです」と手話で伝えた。

 空木は清美を見て、覚えてきた手話で「こんにちは。初めまして空木です」と挨拶した。

 清美は、少しびっくりした顔から微笑みを浮かべて、手話で空木に挨拶し、来札の礼を伝えた。

 清美は、ミルキーピンクのスラックスにブルーと白の横縞よこじまのボーダーの半袖というスタイルで、ショートヘアのヘアスタイルが良く似合っていた。

 深堀によれば、清美は今日、勤めている理容店を午後の休みを取って来たということだった。

 三人はホテル一階のテラスレストランに入った。

 空木は改めて二人に「スカイツリーよろず相談探偵事務所 所長」の名刺を渡した。

 清美はバッグの中から三冊のノートを取り出し、空木の前に置いた。空木は、これが姉の美夏の残したノートなのかと直感し、二人の顔を見た。

 「これが清美さんのお姉さんが残したノート、三冊です」深堀和哉が通訳するかのように言った。

「ありがとうございます。早速、今日この後読ませていただきます。出来るだけ早くお返しします」

「空木さんは札幌にはいつまで滞在されるんですか」

「札幌に居る友人のところに泊まって、暫くいるつもりです」

 空木の話を聞いて、和哉は清美にその事を伝え、手話で何かを相談していた。二人の姿を見ていた空木は、和哉の清美への優しさを感じると同時に、誰かの役に立つ存在の尊さのようなものを感じていた。

 「空木さん、清美さんは理容店で理容師として働いていて、明日の月曜と明後日あさっての火曜が休みなんです。空木さんがノートを読んで何か気付く事があったのか、聞きたいので明日にでもまた会いたいと言っています。ただ、僕は仕事で同席できませんが‥‥」

「分かりました。明日お会いしましょう。ノートはその時にお返しします」

 空木が言い終えるのを待っていたかのように、清美はまたバッグから四通の封筒を取り出し、空木の前に置いた。

 「‥‥これは?」

「これはお姉さんが二年前の九月に札幌から失踪した後に、お姉さんの名前でススキノのお店に送られて来た手紙です。空木さんに見て欲しいと言っています」

 空木は四通の封筒から手紙を取り出し読んだ。

 四通ともほぼ同じ文面で、無事でいる事を知らせ、店を頼むと印字されていた。

 空木は封筒の消印に目をやった。美夏が札幌を離れたという一昨年の九月の末の消印が仙台中央である以外、それ以降の半年毎の三通の封筒の消印は東京中央だった。この消印を根拠に、美夏が東京に居るらしいと考えたのか、と空木は合点がてんした

 合点した一方で、手紙は勿論のこと、宛名も手書きではなくプリンターで印字された紙が貼られていることに、大きな疑いを抱いた。所在地を知られたくないとしても、全て印字の封書にする理由があるのだろうか。美夏が誰かに手紙を出してくれるように依頼し、依頼された人間が自筆で書くことを嫌ったのか。

 仙台から一通、そして東京から三通の、山岡美夏の存在を示す手紙は、本当に本人からの物なのだろうか。いかにも札幌から仙台に渡り、その半年後に東京へ移動して生活を続けているように思わせているが‥‥。もし本人が出した物でも無く、誰かに頼んで作った物でもないとしたら‥‥。

 空木がテラスの外に目をやり、考えていると深堀和哉がまた話し掛けてきた。

 「その手紙についてではありませんが、清美さんが空木さんに病院への調査の方法について相談したいそうです」和哉はそう言うと清美を見た。

 清美はペンを持って、筆談用のノートに描き始めた。

 「私は会話が出来ないので、どうやって調べたら良いか悩んでいます」

「‥‥‥手紙を出して見たらどうでしょう。お姉さんを捜している事、少しでも手掛かりが欲しい事を書いて返信のハガキを同封するんです。どうですか」

空木は筆談用のノートに書いて清美に返した。

 清美は頷いて、傍らでそのノートを覗いていた和哉を見た。

 「空木さんが清美さんにメールで送ってくれた、お産が出来る中央区、豊平区、西区の医院に手紙を送って、返事を待つ。その後に病院にも同じようにする訳ですね」

 空木は、清美へ送ったメールの内容を和哉が承知している事を聞いて、清美の和哉への信頼が大きいことを改めて感じた。

 「基本的にはそうするのが一番良い方法だと思いますが、大病院は返事をしてくれるかどうか‥‥」

「大きな病院は患者の数が多いから難しいんですか」

「難しいと言うより、患者の個人情報を出してくれるかどうか何です」

「それは医院でも同じじゃないんですか」

「まあ、それはそうなんですが、医院の場合は院長個人の判断次第ですから、清美さんが聴力障害で聾者として頑張っていることを知れば、お姉さんの行方捜しに協力してくれる可能性が高いように思えるんです」

