第4話『空中の海』

早朝の青い光が差し込む。冷凍庫のように冷たい空気で満たされた部屋。

中央にあるキングサイズのベッドは、綺麗に整っており使われた形跡はない。

とても懐かし光景だ。

白いパズルの散乱した床に、白い陶器のような体が横たわっていた。

ピクリとも動かず凍ったように。

パズルのピースを踏まないように気をつけながら、そっと近づいてみる。

控えめに、でも確かに少女らしく成長した白い体は、淡い青の薄いネグリジェに包まれているだけ。

細く柔らかそうな髪は絹のように床へ垂れていた。

鑑賞用の人形のように気味の悪いほどバランスの整った顔。閉じられたふっくらと丸い瞼。

生きているのか、死んでいるのかもわからない。

俺はそっと、その瞼に触れた。

閉じられた瞼の奥の瞳がピクリと動くのを感じた。

ゆっくりと音もなく触れていない方の片目が開く。


「誰?」


ぼんやりとした寝起きの声。


「俺だよ」


「……」


俺を見上げ、じっと見つめる片方の目。


「おはよ。久しぶりだな、心露」


「……」


無反応。

ただじっとこちらを見つめている。

喜んで迎えてくれるとは思っていなかったが、三年ぶりに会った兄に対してこんなに無反応だなんて。


「今、夏休みだからさ。これと言って用事があったわけじゃないんだけど。久々に顔見たくて」


「……誰」


「え?」


「あなた、誰?」


真面目な顔をしてそう尋ねる心露。俺は言葉を失った。


「……不審者」


「からかってるのか?俺だよ、縹。お前の兄だぞ?」


「兄?何を言ってるのか、わからない……私に兄はいない」


頭の奥が歪む感覚を覚える。心露の言葉が理解できない。

どういうことだ……?


「冗談はやめてくれよ」


目頭が熱くなる。声が震える。


「……心露」


「私の名前……」


「え?」


「……本当に、私の兄なの?」


「そうだよ。縹だよ」


「……。私に兄弟はいないって、そう聞いたのに」


「『聞いた』?」


「父さんが、そう言った」




心露はぼんやりとしていて、一見無愛想な女の子だった。

『楽しい』『嬉しい』『おいしい』、そういう言葉を口にすることはあっても、『本当にそう思ってるの?』と問いたくなるほど、感情が顔に現れない。

名前の割には心がない、なんて同級生にからかわれたりしていたが本人は気にも止めていなかった。

でも、俺だけは知っていた。

心露はちゃんと感情があって、それが他人よりも表面に出にくいだけなんだと。



俺が荷物をまとめて、客間に戻ると心露はソファに座ってアイスキャンデーを舐めていた。


「朝飯は?」


「これ」


俺の問いかけに、心露はアイスキャンディを軽く振る。

冷蔵庫を開けてみるとタッパに詰められた惣菜が3食分ほど並んでいる。

おそらく浅葱が作ったものだろう。

振り返ると、心露は相変わらずアイスの棒を舐めていた。

まるで母親の手料理を嫌がる反抗期娘のようだ。

冷蔵庫の冷気にまた、俺は身震いをした。やはり、この家は寒すぎる。

少し体を温めたい。


「心露、風呂入りたいんだけど。どこだっけ?」


「あっち」


こちらに目もくれず、心露が浴室の方向を指した。



小さい頃、何度か入ったことはあったが、この歳になってもやはり大きな浴室だと感じた。もはや、小さめの銭湯だ。湯船にゆったり浸かるのは、夜にとっておこう。

とりあえずシャワーだけ浴びようと、古風なデザインの装飾が施された蛇口をひねった。


「冷たっ!」


一斉に降ってきた冷水に驚き、飛び跳ねた。

冷水に触れないように、爪先立ちになりながら手でピシャピシャと水に触れ温度を確認し、お湯が出るのを待ち続けた。

だが、一向に温度が上がる気配はない。

夏だというのに、シャワーから放出される水は氷水かと思われるほど冷たかった。

広い浴場中を探し回ったが、ガス栓などは見当たらない。

もしかしたら、外にあるのかもしれない。



タオルを巻いて居間に戻ると心露は先ほどとは違う色のアイスキャンディを咥えていた。二本目だ。


「なぁ、シャワー水しか出ないんだけど」


「うん」


「ガス栓とか」


「そんなのない」


嘘だろ?そんなことあるのか?


「夏とはいえ、さすがに」


「冬だって同じ」


俺は耳を疑った。冬も冷水のシャワーを浴びてるというのか?


