3-3
岩と森に囲まれた、人の寄り付かない静かな
その森の中から、二人の人物が現れた。一人は
「……あんたら、なんでそんな
男の方が
その視線の先にいるのは、
すると、青髪の少女の方が、二人にジト目を向けつつ口を開いた。
「どうやらとんでもないバカのようですね」
「ば、ばかじゃないですう! って、誰あれ!? すっごい可愛いんだけど!」
ちなみが言うと、小鈴が大きなため息をついた。アメリカ人の男はそんな小鈴に笑顔を向けて、
「久しぶりじゃないか、シャオリン・ダンバース。元気にしていたかな?」
「元気ない。寒くて死にそう。帰ってほしい」
「そうか。それは
そう言った男が小鈴から目を
「それで、そっちの
ちなみはその言葉にどきりとした。
相手はちなみのことを知っているらしい。それどころか、『フライシュッツ』と呼んだということは、ちなみが
どう返事をしたものか少し迷ってから、ちなみはこう言った。
「本名は
男は一瞬
「初めまして、チナミ。俺はデレク・カーン。そして、この
「勝手に紹介しないでください」
シャルーアと呼ばれた青髪の少女が、イヤそうな顔をして言葉を続けた。
「
『おや、誰かと思えば四カ月前にボクたちを取り逃がした
すると、売り言葉に買い言葉で悪魔が少女を
「低級の悪霊の
『神聖な
「余計なお世話です。死んでください」
突然始まった
「なになに、ぜんぜんついていけないんだけど。知り合い?」
「あいつらは数か月前に小鈴たちを取り逃がしてて、それで
「ご紹介ありがとう。だが、その説明はとんだ間違いだ」
小鈴が説明していると、デレクがその説明に割り込んできた。
「シャルーアの言う通り、前回は逃がしてやったのさ。しかし今回はそうはいかない。フライシュッツだかなんだか知らんが、ケガしたくなきゃ帰ったほうがいいぞ、嬢ちゃん」
デレクがサングラスを外し、
空気が変わった。今までのおちゃらけた雰囲気は
「いくぞシャルーア。『
シャルーアの身体が浮き上がり、その姿が
オーバード・スケール。
ヒトのままヒトという
空中に次々と
「なに、あれ……」
ちなみが
〈
身長は約三・五メートル。全身を包む
ちなみが
『“
ちなみの
『それが例の
デレクの声で、〈ニンウルタ〉が小さく呟いた。
「なにぼさっとしてるの、ちなみちゃん! 早く乗って」
『“
悪魔の声と共に、小鈴が〈イフェイオン〉へと変身した。ちなみは
『きて、“フォルカロル”!』
ちなみが
『逃がすもんかよ』
そこで、初めて〈ニンウルタ〉が動いた。
青い巨人は
『うそ――』
小鈴が言い終わる前に、青い巨人が〈イフェイオン〉へと
インパクト。
「やば……」
ちなみは思わず呟いた。
〈ニンウルタ〉はふわりと
『おいおい、
すると、デレクがあきれた声をあげ、〈ニンウルタ〉が肩をすくめる。
「小鈴、悪魔! この人……なに!?」
モニターから目を離さないようにして聞くと、うめく小鈴を置いて、悪魔の声が説明を始めた。
『ニンウルタ神。今から五千年以上前の古代メソポタミア文明、シュメールの
「え、神さまなの?」
『デレク・カーンはただの人間! シャルーアがニンウルタ神の
息も絶え絶えな小鈴が、早口でちなみの
『
「が、がらくたじゃないからっ!」
ちなみが口を
古代の神様と比べたら、性能が劣っているのは確かだろう。それどころか、
『どう見てもガラクタだろ。マジでやめとけ、ケガするから』
「違うってば!」
いずれにせよ、小鈴を助けるためには〈ニンウルタ〉と戦わなければならない。ちなみは素早く
ごんごんごん、と重々しい射撃音が
大量の二十ミリ
「ぜんぜん
『そら、言わんこっちゃない。シャルーア、いくぞ』
『第二段階、解放』
メイスに組み付いた三つの刃が高速回転を始める。
地面に大きな影が落ちた。
晴れ渡っていた昼間の青空が、見る見るうちに
「天気が変わっちゃった……!」
〈シャルーア〉が力を解放しただけで、天気が雨へと変化した。ニンウルタ神は、古代メソポタミア文明における
古代メソポタミア文明。
それは今から約五千年前、ペルシャ
シュメール人は『都市』だけでなく『文字』をも発明し、優れた学問、芸術、そして
今、ちなみの目の前にいる存在は、失われた古代文明の
超常的な力を持つ
『
そう言って、〈ニンウルタ〉が
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〈近況ノートにて機体やキャラの設定イラストを公開中です〉
・ニンウルタ
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