「分かりました。早速、清美さんと一緒に考えて手紙を送ります」

 和哉がそう言って清美に顔を向けると、清美はまた頷いた。

 「深堀さん、清美さんは今の話が聞こえているんですか?」

空木は、頷いた清美を見て不思議に思い聞いた。

「いいえ聞こえてはいませんが、唇の動きで概ねは分かるようです」

 和哉は清美を見てニコッと微笑んだ。

 「ということは、ゆっくり話せば私の話も清美さんには通じるということですか」空木は清美を見て言った。

 清美は頷いて、ノートに「私の伝えたい事は手話か筆談でしか空木さんには伝えられませんが、空木さんのお話しの大概は分かります」と書いて空木に見せた。今度は空木が大きく頷いた。

 三人は、テーブルに置かれた飲み物に口をつけた。

 「清美さんには聞きたくない話になるかも知れませんが、お姉さんの行方不明届けを出してどの位経ちますか」

 空木は、四通の手紙への疑惑、そしてそこから生まれてくる姉の美夏の生存への危惧が消えなかった。

 「二年前の九月に、お姉さんから店宛に最初の手紙が来ました。その直ぐ後に、清美さんと一緒に警察に届けに行きました」和哉が答えた。

「その後、警察から何か連絡はありましたか」

「いえ、何もありません。届け出た時に、警察からは一般家出人の扱いになると言われました」

「そうですか‥‥。届出を出してもう二年近く経つわけですが、この四通の手紙を持ってもう一度警察に相談してみたらどうですか」

空木は和哉にそう言うと、清美に顔を向けた。

「姉は亡くなっていると思いますか」清美はノートに書いた。

空木は清美を見てゆっくりとした口調で「分かりません」と答えた。


 ホテルで二人と別れた空木は、中島公園の中を歩いた。

 空木は札幌に勤務当時、この公園内にある体育センターにはよく足を運んでトレーニングをした。冬は、ウィンタースポーツは全然ダメな空木だったが、冬の間この公園で開設される一周1キロの歩くスキーのコースには、仕事が無い限り休日にはよく来て大汗を掻いた。四年間毎冬通ったが全く上達せず、目標のクロスカントリー大会に参加するどころか、公園内の3メートル余りの斜面さえも、倒れずに滑り降りる事が出来ず、転んでいたことを思い出して一人で苦笑いした。

 四年間、山にもよく登った。飛行機から見た樽前山から始めて、トムラウシ、旭岳、羅臼岳、斜里岳、十勝岳そして利尻山、一緒に山行した後輩たちは、まだ万永製薬の札幌支店で頑張っているだろう。

 彼らを見捨てるかのように会社を辞めた空木は、未だに顔を会わせることに躊躇ためらいがあった。その点、土手登志男は名古屋支店での付き合いが主で、北海道ではすれ違いだったことが、空木の気持ちを楽にさせていた。

 土手の部屋に戻った空木は、清美から預かったノートを読み始めた。メモ用の手帳を横に置いて黙々と読み続ける空木に、土手は声を掛ける事はせず、晩飯を作り始めた。

 土手の作ったチャーハン、肉野菜炒め、そしてタコ焼きはすこぶる美味かった。


 翌月曜日、空木は清美と大通おおどおり公園の噴水前で午後二時に待ち合わせた。深堀和哉が仕事で同席出来ない中、前日と同様にホテルのロビーで清美と待ち合わせするのは避けるべきと考えた結果が、大通公園での待ち合わせだった。

