12. 作品完成の秘訣:面白さは作者が知っている

 前回も書きましたが、当サイトにおける真野まのうおの実績は皆無です。

 毎日仕事や家事の合間を縫って執筆に励んでおりますが、書き上げた小説が注目を浴びることはありません。


 幸い相互フォロワーの皆様に助けられてはおりますが、それでも★三桁には程遠いのが現状です。

 唯一自慢できるのは、長編小説をその都度つどきっちりと完結させていることぐらいです。



 完結の秘訣はシンプルです。「読者としての自分」に向けて書き続ければいいのです。


 「こういう小説が読みたい」と、自分で分からない人はいないと思います。読者の需要が明確なのですから、筆の迷いは一切なくなります。

 自身の欲求こそが物語の展開を指し示してくれる。これほど心強いことはありません。



 そんな真野の執筆スタイルは、理論派か感覚派かで言い表すなら、断然後者です。


 とはいえ念のため、物語のスタートとラスト、途中いくつかのチェックポイントだけは大筋として最初に決めておきます。


 ただし、個々のシーンに関しては別です。決め事は最低限度に絞ります。

 設定するのは、場所とシチュエーション、登場人物、シナリオ上必須となる行動や台詞(伏線の配置と回収を含む)のみです。


 それ以上はどれほど細かく決めたとしても、本文を書き出す段になると、事前とは勝手が違ってきます。



 いわゆる「キャラが勝手に動く」現象――実際に経験のある作家様も多いのではないかと察します。

 例えるなら、脚本を離れて、役者がアドリブを演じ始める感覚に近いです。


 かといって、役者に任せきりとはなりません。ストーリーが大筋を外れないよう、監督(としての自分)が適宜判断と調整を行います。

 仮に筋書きを逸脱した場合、脚本家(としての自分)に新たなシナリオを再発注する必要が出てきます。



 あくまで初期案準拠で行くのか、それとも修正案で行くのかは、自分の中の監督と脚本家で相談です。すり合わせの不備は作品完成の大きなさまたげとなるので、慎重を要します。


 後発のアイデアの方が面白いと感じる場合が多いですが、新案の採用は初期設定がたんするリスクと隣り合わせだということを肝に銘じましょう。設定やシナリオの変更は、大筋に影響を与えない範囲にとどめるのが無難です。



 こうして真野魚尾は作品を書き上げています。自分で読んでも楽しいと感じる小説が手に入ったわけです。

 この時点で目的は100%達成しているのですから、読者様からの評価や応援は追加のごほうびだと割り切れます。


 小説に限らず、創作活動というものは生産的で、かつとても健康的な趣味と言えるのではないでしょうか。

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