27.お使いクエスト

■27.お使つかいクエスト


 火曜日かようび


 またあさになった。


 ゴーン、ゴーン、ゴーン。トライエ市内しないのラファリエきょう教会きょうかいかねる。

 そういえば、教会きょうかいにはったことがない。たぶん。


 あれ、でもちいさいときにれられてったようながしてきた。

 内部ないぶ構造こうぞうおぼえている。

 左右さゆう椅子いすならんでいて、おく祭壇さいだん。ステンドグラス、主神しゅしんラファリエールさましろぞう

 何歳なんさいごろだろうか。そもそもトライエなのかもわからない記憶きおくだ。


 それで教会きょうかいではなくてですね、今日きょう見張みはやまこうとおもう。


 本当ほんとう月曜日げつようび午後ごご予定よていだったんだけど、予定よていどおりにはいかないもので。


「ということで見張みはやまきます」

本当ほんとうに?」


 ミーニャが確認かくにんしてくる。


 トライエ東門ひがしもんから街道かいどうひがしびている。

 南側みなみがわすぐはかわだ。それでもり北側きたがわおおっている。

 見張みはやまはそのもり街道かいどうすぐのところにある、標高ひょうこう100メートルくらいのひくやまだ。

 たぶん火山性かざんせいっていうやつ。

 きたへさらにけばやまみゃくがあるけど距離きょりがある。

 この見張みはやまはここに独立どくりつして「えて」いる。


 だからトライエの防衛ぼうえいじょう見張みはりをくのによい。

 ということで英語えいごでいうなら「Watch mountain」で見張みはやまだ。


 特徴とくちょうは、このやま一角いっかくウサギがよくる。

 そうです。



 ついに、おにくかいをやるぞ。



 装備そうびととのった。

 練習れんしゅうはほとんどしていないが、そこは相手あいてよわいので。

 おれたちの冒険ぼうけん日々ひび進歩しんぽしている。


 山頂さんちょうにはトライエ騎士きしだん見張みは小屋こやがある。


本当ほんとうです。ダイジョブ」

「なんか、心配しんぱい


 なんでミーニャが不満ふまんなんですかねぇ。

 まあいいや。


「あらあら、まあまあ」


 そんな様子ようすてメルンさんがごそごそする。


「これをっていきなさい。保険ほけんおおいほうがいいわ」

「あ、メルンさんありがとう」


 ポーションだ。しかもこれ中級ちゅうきゅうポーション。

 ドリドン雑貨店ざっかてんにもってるけど、これはお手製てせいのようだ。

 値段ねだん金貨きんか一枚いちまいぐらい、だとおもう。ちょっとこわ値段ねだんだ。


 しかしいのちにはえられない。


 一角いっかくウサギ程度ていどにやられるわけはないが、まんいち心配しんぱいしているんだとおもおう。

 メルンさんも案外あんがい心配性しんぱいしょうだ。

 しかしBランクのエルフぞくのいうことは素直すなおくべきだ。


「「ってきます」」


 本日ほんじつもラニアを確保かくほする。

 攻撃こうげき担当たんとう必要ひつようだ。今日きょうあおしろのワンピースだ。

 えがあるといいんだけどな、おれたちもだけど。


 さてドリドン雑貨店ざっかてんをチラしてから、城門じょうもん通過つうかする。

 逆方向ぎゃくほうこうである。


 いいんだ。冒険者ぼうけんしゃギルドでは日々ひびのお手紙てがみとかを見張みはやま山頂さんちょうとどける仕事しごとがある。

 騎士きしだん余剰よじょう人員じんいんはあまりいなくて、アウトソーシングというやつだ。

 つまり、クエストがあるのだ。

 完全かんぜんなるお使つかいクエストだけど、報酬ほうしゅう銀貨ぎんかまい確認かくにんみ。


 あさひる夕方ゆうがた発行はっこうされるが、面倒めんどうくさい仕事しごとであるため、人気にんきがない。

 それでさんかい発行はっこうされるのに、だれけないとまとめられたりする。


 冒険者ぼうけんしゃギルドに到着とうちゃく


「おはようございます」

「おじゃまします」

「ごめんください」


 ガランガランとカウベルがる。


 もう、こわいおっさんがじつこわくないということをったので、大丈夫だいじょうぶ

 そのこわいおっさんはよくギルドにいて、本当ほんとうわるがいないか、にらみをかせている。


 クエストボードをる。

 今日きょう見張みはやまクエストがのこっているのを確認かくにん


『トライエ騎士きしだん見張みはやま山頂さんちょう手紙てがみとどける』


 うむ、くるしゅうない。

 ちなみに山頂さんちょうには常駐じょうちゅうしているひとがいて、いっ週間しゅうかん交代こうたいする。


 あさ受付うけつけんでいる。

 どのにしようかな。

 もうエルフでいいか、れつみじかいし。ならぶ。


「このクエストけたいんだけど」

「はい。あっ、エルフさま、その、もうわけありません」


 なんか土下座どげざしそうないきおいなんだけど。


「これはギルドいん専用せんようクエストとなっていまして、はい」

登録とうろくってできるの?」

「できますよ。年齢ねんれい制限せいげんは、その、たぶん、ないん、だったかな?」


 なんで疑問ぎもんけいなんだよ。しっかりしてくれ正規せいきのギルドいんだろ。


「じゃあ登録とうろく、おねがいします」


 おれうしろからミーニャがてきて、おねえさんをじっとう。

 ちょっと、いつもとのギャップがすごい。真面目まじめかおでパワーをかんじる。


「わわわ、わかりました。すぐ登録とうろくします」


 あ、いいの? いいならいいや。


「あの、このギルドカードにいってきください」


 はりとかないんですね。しょうがないナイフすか。


「あっ、ミスリルのナイフ……」


 おねえさんが見開みひらいてポツリとこぼす。

 なんかおれがいつもよりあたたかい。

 いままでミーニャの付属ふぞくひん程度ていど認識にんしきだったのに。

 そういえばエルフの親愛しんあいあかしだったな、これ。


 ギルドカードの裏面うらめん吸収きゅうしゅうしたカードはなんか一瞬いっしゅん発光はっこうしてすぐにおさまった。


「はい、ありがとうございます。これで個人こじん識別しきべつ魔道まどう発動はつどうして本人ほんにん確認かくにんができます」


 登録とうろくはあっけないな。

 表示ひょうじされているギルドのランクはEランクだった。


「ではクエストを処理しょりしますので、カードをしてください」


 おれたちさんにんはカードをすと、すぐに処理しょりされた。


をつけてってきてね、エルフさま


 おねえさんはいつもより表情ひょうじょうがちょっとやさしくなった。


 さあ、前置まえおきがながかったが、見張みはやま出発しゅっぱつだ。


 城門じょうもんとおり、草原そうげんけてもりはいる。


 見張みはやまへレッツゴー。


 クエストをこなすぞ。

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