7-2
どのくらい走っただろうか。
走り疲れたちなみは、とぼとぼと住宅街を歩き、あてもなくさまよっていた。スクールバッグとローファーは学校に置いたまま。新学期に買い替えた
住宅街は
車通りがないどころか、誰ともすれ違わなかった。ちなみを置いて、誰も彼もが街を出てしまったらしい。世界の全てが『
――小鈴に会いたい。
不意にそう思った。小鈴はちなみのことを忘れたりしない。小鈴は特別だから、他のみんなとは違う。小鈴に会いたい。会って話をしたい。そして、ちなみはここにいていいと声をかけて欲しい。
「小鈴……!」
もうそのことしか考えられなくなって、ちなみはすぐに駆け出した。スマホは学校に置いてきてしまったので、直接家に行くしかない。
しばらく走ったとき、誰かの
『こりゃまたずいぶんと変わっちまったな、
デレク・カーン、そして古代メソポタミア文明の
『これからは、ボクのことは“ザミエル”と呼んでください』
そう返事をしたのは、〈ニンウルタ〉の十五メートル先、交差点を
『低級の
『ええ、
その
その声を発している〈
そして、胴体と頭部は〈イフェイオン〉に
「悪魔、なの……?」
〈ニンウルタ〉も〈ザミエル〉も、交差点の
『
『わかってるさ。全力でやるぞ、シャル』
デレクとシャルーアが言葉を交わす。
『第四段階、解放』
シャルーアが
ちなみは
『“アンドラス”』
――
敵を傷つけるという結果を先に発生させる、必中の
『行くぞ、
デレクの声がそう言って、〈ニンウルタ〉が力いっぱい
交差点の一角が
しかし――
『おいおい……なんてパワーしてやがる!』
その一撃を、
〈ニンウルタ〉は全力でメイスを押し付けている。しかし、高速回転するメイスは、『
『クソ!』
青い巨人のメイスは、〈ザミエル〉が
明らかに〈ザミエル〉の方が
だが、無傷だ。
古代メソポタミアの神〈ニンウルタ〉には、傷一つついていなかった。
『これだけ出力を上げても
『だろう? それがわかってるなら大人しく殺されて欲しいね』
『では、これならどうでしょう』
〈ザミエル〉は両手で剣を構えると、こう
『“アイム”』
赤銅色の巨人が駆け出す。
重装甲の〈ザミエル〉は、その見た目とは
インパクト。
炎の剣とメイスがぶつかりあい、
『ッ!? マジか……!』
デレクがうめく。
――
『デレク、下がって!』
『わかってる!』
〈ニンウルタ〉は、
『接近するのは危険です』
『だろうな』
青い巨人は〈ザミエル〉から数十メートル
シャルーアは
『“ダンタリオン”』
中性的な声がそう
『くらえッ!』
それと同時に、〈ニンウルタ〉がメイスをぶん投げた。
超高速でかっとんだメイスが、ミサイルのように〈ザミエル〉へと迫る。
『なに!?』
アスファルトとコンクリートが
しかし、左手を
――
あらゆるものを
〈ザミエル〉の左手がメイスの攻撃性に
『ふざけんな、反則だろ!?』
『攻撃
『わかってる。行くぞ!』
メイスを回収した〈ニンウルタ〉が、
『“フォルカロル”』
〈ザミエル〉が翼を広げ、
――
風を支配し、
『きやがった!』
クロークをはためかせて
『
高速回転するメイスは、〈ザミエル〉の左手――『ダンタリオン』に軽々と受け止められ、その回転を
『ヤバい――!』
動きを
『“ハルファス”』
悪魔が言うと、左脚の装甲が
――
無限の
六つのマスケットが〈ザミエル〉の
『
自由落下する〈ニンウルタ〉が
その躯体に向けて、六つのマスケットから
アスファルトやコンクリートが
『が、は……っ』
その躯体は
そこへふわりと降り立った〈ザミエル〉が、背中に生えた翼を
本物の悪魔だった。
炎の中で
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〈近況ノートにて機体やキャラの設定イラストを公開中です〉
・厄災躯体ザミエル
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