4-2
「いやだ! 小鈴は
そう言った小鈴が、
三月十八日、土曜日。
ちなみは小鈴の家にやってきていた。小鈴の家は、
数日前、小鈴からではなく悪魔から
そういうわけで、制服を着て
「そろそろ起きて! 悪魔の武器を取りに行くんでしょ」
ちなみが布団を
「いやだ! ちなみちゃんだけで行けばいいじゃん!」
「そんなの無理だってぇ~」
『武器を集めなければ“無敵の引きこもり”にはなれませんが、どうしますか?』
悪魔が声をかけても、小鈴が布団から出てくる
「イヤなものはイヤ! 行きたくない! だいたい、なんでちなみちゃんに
「うぐ……」
取り付く
しかし、ちなみはめげずにどうしたらいいか考え、しばらくしてふと思いついたように目を
「じゃあさ、
ちなみはハンガーにかけてあった制服を手に取り、小鈴の布団を力ずくで引っぺがす。
ちなみは
*****
『アンドラスの右腕』は中国地方に
ちなみは初めての
「外見て、外! すっごい青空!」
ちなみがテンション高めに話しかけるものの、小鈴は
「ねえねえ、そろそろ
「別に怒ってないし」
「そーなの?」
「うん」
そう言うと、小鈴は
怒っていないとは言うけれど、小鈴は明らかに
小鈴と出会ってから、もう一か月が
仲良くなれたと思っていたのはちなみだけで、今まで小鈴はイヤイヤ付き合ってくれていたのだろうか。
「う~ん……」
胸の前で腕を組み、どうしたものか考えているうちに――ちなみはころりと寝てしまった。肩にもたれかかって
*****
中国地方の
その
「ね、ねえ……絶対ヤバいよ、これ……」
「大丈夫だって。ちなみちゃんにまかして!」
一方、小鈴に頼られて
そこは、かなり大きな工場だった。古い建物なのか、
「ウシャンカの腕だ」
ちなみが呟く。
〈ウシャンカ〉とはソ
「よし、いこっか」
「やっぱり来るんじゃなかったぁ……」
小鈴を背中に張り付けたまま、開けっ放しの扉をくぐる。工場の中は
「ひぇ……」
背中から小鈴の
床じゅうに二脚兵装の
工場の奥まで歩くと、差し込む光に照らされて、〈ウシャンカ〉の
「あ? 誰だ?」
その人物が低く
「行っちゃダメだって! 戻ろう!?」
小鈴が小さい声でちなみを引き止める。
「でも――」
「おい、ガキども。言ってみろ、オレに何か用か?」
目を細めた男が、ゆっくりとした
「
「聞いてねえよ、ブチ殺すぞクソガキ」
「ひ……」
小鈴がさらに
男の
「えと、ちょっと聞きたいんですけど、ここに『アンドラスの右腕』って言う武器が落ちてませんでしたか?」
ちなみが恐る恐る聞くと、ニヤリと口の
「これのことか?」
それは、前に小鈴が見せてくれたのと同じ黒い
「それです!」
「なら、お前がこいつの『持ち主』か?」
「私じゃなくて、後ろにくっついてる子のものです」
「そいつが?」
男が
「まあいい。そいつが『持ち主』だろうとなかろうと、どのみち生かして帰すわけにはいかない。どうあれ殺すだけだ。オレの仕事を
そう言って、男が〈ウシャンカ〉の残骸に目を向ける。頭にくる
「えーっと、それはちょっと困るんですけど……」
「
空気を読まないちなみの間の抜けたコメントを、男がぴしゃりと切って捨てた。しかし、その後なにかに思い
「……おい、お前。まさか、お前が『フライシュッツ』か?」
まただ。
「そう、かもしれなくもないって感じです……?」
ちなみが
「いいだろう。お前らが本当に『持ち主』なら、これを奪い返してみろ」
長髪の男が立ち上がり、その名を呼んだ。
「『ダウリクス』」
その背後で、黒く巨大な物体がうごめく。それは人型だったが、人間にしてはあまりにも大きすぎる。
「ロボットだ……!」
人型ロボット。二脚兵装ではない、なにか
頭部からは大きなブレードが伸びている。顔あたりに
『
「がいそう……!?」
『戦闘準備を開始してください。“
悪魔がそう
「二脚兵装と
ふん、と鼻を鳴らした男が、
『ちょうどいい。こいつを試してみるか』
男の声が言うと、やかましい音をたてて〈ダウリクス〉の右腕が
『“
男が呼んだのは、小鈴が回収するはずだった武器の名前だ。
〈ダウリクス〉の右肩から、
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〈近況ノートにて機体やキャラの設定イラストを公開中です〉
・ダウリクス
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