 今日の清美は、ベージュのコットンスラックスに白の半袖のポロシャツというスタイルで、ショートヘアがより一層似合っていた。

 二人は、噴水前のベンチに座った。

 空木は、昨日預かった三冊のノートを清美に返し、さらにメモ書きを渡した。そのメモ書きには、ノートを読んだ空木が疑問に思えた事が書かれていた。

 そのメモには、YMはお金に汚い事、YMの後の数字の記述はノートが書かれ始めて半年後から記載され、最後までに三十回以上書かれているが、何か意味があるのではないかと思う事。YMは山登りを趣味にしていて、趣味が同じHTと話が合う、と書かれていることからHTという人から美夏さんの失踪の話を聞いた可能性があるので、確認すべきである事。病院に行くと書かれた後の「MY*448」は意味不明だが、YMの後の数字と同じく何かの暗号ではないか、と書かれていた。

 メモを読んだ清美は、指文字でHTを表し、さらに顔の前で手を左右に振って「分からない」と空木に伝えた。

 空木はメモ用紙に「YMと同じく、店の客の中にいる筈です」と書いた。

 「お店に聞いてみます」と清美は書いて返した。

「産科医院への手紙は準備出来ましたか」空木はメモ用紙に書いた。

「昨夜、深堀さんと一緒に作って今日の午前中に発送しました」と返した。

 「速い」と空木は呟き、もしかしたら清美は姉の美夏に既に何かが起きていると感じていて、手掛かりになる情報を少しでも早く知りたいと思っての「速さ」ではないだろうかと推測した。

「お姉さんの事は心配ですね。札幌中央署はここから近いですが、もし私と一緒で良いならこれからお姉さんの行方の相談に行きませんか」空木は、筆談で清美に伝えた。

 それを読んだ清美は、一瞬躊躇ためらい「ちょっと待って下さい」と返して、スマホでメールを始めた。

 清美のメールの相手は深堀和哉で、警察に行くことの相談をしたようだった。

 そして清美が、空木に和哉から電話が入ることを伝えると、空木のスマホが程なくして鳴った。

 「空木さん、清美さんは一緒に行って欲しいと思っていますが、空木さんへの調査料の支払いを不安に思っています。だからこれ以上は依頼出来ないと思っています」

「そうでしたか‥‥。それなら調査料の心配は全く不要です。東京での町村さんの調査の料金を既に頂きましたから、それ以上は必要ありません。清美さんにそう伝えて下さい」

「ありがとうございます。それなら清美さんは喜ぶでしょう。是非一緒に行ってあげてください。私からもお願いします」和哉はそう言って電話を切った。

 電話を終えた空木は、清美のスマホを指差して和哉からメールが来ることをジェスチャーで伝えた。

 メールの着信を知らせるバイブレーションの振動音がして、清美はスマホに目を落とした。そして顔を上げ、空木に向かって手話で「ありがとう」をしながら、頭を下げた。


 札幌中央署は大通公園からほど近い北1条通り沿いにあって、昭和初期のレトロ感を残しながら、新たに建築された北海道警察札幌方面本部の中心となる警察署だった。

 行方不明者の届け出の窓口である生活安全課の係員に、空木は自分の身元、つまり東京の探偵であることを伝えた上で、訪れた事情を説明した。

 「北海道警察には手話通訳者がいないので、不便かも知れませんが、こちらへどうぞ」

係員はそう言ってパーテイションで仕切られたコーナーに二人を案内した。そして一冊のファイルを二人の前に置いた。

「一昨年の九月の末に届出されている山岡美夏さんですね。その後何か手掛かりがあったということでしょうか」係員はファイルを見ながら言った。

 空木は清美に「手紙を出して下さい」とゆっくりと口を動かして係員にも聞こえるように言った。

 清美が係員の前に四通の手紙を置くと、空木がその説明をした。

 「行方の手掛かりが掴めない中で、この手紙は、お姉さんである山岡美夏さんの名前で四回に渡って送られて来たものです。この手紙は四通全てが印刷されている上に、宛先も何故か妹さん宛ではなく、経営していたお店宛です。住所も知らせず無事だけを知らせて来る手紙に、妹さんも私も美夏さんの安否に不安を感じています」

 係員は「拝見させていただきます」と言って四通の手紙を手に取って目を通した。

 「この手紙が不自然だと言うことですか‥‥。山岡美夏さんは、届出当時一般家出人として扱っていたところですが、特異行方不明者として扱って欲しいということですね」

「扱いがどうなるのかは、私たちには良く分かりませんが、安否がとにかく心配です。しかも最近一か月の間に、道内で複数の白骨化死体が見つかったというニュースを聞くと、その不安がすごく大きくなりました」

