40. パワーワードを使いこなす
これは私見ですが、パワーワードというのは「論理的には正しくないけれど、語感やニュアンスで伝わる言葉や表現」のことだと考えています。
よく知られているものでは「◯◯は爆発だ」「◯◯しか勝たん」「全◯◯が泣いた」などが典型です。
・恋は爆発……本当に爆発はしないけど、そのぐらい強烈な想いが大事
・ギャルしか勝たん……別に誰かと勝負しているわけではないけど、ギャルが一番
・全俺が泣いた……号泣するほどの激しい感情が俺の心を満たした
論理的プロセスを省略して、インパクトだけで強制的に「
以下、真野の自作品から、三つほど具体例を引用します。
【パワーワード例】①「ナチュラルボーンクソザコ」
◆『ニカからめぐすり』
https://kakuyomu.jp/works/16818622170803459439
「そ、それじゃ……キ……ほっぺにキス……とか」
「え~? あたしが『何でも』って言ってるのに
* * *
パワーワードが活きるのは、やはりコメディ作品。というわけで、一話完結の百合コメディからのワンシーンです。ザコ先輩&ウザい後輩カップルの会話。
「ナチュラルボーンクソザコ」を額面どおりに解釈すると「生まれながらの弱虫」ですが、この際正確な意味は求められていません。気心の知れた者同士のじゃれ合いですので。
なので、この場面では「
【パワーワード例】②「実質ペアルック」
◆『パワハラ課長とお荷物くん』
https://kakuyomu.jp/works/16818093077478146842
★第4話 その時、電流が走ったんだ
https://kakuyomu.jp/works/16818093077478146842/episodes/16818093078449452273
(……柔軟剤の香り……ん? もしかして
同じ匂いを
* * *
こちらはBLコメディの一場面です。部下に想いを寄せる課長のモノローグがうっすらキモい(この直後セルフツッコミが入ります)。
それはそうと「実質◯◯」もよく使われる表現ですね。「実質無料」とか「実質ゼロカロリー」とか「実質セッ◯ス」(=実セ)とか……うん。
実質=「必要条件は満たしていないけれど、それ以外の要素で補って余りある」ぐらいのニュアンスだと、私は捉えます。俗に言う「数え役満」みたいなものですね。これもパワーワードの一種ですが。
【パワーワード例】③「絶対の死を運ぶ鉄塊」
◆『
https://kakuyomu.jp/works/16818093080062396426
★第58話 命知らず四人衆 ~ 友情は生死の狭間を越えて
https://kakuyomu.jp/works/16818093080062396426/episodes/16818792435871709237
大きく振り被った
〈中略〉
* * *
連載中のアクションコメディから、
「絶対の死」とはなかなか大袈裟です。それは承知のうえで、攻撃を受ける側の主観的印象を汲んだ誇張表現になります。
逆に考えれば、パワーワードは客観視点には向かない表現方法と言えるでしょう。
ちなみに、本作『
言ってしまえば、シリアスはギャグの前フリですね。お菓子に塩をひとつまみ。そんなアクセントとしての位置づけです。
パワーワードは使い所を選べば、読者の意識を作品に引き込む強力な武器となり得ます。
ただし、多用しすぎると重みが薄れますし、読者にとっては勿論、何より作者にとっても思考停止を招きかねないので注意が必要です。あくまで、数ある表現方法の一つにとどめるのが賢明でしょう。
余談ですが、官能小説はパワーワードの宝庫ですので、成人の方はご参考になさるとよろしいかもしれません(下記エッセイにて紹介)。
◆『にわかオタ今昔~好きなことだけ語りたい!』
https://kakuyomu.jp/works/16817330658975712480
★31. 子どもからオトナまで……?【おすすめ指南書】
https://kakuyomu.jp/works/16817330658975712480/episodes/16817330663297296412
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