38.卵のゆくえ

■38.たまごのゆくえ


 日曜日にちようび


 まちにある教会きょうかいかねあさきると、いきなりの朗報ろうほうっていた。


「おはよう、ミーニャ」

「おはよぅエドぉ」

「コッケココ」


 エッグバードがたまごんだのだ。


 いきなりか、とおもったけれど、すでに成体せいたいだし元々もともと毎日まいにちのようにむのであれば、いきなりまなくなるほうがへんかもしれない。

 環境かんきょうわるとまなくなるかもしれなかったので、すこ心配しんぱいしていたのだ。


 たまごくさいたもどきのうえにちゃんとかれていた。

 たまごうえには一応いちおう、エッグバードがすわっていたけれど、ちょっとどかしてみたらたまごしたからてきたのだ。


「ごめんね、でもたまごくださいな」

「コッケ、ココッココ」


 べつ抗議こうぎではないようだけど、ごえげた。

 たまごちいさいかごれて、様子ようする。


 たまごがなくなってしまったけど、エッグバードはおとなしく自分じぶんすわっている。

 とくさわいだりはせず、ぎゃくんだりしている様子ようすもない。

 とりだからなにかんがえてるかよくわからないけど、大丈夫だいじょうぶそうだ。


 さっそくあさはん使つかってみる。


 1しかないのでスープにれることにする。

 ホレンそうたまごとタマネギのスープだ。


 ホレンそうとタマネギをれてでて沸騰ふっとうさせる。

 ボウルの代用だいよう深皿ふかざらたまごれて、スプーンでかきぜておく。


「これがたまごなの?」

「そう。黄色きいろいのが黄身きみまわりの透明とうめいなのが白身しろみだよ」

「ふうぅん。カエルのたまごとは全然ぜんぜんちがうね」

「まあね」


 ミーニャのなかではたまごはカエルのイメージなのだろう。


「カエルのたまごだとおもうと、あんまり美味おいしそうじゃないね」

全然ぜんぜんちがうんじゃないかな、カエルのたまごべたことないけど」

「そうなんだ」


 さて、カエルのたまごあじはともかく、ニワトリのたまごにそっくりなので大丈夫だいじょうぶだろう。


 たまごえんえがくようにスープをぜながられると、黄色きいろたまご薄絹うすぎぬのようにひろがっていく。


「わわ、なにこれ、すごい」

「ああ、結構けっこう綺麗きれいだよな」


 こうして日本にほんうところの「かきたまじる」にちかいものが出来上できあがった。


 本当ほんとうはプレーンオムレツがきなのだけど、あれはたまごが3つくらいないとおおきくつくれない。

 みんなでひとつをけるとしたら、かきたまじるがいいかなとおもったのだ。


 ちょう定番ていばん卵料理たまごりょうりであるプリンもみんなでべるならたまご1では無理むりだ。


 エッグバードのたまご鶏卵けいらんより気持きもおおきい程度ていどだから。


 ほか料理りょうりつくってもらい、みんなであさはんだ。

 ラニアがいないのは可哀想かわいそうかもしれないけれど、またつぎ機会きかい卵料理たまごりょうりをごちそうしよう。


「いただきます」

「おぉお、なつかしいね、たまごだね」

「これが卵料理たまごりょうりなんだね」


 さすがメルンさんとギードさんはっているご様子ようす

 一方いっぽうのミーニャははじめてたから、まだ若干じゃっかんうたがっている。


美味おいしいね」

「なんだかふわふわしてて面白おもしろいね。風味ふうみもいいね」


 たまごスープはなかなかの好評こうひょうだった。

 ニワトリにてるし美味おいしいらしいと評判ひょうばんだったので、心配しんぱいはしてなかったけど、実際じっさいのところはわからなかったので、これで一安心ひとあんしんだ。


 たまご入手にゅうしゅできるとなると、つくれるレシピ、改善かいぜんされる料理りょうり大量たいりょうにある。

 現代げんだい日本にほんではいろいろな料理りょうりたまご使つかう。

 使つかわなくてもなんとかつくれるものもあるけれど、風味ふうみとかいろいろわってしまう。

 パンだってこなたまごぜたり、表面ひょうめん卵黄らんおうったりするし、フライやとんかつでもパンまえ卵液たまごえきにつけるとおもう。

 ハンバーグにもたまごれる。れる理由りゆうまではらないが。

 いわゆる卵料理たまごりょうりではなくても、そうやってかなり使つかうらしいのだ。


 メインは卵料理たまごりょうりとして使つかうとはおもうけど、こうしてひと食生活しょくせいかつゆたかになるのはうれしい。


 よくえばこのとり、4くらいしい。

 そうすれば家族かぞく4にん毎日まいにちべられる。


 レアモンスターというからむずかしいが、なんとかしたい。

 長期ちょうき計画けいかくにはれておこう。


「ねえ、もうたまごんだから、解体かいたいして唐揚からあげにしてもいいの?」

「おいミーニャ、誤解ごかいしてるぞ」

「え、なんで? 唐揚からあきだよ?」

「そうじゃなくて、たまごはほぼ毎日まいにちむんだよ。だからこれからもおにくにはしないんだ」

「そうなんだ。唐揚からあべたかったなぁ」

「またウサギの唐揚からあべよう。それで我慢がまんして」

「わかったっ」


 あやうくおにくにされてしまうところだったエッグバード。

 本人ほんにんとり)はそんなのつゆらず、呑気のんきくさついばんだり、のんびりしていた。


 ミーニャはエッグバードをて、よだれをらしそうなかおをしている。

 まだ唐揚からあげにするなのだろうか。


 ミーニャに唐揚からあげにされてしまわないように監視かんししないとな。

 もっともミーニャはおれにべったりだから、すきはそれほどないから大丈夫だいじょうぶか。


 さてどうしたものか。


 とりあえずエッグバードのえさ敷物しきものとしてくさ調達ちょうたつしてくるか。

 ついでに野草やそうってきて、野菜やさい代用だいようなどにもしようか。


 今日きょう日曜日にちようびだから、夕食ゆうしょく豪華ごうかになる予定よていだ。

 最近さいきんでは平日へいじつ割合わりあいいいものをべているとはいえ、やっぱり日曜日にちようび特別とくべつだ。


 そういう宗教しゅうきょうであるのと、パンの有無うむおおきい。


 日曜にちようはパンのなのでジャムの需要じゅようたかい。これはジャムがれる気配けはいがする。

 城内じょうないからもうわさけたひとがまたいにるらしく、ちょくちょくれているそうだ。


「いひひ」

「エド、わるかおしてる」

「ジャムはもうかるなっておもって」

「あーうん、そうだにゃ」


 しろてくるミーニャをながめながら、今日きょう予定よていかんがえた。


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