6-4
〈ヴェスパ〉が勢いよく駆け出した。向かった先は、最初にアゼリ神父が立っていた
「こっちだ!」
弾切れになった三十ミリライフル砲を
教会の壁が近づく。〈ヴェスパ〉が背中のグレネードランチャーを引き抜きざまに発射した。六十六ミリ
身体中が痛い。
『わざわざありがとう。
〈ヴェスパ〉を追って教会の中へと飛び込んできた〈アマルティア〉が、
『そういうことか――!』
敵もちなみの
〈ヴェスパ〉は狭い教会内を走り、
炎がばちばちと
もとより木造の建築だ。
『やらせまいよ!』
「こっちこないで!」
〈アマルティア〉の拳銃――ガバメント・ロングバレルが火を噴き、発射された
兵器と騎士が
同時に
天井がぎしりと
いくつもの柱を破壊された教会は、もう
〈アマルティア〉が拳銃を発射。ちなみはそれを避けずに突っ込んでいく。〈ヴェスパ〉の左手からグレネードランチャーがはじけ飛んだ。それに構わず武器セレクターを回転させ、トリガーを引く。
〈ヴェスパ〉
『なんという――!』
拳銃を構えようとした〈アマルティア〉の左脚にロケット弾が
「小鈴っ!」
手を伸ばす。
〈ヴェスパ〉の
『行かせるか!』
「しつこい……っ!」
地面を
エンジンが
〈ヴェスパ〉が最後の力を
次の
屋根が一斉に
「あ、あぶなかったぁ……」
ちなみが間の抜けた声を上げる。
全て作戦通りだった。アゼリ神父を殺さずに
ついに〈ヴェスパ〉が
「血まみれじゃん! ほんとに大丈夫!?」
黒いボディスーツ姿の小鈴が駆け寄ってくる。
ちなみは本当にひどい
「へーきだよ」
「平気じゃないよっ!」
「あ、あはは……」
何も言い返せず、ちなみは力なく笑う。気を抜いたら、だんだんと視界が白くなっていった。意識がもうろうとしてきて、思考はもやがかかったようにぼやけてくる。
「やっぱりちょっと疲れた、かも」
ふらりと倒れそうになったちなみを小鈴が優しく
「ちなみちゃんは休んでていいよ。最後の武器は小鈴がとってくるから」
「ん……」
「ごめんね」
どうしてそんなことを言うんだろう。なぜ泣きそうな顔をしているんだろう。そう聞こうと思っても、ちなみには声を発する元気が残っていなかった。
「今までありがとう」
小鈴が言う。
その言葉を聞いたきり、ちなみの意識は
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