契約完了
「ジャン。今日からここは貴女の職場ですの、しっかり働きなさい!」
「あの、私…」
「あら、なんですの?」
「…魔女かも、知れないのに……」
「……」
“魔女”…近年、庶民や貴族、地位関係無く噂される存在。
勿論、噂は悪い方で…前世の中世ヨーロッパでも流行した“魔女狩り”も行われる始末。
事実無根なのに魔女とされ、火炙りにされた人もいる。
はぁ…と溜息を吐いた。
「私、そんなの信じませんわ」
馬鹿馬鹿しい、と呟くと、ジャンは俯いた。
「…ッ、」
「ジャン?…ジャン、」
泣いているの?と聞けば、何で、と震える声で呟くジャン。
「なんで、噂を信じないの…?」
「…逆に聞くわ。何故信じないといけないの?」
「……!」
目を見開くジャン。
よく見れば、肌はボロボロで、艶のない髪、痩せ細った身体。
「可哀想に…」
きっと、魔女だと言われ、酷い扱いを受けてきたのだろう。
…まだ、私よりも幼いのに……
胸が、締め付けられた。
「あの…お名前、」
「マリア・テレジア。マリアと呼びなさい」
「マリア、様…」
先程まで、あんなに悲しい
けれども、今のジャンは、僅かにだけれど希望の炎を瞳に灯していた。
「…私、貴女様に仕えたいです…どうか、貴女の侍女にしてください……!」
頭を床に付け、土下座をするジャン。
「…頭をあげなさい、ジャン」
恐る恐る頭を上げるジャン。
「貴女を…ジャン・ダルクヌを、私の侍女といたしますわ!」
こうして、私…マリア・テレジアは、推しであるジャンヌ・ダルクと瓜二つの最推しキャラ、ジャン・ダルクヌを侍女とした。
悪役令嬢に転生したので、推しに瓜二つのとあるキャラを救おうと思います! 中太賢歩 @YAMI_SAKURA
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