5-2
「どれどれ……」
そう言いながら、小鈴がちなみのノートを
それは、ちなみが思い出した過去の
《最初の名前は『J21』←名前?》
《アイヌントツワンチヒ アインウントツヴァンツィヒ》
《フライシュッツ》
《たぶんドイツ》
《うさぎの卵←うさぎって卵から生まれるんだっけ?》
《結構つ□□□□闘訓□□けてな□□》
《森? 地下?》
《DUBISTNICHTICH》
《眼鏡で背の高いおじさん先生》
《フライシュッツは途中から》
《カレー》
《最初□□□□□はどこかの国□□□隊》
《クリプティッド。三回くらい?》
メモの内容を見て、小鈴が顔をしかめた。
「……なにこれ? 暗号?」
メモの内容は
「あはは、そのへんは私にもわかんない」
ちなみが笑いながらそう言った。
しかし、わかる部分もある。キーワードを見れば、なんとなく関連する
小鈴がノートのページをめくりながら続ける。
「内容がちっとも整理できてないし、
「なんで? カラフルなほうがかわいいじゃん」
「全体的に
「え、ひどい!」
ちなみが
「やれやれ、
「そ、それは……そうだけど……」
「
「言わないよ! ちゃんと
顔を赤くしたちなみを見て、小鈴がけらけらと笑っている。
そんなやりとりをしていた時、スマホにメッセージの通知がきた。からかわれて涙目になったちなみがスマホのロックを
『これを
続いて画像が送られてくる。
それは、見覚えのある真っ黒な十二
「悪魔の武器だ」
スマホを覗き込んだ小鈴が言う。
「東京だって!」
目をきらきらさせたちなみが返事をした。
「え、そっち?」
「ねえねえ小鈴、ついでにプチ旅行しよーよ! 東京だよ、東京!」
「いやだ。めんどくさい」
「なんでぇ~。いこうよぉ~」
「べたべたしないで! うざい!」
「あうぅ」
抱きつこうとしたちなみを小鈴が押しのける。
四つ目の武器、『ダンタリオンの左腕』――それを
*****
東京駅まで新幹線で移動し、そこからJR中央線に乗り換えて約四十分。バスに乗り換えて向かったのは、待ち合わせ場所としてリアに指定された
木々が立ち並ぶ森の中を、いつもの制服姿をしたちなみと小鈴が並んで歩いている。
日は
『
小鈴が手にした黒ボール、悪魔が言った。
「そうだね」
「だよね~……」
小鈴とちなみが
「小鈴はこのあたりで待ってて」
ちなみが言った。
ここから先は、どんな罠が
「いやだよ。怖いし」
そう言いながら、顔をしかめた小鈴がちなみの手首をぎゅっと
「じゃあ、
ちなみが真剣な顔で言うと、小鈴は「そこまで言うなら……」と
『
そう悪魔が
前回出撃したときとは違い、二号機は
起動手順を
『気を付けてね』
「うん。小鈴もね」
その正面に、モスグリーンの
〈XM17アーヴィン〉。
それは、商店街で見たのと同じリア・エバンスの乗機だった。
ジェット機が飛ぶようなガスタービンエンジンの
これこそ、米軍の
「リアさん……だよね?」
ちなみが
すると、それを
『来たね』
リアの声がそう言った。五十メートル先の〈アーヴィン〉がM807アサルトライフル砲を構える。安全装置は
『悪魔の部品を返す条件は一つだよ』
二脚の外部スピーカーは
『私に勝ってみせて――フライシュッツさん?』
「――!」
ちなみの身体が、
操縦桿を倒し、ペダルを
かっとんできた三発の二十ミリ
――本気だ。
ちなみは
やらなきゃやられる。
安全装置解除。〈ヴェスパ〉が両手の機関砲を持ち上げ、
しかし、〈アーヴィン〉は一歩も動かなかった。
「うそ……」
二十ミリ砲弾は敵機の近くを通り過ぎ、その後ろのコンクリートに
普通の操縦兵なら、
――いや、違う。
ちなみは本能的に
「ふう……」
ちなみが短く息をつく。
『ダンタリオンの左腕』を返してもらうためには、〈アーヴィン〉を
操縦桿を倒す。
〈ヴェスパ〉が走り出して、
*****
『チナミの一番の武器は
「それはなんとなくわかるよ。すごい反射神経してるよね」
木々の
『確かにチナミの反射神経は
「じゃあ、どうやって避けてるの?」
『フェイントです』
「右に避けると見せかけて左に避ける、みたいな?」
『実際はそれほど
「どういうこと?」
『フェイントによって、敵は最も避けやすい場所に攻撃するよう
「なにそれ、かっこいい。チートじゃん」
『では、チナミに攻撃を当てるにはどうすればいいと思いますか?』
「それが無理なんでしょ。倒そうとすると攻撃を誘導されて避けられちゃうんだから」
『ええ、ですから』
一度言葉を切ってから、悪魔はこう続けた。
『倒そうと思わなければ、攻撃を当てられるのではないでしょうか?』
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〈近況ノートにて機体やキャラの設定イラストを公開中です〉
・ヴェスパ二号機通常仕様
https://kakuyomu.jp/users/kopaka/news/16818093085157045158
・XM17アーヴィン
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