6-2
『
ちなみと小鈴は
もう新学期が始まっていて、ちなみは
制服姿のちなみは
『
「そう言われるとなんかえぐいね~」
考えるまでもなく、研究材料、なんて言葉は人間に対して使うものじゃない。
『ですが、今回は
「なんでそんなのがわかるの?」
牛肉を
『今回の敵が、“シディム
「神父さんが敵なの?」
『シディム騎士修道会――
「しかい騎士団?
ちなみが首を
「それは『歯科医』でしょ。相変わらずちなみちゃんはおバカだねー」
「ば、ばかじゃないですう! ちょっと
顔を赤くしたちなみを見て、いししと笑った小鈴が説明を付け加えた。
「悪魔が言ってるのは死の海って書いて『
「えっじゃあ『
『歴史の
はいきょう。
ちなみの脳内でそれが『背教』に
「どーしてそんなことするの? いやならしなきゃいいのに」
『今回の敵は、アゼリ・ダンという人物です。三十六歳の日本人。シディム騎士修道会の神父であり、能力の高い
「え? うーん」
しばらくもくもくとお弁当を食べていたちなみが、ふと思いついたように顔をあげ、
「友達に
と
「だっ……だよね! 私も違うかな~とは思ってた!」
必死で
『もちろん、友人に誘われたからではありません。アゼリ・ダンは家族を“
「それはぜんぜんありふれてないと思う!」
『シディム騎士修道会はそういった
もしそれが本当だとしたら、かなり
ちなみは「やばいね~……」と呟きながら、
「とにかく、そのアゼリさんって人が小鈴の命を狙っていて、青森で
ちなみが聞く。
『ええ。その通りです』
「じゃあ、その人たちも
小鈴と戦うなら
しかし、小鈴は「二脚には乗んないよ」と否定した。続けて悪魔が、
『チナミは
と聞いてきた。
「さすがのちなみちゃんもそれは覚えてます!」
『
悪魔が説明すると、小鈴がこう付け加えた。
「そうは言っても見た目はただの騎士だよ。でっかいけど」
「見たことあるの?」
「うん。逃げてばっかりで、まともに戦ったことは一回もないけどね。背教騎士はずっと小鈴の命を狙ってて、どこに逃げても追いかけてくる。
そう言った小鈴の
小鈴はなんでもないことのように言うけれど、そんな
*****
ちなみは〈ヴェスパ〉の
小鈴は一キロほど
罠だと知ってわざわざ小鈴が
しばらく進むと、目の前に古びた
赤い三角屋根に白い壁。
そして、教会の入り口前に一人の人物が立っていた。
ちなみは外部スピーカーをオンにして、その人物に話しかける。
「あなたが
男が口を開いた。
『そうだよ、穂高ちなみさん』
「私のことも知ってるんですか?」
ちなみが聞くと、アゼリ神父はにこりと笑ってこう答える。
『もちろんだとも。小鈴さんにまつわる情報はおおむね
「えっ? あ、ありがとうございます……じゃなくて、
『わかっているとは思うが、答えはNOだよ』
アゼリ神父が
『
「でも、小鈴はなんにも悪いことしてないですよ?」
『そうだね。まっとうなエクソシストなら、小鈴さんから悪霊を
それはそれで悪魔がかわいそうだと思いつつ、アゼリ神父の次の言葉を待つ。
『だが、今となってはそれも難しい』
「どーしてですか?」
『小鈴さんは
そう言った神父は穏やかな表情を浮かべたままだ。
ぞぞ、と
「で、でも残念でしたね! 小鈴はきませんよ!」
『それはどうだろう?』
アゼリ神父が持っていたロザリオを
『うわ、なに!?』
小鈴の
『ボクとしたことが
魔法円。
それは、中世ヨーロッパのグリモワールに記された、悪魔を服従させるための
一キロメートル以上の魔法円など、
『申し訳ありません、チナミ。
『ちなみちゃん、
「――!」
小鈴がそう言う前に、ちなみの
ライムグリーンの巨人が
『穂高ちなみ……いや、“フライシュッツ”と呼んだ方がいいのかな?』
アゼリ神父がそう言った。
まただ。
誰もがちなみを『フライシュッツ』と呼ぶ。その名前を聞くたびに、ずきりと胸が痛んだ。ちなみはフライシュッツじゃない。穂高ちなみは穂高ちなみであるはずなのに。
胸を
『悪魔に
ロザリオをかかげ、アゼリ神父が
『
瞬間、
光の中でアゼリ神父の身体が
その十字架が青く発光する。
さらに、右手に十字型の
〈
天使に近しい、
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〈近況ノートにて機体やキャラの設定イラストを公開中です〉
・ヴェスパ二号機通常仕様
https://kakuyomu.jp/users/kopaka/news/16818093085157045158
・制圧躯体アマルティア
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