「‥‥そうですか。それでしたら、ここ二年近くの間に道内で見つかった身元不明の遺体を、一度確認して見てはいかがですか」

 係員はそう言うと「ちょっとお待ちください」と言って席に行き、パソコンを持ってまたコーナーに戻って来た。

 「北海道警察のホームページに、このように道内の各方面本部の身元不明の遺体のリストを掲載して、情報提供を呼び掛けているんですが‥‥」

 係員は開いたパソコンの画面を空木と清美に向けた。

 「ただし、最近の案件はここにはまだ掲載されていないかも知れませんので、今鑑識課の係員を呼んで確認しますから、少し待っていてください」

 係員はまたコーナーから離れて席へ戻って行った。

 空木と清美は、パソコンで直近二年間に発見された道内各方面本部の女性の身元不明の遺体を、そのリストから確認した。方面本部は札幌、旭川、函館、北見、釧路の五つの本部で構成されていたが、女性の身元不明遺体の数は少なく、旭川と北見の方面本部で各一件、札幌方面本部で三件の計五件だった。その中でも、推定年齢から該当する事案は、北見の事案と札幌の三件のうちの一件の計二件だけだった。しかし、札幌の事案は、死亡推定時期が美夏の失踪以前の為、該当する可能性は無かった。

 一方北見の事案については、先月六月初旬の発見で、斜里警察署管内の清里町、斜里岳の登山口付近で見つかった白骨化した遺体で、死後一年半から二年、推定年齢三十代から四十代とされていた。

 清美は、その北見の事案の遺留品を写した画面をじっと見つめていたが、それ以上の反応は見せなかった。

 どの位の時間が経っただろうか、鑑識課の係員と名乗る若い男が、生活安全課の係員と共に、二人の前に座った。

 鑑識課の係員は手に持ったファイルを開いて二人に見せた。

 「ホームページに未掲載の事案はこれです。倶知安くっちゃん警察署管内で先週発見された女性の白骨化した死体です」

 空木と清美は、そのファイルを手元に寄せた。

 その白骨化した死体は、膝を折り曲げた姿で死後一年半から二年経過し、推定年齢は二十代から四十代とされていて血液型は不明だった。

 遺留品の写真のファイルを見ていた清美が、ジーンズやポロシャツの写真のページから、身に着けていたと思われるアクセサリーのファイルを見た瞬間、その写真を指差して空木に見せた。

 「姉のネックレスです」清美は少し震えた指先で、書いたメモを空木に渡した。

「えっ」と小さく声を上げた空木は、二人の係員にファイルの写真のページを見せながら「これはお姉さん、山岡美夏さんのネックレスだそうです」

「えっ」鑑識課係員も空木同様に小さく声を上げた。

「このネックレスが、お姉さんのものである根拠のようなものがあるんでしょうか」

 係員の問いに、空木は筆談でそれを清美に伝えた。

 「私が理容師試験に合格して、初めてのボーナスで姉に贈ったAKというブランドのネックレスです」

 清美はメモを空木に渡すと、机の上のファイルをまた手元に寄せて、食い入るように見つめ、唇を噛んだ。

 驚き、怒り、悔しさ、そして悲しみが込み上げて来るのを必死に耐えているように空木には見えた。

 鑑識課係員は刑事部捜査第一課に連絡を入れ、清美と空木を刑事部のフロアに案内した。

 面談室に案内された二人に、一人の眼鏡を掛けた男が「捜査第一課の笹井ささいです」と挨拶した。空木もスカイツリーよろず相談探偵事務所の名刺を渡し挨拶した。

 「今、鑑識から、先日倶知安署管内で見つかった白骨化した死体と一緒に発見されたネックレスが、貴女のお姉さん、山岡美夏さんのものだとお聞きしましたが、もう少し詳しいお話を聞かせて下さい」

