6-3
教会の前に
『わ!?』
小鈴の声と共に、ライムグリーンの巨人が
ちなみは〈ヴェスパ〉を
「小鈴ってこんなに戦えたの!?」
『そんなとこに驚いてる場合じゃないよっ』
〈イフェイオン〉が
『うしろ!』
という小鈴の声が聞こえた。
「わあ!?」
いつの間にか背後に回っていた〈アマルティア〉が、
〈ヴェスパ〉が
ちなみは着地と同時に
そこに〈イフェイオン〉が槍を差し込んできた。さらに〈アマルティア〉が十字剣を繰り出し、隙のない
『
「え、私ほめられてる?」
それには答えず、〈アマルティア〉が腰から長砲身の
ちなみは〈イフェイオン〉の攻撃を避けつつ、十字架の騎士に向けて機関砲を発射した。
二十ミリ
左の
その攻撃を避けようとしたとき、ちなみは気付いた――バックステップした〈アマルティア〉が、ちなみと小鈴を両方同時に撃ち抜こうとしていることに。
「……ごめんっ!」
〈ヴェスパ〉が空中で身体をひねり、〈イフェイオン〉を蹴り飛ばす。
同時に巨大な拳銃が火を
見た目に反してとんでもない
息をつく間もなく、十字剣を振りかざした〈アマルティア〉が迫ってきた。回避。背後から〈イフェイオン〉の攻撃。回避。
――戦いづらい。
〈ニンウルタ〉と戦ったときと同じだ。ちなみは『壊さない』ようにするのが一番苦手らしい。
この二体を同時に
そもそも小鈴に銃を向けたくないし、ここで〈イフェイオン〉を破壊するのもまずい。ここまで
そして、ちなみは〈アマルティア〉から
トリガーを引く。
〈アマルティア〉が十字剣と左腕をクロスして二十ミリの砲弾を防いだ。騎士は拳銃で
そして背後からも〈イフェイオン〉が迫る。またもや
「うぅ……一回
言いながらその攻撃を回避する。
アゼリ神父は
その攻撃は嵐のようだ。十字剣による鋭い
ちなみが反撃しようとすれば〈イフェイオン〉を
「やばいやばいやばいっ」
フェイントをかける
『なんという
割って入ってきた〈イフェイオン〉の槍が胴体装甲を
「やば……!」
コートを
ちなみの口から悲鳴が
オレンジの二脚兵装は
『ちなみちゃんっ!』
小鈴の声が頭に
〈アマルティア〉と〈イフェイオン〉が接近してくる。大型の拳銃がこちらに向けられた。回避を――
「い……っ!?」
操縦桿を握った右腕に
〈アマルティア〉が拳銃を発射。
――ダメだ、かわしきれない!
「~~っ!?」
〈ヴェスパ〉の装甲をぶち破って、銃弾が操縦室の中に飛び込んできた。
左上の壁が
「――は、ぁ」
ちなみが
何も見えない。何も聞こえない。
今まで感じたことのない恐怖が感覚を
それでも身体は勝手に動いた。痛む全身を動かして機体を
「うぅ……いたい……」
機体を操縦しながらちなみがうめく。
視界の左半分が赤かった。多分、頭部から出血している。左の太ももに大小の
『ちなみちゃん、大丈夫!?』
「へーきだよ。ちょっとだけ……っ、血は、出てる、かもだけど……」
『もういい。もう小鈴のことは放っておいて』
小鈴が
三十ミリ砲で
とにかく回避に集中だ。そして
全身が痛い。特に左半身が
神父が拳銃を撃ち切ったのか、グリップから空のマガジンが
その時、小鈴がこんなことを言い出した。
『小鈴はね、
声を
いつもより
耳元では、小鈴が必死になにかを
『これだけ生きてこれたのは、ズルして悪魔に助けてもらってたから! 小鈴はもう十分ズルをした。ただそれが終わるだけなんだよ』
全身にあぶら汗がにじむ。
機体を操縦し、回避と
『ちなみちゃんといるのも
〈ヴェスパ〉が三十ミリ弾を発射し、十字剣を
『ねえ、ちなみちゃんっ。ちゃんと聞いてる?』
「聞いてない!」
『え!?』
小鈴が
『なんで!? だからね、小鈴のことはいいから早く逃げ――』
「やだ!」
機体を操縦しながら返事をする。
ちなみはめちゃくちゃな状態だった。思考は冷静に
それを受け入れなきゃいけないときもある。穂高ちなみが普通の女の子ではなく、
けれど、小鈴のことは違う。
今なら手が届く。手を伸ばせば変えられる。
『これ以上はむりだよっ。ちなみちゃんが死んじゃう!』
「死なない!」
拳銃弾をステップで回避する。
「だって私、最強の二脚操縦兵なんでしょ。それだけが私の
拳銃を撃ち尽くした〈アマルティア〉がマガジンを捨て、リロードする。
時間
「待ってて、小鈴」
「絶対勝ってみせるから――!」
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〈近況ノートにて機体やキャラの設定イラストを公開中です〉
・アマルティア
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