17. リズムを意識する

 幼児は言葉を覚える際、正確な子音よりも先に母音=リズムから習得するのだとか。



◆メロディック音読


 文章を声に出して(もしくは頭の中で)読んだときのリズム感は大切だと考えています。


① サナはマユの手を取り、走っていった。

② サナはマユの手を取って、走っていった。


 ②は「~って」が連続しています。座りが悪いと感じるようであれば、①の形を選びます。


 ただし、動作の移り変わりのなめらかさや、「手を取る」と「走っていく」へ向ける意識の比重など、細かなニュアンスの差異には注意が必要です。

 ①の方は二点間の移行がスムーズで、②の方は両方の動作へ均等に重点が置かれています。


②' サナはマユの手を取って、駐車場まで走っていった。


 いずれにしても、自分で音読した際に引っかかりの少ない形に近付けるようにしています。



◆体言止めグルーヴ


 多用するのは品がないとされる、体言止め。(←こういうの)

 ですが、むやみに連発するのでなければ、過剰に忌避する必要はないと考えています。


① あの日、れんは確かに輝いていた。鍵盤の上を軽やかに踊る長い指。ものの数秒で、俺はあいつに視線を、そして心を奪われた。


② ジェロムは諦めない。敵の突進を回避。すかさず突き技で反撃。とどめは覚えたてのファイアボールだ。


 体言止めを挟むことでリズム感が生まれ、軽快な印象を与えられます。小説では勿論のこと、共感や感心を引くのが大事なエッセイではより効果的です。



 リズムといえば音楽。例えば下記の音楽エッセイでも、いたる所で体言止めが活用されているのがお分かりいただけるかと思います(宣伝)。



◆コンナ音楽堂 ~古今東西アルバム探訪~

https://kakuyomu.jp/works/16818093073321060108

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