 笹井は、清美に向けていた顔を空木に向けた。

 「すみませんが、あなたの名刺を一枚いただけますか。清美さんは聴力障害があるので、あなたが誰なのか教えてあげたいのですが‥‥」

「失礼しました、そうでしたね」笹井はそう言うと名刺を清美と空木にそれぞれ渡した。

 空木が笹井の質問をメモで清美に伝えると、清美はペンを取り、一昨年の九月中旬に姉の美夏が置手紙を置いて札幌を離れたことから、今日に至るまでをメモに書いた。

 「事情は分かりました」笹井はそう言うと、改めて身元不明遺体のファイルをじっと見た。

「このネックレスが、仮にお姉さんである山岡美夏さんの物だとしても、この白骨化した死体が山岡美夏さんだとは断定できません。DNA鑑定か歯型の鑑定をしないと断定は出来ませんが、鑑定できる材料はお持ちでしょうか」

 空木がそのことを清美に伝えると、清美は「わからない」と顔の前で手を振った。

 「歯医者に通っていたことはありますか?」空木の筆談に、清美は頷いた。

「その歯医者はどこですか?」空木の問いに、清美は、今度は首を横に振った。

「歯医者に通っていたんですね。後は我々で調べましょう。お姉さんの住所は、中央区の南11条西6丁目ですね。歯医者を調べて歯型の鑑定結果が出るまでには数日かかると思いますが、お互いに大事な調査です。いずれにしろ結果が出たら連絡しますが‥‥。もし、お姉さんだと断定することになったら、この四通の手紙と置手紙は参考品として預からせていただくことになりますが、置手紙は保管されているのでしょうか」

 空木が笹井の話した事をメモに書いて清美に伝えると、清美は「置手紙は姉のマンションにあります」とメモに書いた。

 「お姉さんの部屋はあなたが使っているんですか?」空木の問いに清美は、首を振り「姉の買ったマンションなので、いつ帰って来ても良いようにしてあります」と空木に伝えた。

 空木は、清美の書いたメモを笹井に見せながら清美への連絡について聞いた。

 「清美さんへの連絡は、スマホのメールでしてもらうことは可能ですか」

「それが清美さんへの連絡方法としてはベストでしょうね。大丈夫です」

 清美はメモにアドレスを書いて笹井に渡した。

 「刑事さん、私は山岡美夏さんの捜索を依頼された立場の人間として、お聞きしておきたいのですが、この白骨化死体は倶知安署管内のどこで発見されたんですか」

 笹井は眼鏡を触りながら、鑑識課係員の方に顔を向けた。

 「羊蹄山の麓の登山口の近くです」係員が答えた。

比羅夫ひらふ登山口ですか?」

「‥‥空木さんは、北海道をご存知なんですか?」笹井が空木の名刺に目を落としながら聞いた。

「ええ、三年前まで四年間程札幌に住んでいて、山登りが好きなんで少しは分かるんです」

 空木は、蝦夷えぞ富士と呼ばれる後方しりべし羊蹄山の山容を思い浮かべていた。

 「ヒグマにやられた可能性もあるんでしょうか」

「さあ、それは分かりません。山菜取りの方が偶然見つけたんですが、発見された状態は、地中の死体を腐肉食動物が掘り起こしたような状態だったようです」

「地中の死体ですか‥‥。埋められた‥‥」

「そうとは限りませんよ。熊は自分の獲物を地中に隠すらしいですからね」

笹井は、空木から「誰が」という言葉が次に出てくるのをさえぎるかのように言った。


 警察を出た空木は、清美に顔を向けて「これからどうしますか」とゆっくりした口調で聞いた。

 「お店のチーママの永川咲さんに、これから会いに行きます」清美はメモ帳に書いて空木に見せた。

「私も一緒に会わせてくれませんか」空木がメモ帳に書くと、清美は指でOKのサインを出した。


 月曜日の夕刻の大通公園の人通りはまばらだった。

 清美と並んで歩いていた後ろから、自転車のベルが鳴るのが聞こえた。空木が振り向くと、年配の男性がこっちに向かって勢い良く自転車を走らせていた。歩道を歩く清美は、当然ながらベルの音には全く気付かなかった。空木は清美をかばうようにその後ろに立った。

 年配の男性は、すれ違う時に清美を睨みつけ、まるで「よけろ」とでも言っているように思える態度に、空木は腹が立った。それと同時に、自分も聾者ろうしゃである清美という存在と出会うまでは、同じようなことをしていたのではないかと恥ずかしくなった。

 ラウンジ『やまおか』に入ったのは夕方五時過ぎだったが、薄野すすきのの人出も少なかった。

 永川咲は清美の後ろに立っている空木を見て、「おや」という顔をした。怪訝な雰囲気を察して空木は清美の前に出て、「空木と申します」と名刺を渡した。

「スカイツリーよろず相談探偵事務所 所長」の名刺を見た咲は、少し驚いた様子だった。

「探偵さんですか。わざわざ東京からいらっしゃったんですか」

「清美さんから、お姉さんの美夏さんの行方の手掛かりを捜して欲しいと依頼をされたことがご縁で、札幌まで来てしまいました」

「清美さんから依頼されて札幌まで‥‥」

「いえ、来て欲しいと頼まれた訳ではないんです。実は、久し振りに札幌の馴染みの寿司屋で飲みたくて来てしまったというのが本音です。ただ来た以上は、役に立てればと思って清美さんとご一緒させてもらいました」

「てっきり深堀さんと二人で来るんだと思っていましたから、少し驚きました」

 永川咲は、二人を奥のボックス席のテーブルに案内した。

 「清美さんからのメールには、警察に行ったって書いてありましたけど、どうでした」

 永川咲の言葉から、清美が警察を出た後、咲にメールをしていたことを空木は知った。深堀和哉にメールをしているものだと思っていたがそうではなかった。例の白骨化死体が姉かも知れないという不安、恐怖を、永川咲に伝えたかったのだろうかと、勝手に想像した。

 「先週見つかった白骨化した死体と一緒に、私が姉にプレゼントしたネックレスが見つかりました」清美はメモに書いて咲に見せた。

「えっ」と声を上げた咲に、空木が清美に代わって説明した。

「警察は美夏さん本人かどうかの鑑定を進めると言っています」

「‥‥その死体が、美夏ママではないことを祈ります」咲はそう言って顔を曇らせた。

 空木は、メモ用紙に「HTは」と書いて清美に渡すと、清美は頷いた。

 「お客さんの中にイニシャルでHTの方がいるか教えてください」清美は咲にメモを見せた。

「HTですか?」咲は空木を見た。

「以前貴女に調べていただいたイニシャルYMの町村康之さんと、趣味が同じ山登りだという、イニシャルHTと言う人が誰なのか知りたいんです。そのHTさんに美夏さんのことを確認することで、清美さんが抱いている疑問が解決するかも知れないんです。協力してください」

 咲は「分かりました」と言って、事務室から客の名刺が入ったホルダーを持って来た。

 咲は姓がTで始まる名刺を一枚一枚確認して、二枚の名刺を抜き出した。

 「HTのイニシャルのお客さんは、この二人ですね」

 咲がそう言って二人の前に置いた名刺は、一枚は「田中秀己たなかひでき」北見市の北網ほくもう記念病院の外科医師で、もう一枚は「田代寛たしろひろし」大日医療器材(株)の札幌営業所所長とあった。

 「このお二人の趣味を永川さんはご存知ですか」

 空木は手帳に二人の名前、連絡先を控えて、名刺を清美の前に置いた。

 「いえ、全く知りません」

 咲はそう言うと「ちょっと待っていてください」と言って席を立って、また事務室に入って行った。

 戻って来た咲が手に持っていたのは、経理の帳面だった。咲は帳面を二人の前に置いた。

 「実はちょっとおかしいな、と思うことを見つけたんですが‥‥」咲はそう言って帳面を広げた。

「町村さんの会社からの入金額が随分多かったんです」

「それはここをよく使っていたからではないんですか」

 空木は、町村が面会時に『やまおか』は接待でよく使っていた、という話を記憶していた。

 「いえ、そうではなくて、一人当たりの単価が他のお客さんより倍近く高いんです。ママがいなくなってからもママのお給料を半年毎に口座に振り込んでいるんですけど、ママがいた頃より随分少なくなってしまったんでどうしてだろうと思って、調べてみたら町村さんが来なくなった事が原因だと分かったんですが、その額が多いなと思ってよくよく見てみたら単価が高かっただけでなく、人数も水増ししていたようなんです。町村さんはお一人で来ることがほとんどだったのに、複数人数で来ている請求になっていたんです。町村さんがうちに来ていた三年近くが同じ状況でした。ママと町村さんの間に何かあったのかなって気になって、清美さんに話しておこうと思ったんです。美夏ママの口座への振込金額が前より随分減っているの、おかしいと思ったでしょ」

 咲の説明を聞いた空木は、「YMは金に汚い」という美夏のノートを思い出したが、今の話を清美にどう伝えるのか悩んだ。

 「お姉さんの口座に入金されている金額は、以前と比べて随分少ないですか」とメモに書いた。メモを見た清美は首を傾げた。

「比べてみたことはありませんが、特別少ないとは思えません。通帳は姉の部屋にありますから今度見てみます」と筆談で答えた。

 空木は、咲に断って経理の帳面をめくった。

 ラウンジ『やまおか』は、オーナーママの美夏を含めて給与制だったが、美夏の給与はある時期からバラツキがでていた。そのバラツキは上下の下には向くことは無かった。そして咲の言う通り、半年毎で比較すると、以前は今より三十万円から四十万円多く給与として支給されていた。定額制の筈の給与が変動しているのは、何故なのか。製薬会社の営業を長く経験している空木には、ある推理が浮かんだ。

 町村は『やまおか』を利用して、会社の経費をコソ泥のように横領していたのではないか。請求書なのかカード支払いなのかは分からないが、水増しした請求金額を何らかの方法で自分のものにしていたのではないかと推理した。単なる小遣い稼ぎなのか、何の為なのかは分からないが、その為には店の協力がないと実現しない。それにしても支店長のポストを、小銭稼ぎの悪事で棒に振るような真似をするのだろうか。

 そんな推理が空木の頭によぎったが、それが美夏の失踪とどう関係しているのか、美夏が共犯関係にあったら‥‥‥。

 空木が考えていると、ボーッとしているように思えたのか、清美が空木の腕を揺すってメモを見せた。

 「深堀さんと約束があるので失礼します」

 空木はメモを見て「分かりました。最後にお二人に確認したい事があります」と言うと、清美にはメモで、永川咲には「美夏さんは山登りに興味をお持ちでしたか」と聞いた。

 二人とも首を横に振った。


 翌日、空木はレンタカーで羊蹄山の麓、半月湖はんげつこ畔の駐車場を目指した。

 山岡美夏かも知れない白骨化死体が発見された、比羅夫ひらふ登山口へ行ってみたかった。

 札幌の中島公園から札樽さっそん自動車道のインターチェンジに向かう。自動車道を小樽方面に向かい、小樽を通過し余市で自動車道を下り、倶知安へ入る。倶知安市内からおよそ二十分で半月湖畔の駐車場に着いた。札幌をスタートしておよそ二時間半の所要時間だった。

 空木はここから羊蹄山に二度登っている。エゾマツ、ダケカンバの樹々の中を歩き、二合目辺りからジグザグの上りになり、九合目の火口のふちに出るまでおよそ四時間、そこから1898メートルの頂上まで一時間弱だ。一緒に登ったメンバーたちは、今も万永まんえい製薬の札幌支店で頑張っている事だろう。

 空木は車を降りると、登山道の周囲を見廻しながら七、八分歩いてみた。掘り起こされたような跡が分かるかと思ったが、それらしい場所は見当たらなかった。

 駐車場に引き返した空木は、コンビニで買った唐揚げ弁当を食べ、煙草を吸いながら考えた。ここで見つかった白骨化死体が、山岡美夏だとしたら、何故こんなところに来たのか。自殺か?いや警察が死体は埋められていたと言っていた事を考えれば、自殺は考え難い。ヒグマに襲われたのか?山に興味を持たない女性が、一人でこんな所に来るだろうか。これも考え難い。考えられるのは、誰かと一緒に来て殺害、埋められた。若しくは、何処かで誰かに殺害されてここに埋められた。こう考えるのが妥当ではないだろうか。

 もし死体が姉の美夏だとしたら、清美はどんな思いになるのだろうか、どんな思いで日々を過ごすのだろうか、と考えると空木の胸は苦しくなった。

 

 空木は、明日東京へ帰ることにした。

 札幌に戻った空木は、土手と共に薄野すすきのの『すし万』へ足を運んだ。

 主人と女将の「いらっしゃいませ」の声に迎えられて店に入ると、「奥の部屋でお待ちですよ」と女将が空木を奥へ促した。

 「二人がどうしても空木さんに会って、飲みたいって言うものですから」土手はそう言って空木の背中を押した。

「二人とも来てくれたのか」

部屋に入った空木は、驚きながらも満面に笑みを浮かべた。

 二人というのは、空木が万永製薬札幌支店に在職中の後輩のMRで、一人は山留健一やまどめけんいち、もう一人は森上一行もりがみかずゆきと言って、空木とは道内の山を何度も一緒に登っていた。

 「空木さんお久し振りです」山留がぴょこんと頭を下げた。

「四年振りですね」森上もそう言って頭を下げた。

 空木と山留、森上は登った山の話から始まり、アルコールが進むにつれて、空木の札幌支店でのMR時代の話から、退職した時の話になった。

 「空木さんは、当時所長とよく戦ってくれましたよね」山留が顔を赤らめて言った。

「あの頃の空木さんは、僕らの代表で所長に意見を言ってくれてありがたかったです。夜の八時からの売上積み上げ会議や、朝七時からのミーティング招集は酷かったですよ。空木さんが言ってくれなかったら僕らは病気になっていたと思いますよ」森上が昔を思い出して言った。

「あの所長のやり方、考え方には、お前たちより俺自身が我慢出来なかったから言っただけだよ。だからお前たちのために言ったというより、自分の為だったんだ」空木はそう言うと焼酎の水割りをグイと飲み干した。

「僕は、その所長の後任でしたから良く分かりますが、空木さんにはMRたちは、皆感謝していますよ」土手はしみじみとした口調で言った。

 空木は当時の支店長から、管理職になるつもりなら上司には従えと言われ、これ以上この組織の中にいる事は出来ないと思い、退職の道を選んだ。しかし、親しい同期から言われた「逃げるのか」の言葉が、今も空木の頭から離れる事は無かった。その言葉が、後輩たちと顔を会わせることへの躊躇ためらいとなっていただけに、土手の「皆感謝している」という言葉は空木にとって正直嬉しかった。

 「今の探偵の仕事なら、上司と戦うなんてことは無いですね」土手はそう言うと、今が旬の蝦夷バフンウニを口に運んだ。

 「確かにたった一人の事務所だから上司はいないな。だから戦うなんてことは確かに無い。でもMRの時以上に色んな人たちの人生に触れる機会があって、生きる喜びとか苦しさを感じるようになったよ」

 焼酎の水割りを飲み干した空木は、鑑定の結果が山岡清美の人生に影を落とすことにならないか、気掛かりだった。深堀和哉という人間の存在が、彼女の人生の大きな支えになってくれることを願った。

 「空木さんの今回の仕事に、僕らが役に立つことがあれば言ってください。休日なら時間もありますから遠慮なく言ってください」土手は、山留と森上の顔を見ながら言った。

「ありがとう‥‥‥」

 空木は、少し間をおいて手帳を取り出した。

 「‥‥お言葉に甘えて早速だけど、三人のうち誰か、北見の北網ほくもう記念病院の外科の田中秀己という先生がどんな先生なのか、登山はするのか、札幌に来る頻度はどの位なのか調べてくれないか」

「その先生が、空木さんの今回の仕事と関係しているという事ですか」

「そうとは言い切れないんだけど、可能性が無いとも言い切れないんで調べて欲しいんだ。協力してくれないか」

「‥‥北見の病院なら旭川営業所の管轄ですね」

「私の同期の上木うえきというのが、北見を担当しているんで聞いてみましょうか」

 山留はスマホを取り出して部屋を出て行き、程なくして戻って来た。

 「何と上木が北網記念病院の担当でした。今週中に調べられる範囲で調べると言っていましたから、連絡が来たら空木さんに連絡します」

「ありがとう、山留」と言いながら空木は、まだ渡していなかった名刺を、連絡用にと山留と森上に渡した。

 「甘えついでに、もう一つ三人に頼みたい事があるんだ。いいか」

「どうぞ」土手が頷いた。

「東菱製薬の二年前までの支店長の、町村という人物の評判とか素行とか、分かる範囲で調べてみてくれないか」

「東菱製薬の前支店長ですか‥‥」

土手は以前、空木から電話で依頼された時の事を思い出したようだった。

「出来るだけの事は調べてみますから、空木さんは東京で連絡を待っていてください」

 土手が焼酎のグラスを空木の方に向けて、小さく「乾杯」と声を上げると、山留と森上もグラスを持って「乾杯」と声を上げた。

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