「嘘だろ?」


「嘘じゃない」


「寒くないわけ?」


「寒くない」


……暖簾に腕押しの気分だ。

風呂に入るのはやめようかと考えたが、昨日一日中、炎天下の下を歩いた体のまま過ごすのも気分がよくない。

俺は氷水を被る覚悟を決めて、浴室に向かった。



未だに震えが止まらない。

冷水のシャワーを浴びた後、持ってきたシャツを何枚か重ね着したが、体の芯から冷えがくる。

居間に戻ると心露はまた違う色のアイスキャンディを咥えていた。

三本目だ。

いや、見ていないうちにもっと食べているかもしれない。

今はアイスなんて見るだけで、身震いしてしまう。

俺は震えながら台所でお湯を沸かした。コンロの火に手を近づけてこすり合せる。

沸いたお湯を湯飲みに注ぎ慎重にすする。

真夏に暖かい飲み物をこんなにありがたいと思う機会はそうそうないだろう。

湯のみを両手で包みながら心露の斜め前あたりのソファーに腰掛けた。


「で、」


話の続きだ。

何から話すべきか、迷った。


「本当に演技じゃないんだな?」


「何度もそう言ってる」


不機嫌でも、もちろん上機嫌でもない機械的な返答。

人形のように無表情なままアイスキャンディを舐め続けている。


「そういうことか」


親父や浅葱が俺を心露に会わせたくなかった理由がやっとわかった。


「つまり、」


俺は心露から聞いた、『心露の過去』をまとめた。


「お前はとある平凡な家庭の1人娘。裕福ではないが、決して不幸ではない家庭で楽しく暮らしていた。だが、9歳の頃、事故で母親が死んでしまい、そのショックで記憶喪失になる。そして、その治療のためにのどかな田舎にある爺さんの家に預けられた、と」


「そう聞いてる」


心露は爺ちゃんの家に来るまでの記憶が全くないという。

そして親父は心露に、過去をそう告げた。

つまり……俺の存在が全く消されている。


「……」


なぜ、俺がいないことにされているのか。

不満ではある。だが、疑問の方が大きい。

親父は記憶のない心露に対して意図的に、俺の存在を隠しているような気がする。

心露の記憶に俺という存在がいると何か、不都合なことでもあるのか……?


心露「あなたが本当に私の兄だと言うのなら、どうして父さんはそのことを私に言わなかったの?」


俺と同じ疑問を心露が口にした。


「わからない。記憶喪失なんてドラマの中だけだと思ってたから……。もしかしたら、治療として無理に思い出させないためなのかもしれないな」


「それは、よく言われた」


「え?」


「父さんや、浅葱に。『思い出さなくてもいい』って」


「……」


俺は本当にバカなのかもしれない。

あんな事件思い出さない方がいいに決まっている。

父さんはきっと、心露が俺に会うことで、記憶が戻ってしまうと思ったんだろう。

だからこそ、心露のために、俺を遠ざけた。

それなのに、俺は自分勝手に行動して……。


「でも、少し嬉しい」


「え?」


「ずっと一人っ子だと思ってたから。兄がいるって知って嬉しい」


「心露……」


心底嬉しい言葉だ。幼い頃も、そんなこと一度も言われたことがない。

心露は意外にも、俺が兄であることをすんなり信じた。

記憶以外のどこかで、俺のことを少しでも懐かしいものとして覚えていてくれたのかもしれない。

そう思いたい。

もし、赤の他人の言葉でもこんなにすんなり信じてしまうとしたら、それはそれで、危機感を持って欲しいものだ。


「確かに似てる」


「え?」


「目とか、鼻。私と似てる」


心露の指が俺の顔を指す。


「……」


胸が痛んだ。

何も知らないということはもしかしたら、とても幸福なことなのかもしれない。

真実だけが、正義とは限らない。

真実を知って絶望することだって多い。

……なら、もういっそ。何も知らない方がいいじゃないか?

もし心露が今のままの生活を幸福だと感じているなら、そこに俺がいなくても。


「ごめん、心露。嘘なんだ」


「え?」


「俺、お兄ちゃんって言っても近所に住んでただけで、本当に兄妹ってわけじゃない」


「……」


表情を変えず、ずっと俺の顔を見つめる心露の目。


「ただ、懐かしくなって浅葱に頼んでお前の顔を一目見たかっただけなんだ。もう、満足した。だから……帰るよ」


そう言って、俺は立ち上がると心露に背を向けた。

荷物をまとめよう。帰りの電車も調べなければ。

会えて嬉しかった。たった1人の妹。

もう、会うことはないのかもしれない。


「……嘘つき」


心露がポツリと呟いた。


「ああ、ごめんな。嘘ついて」


「そうじゃない。今のが嘘」


「……え?」


思わずふりかえる。

心露はじっと俺を見つめていた。


「本当の兄さんでしょ?」


あまりにも真剣な目に、思わず口ごもる。


「……違うよ」


「嘘下手」


心露の顔は無表情に近い。だけど少しだけ、ほんの少しだけ朗らかに見えた。

また目頭が熱くなる。

ほとんど泣くことなんてないのに、心露のことになるとめっぽう弱い。

嬉しい。

心露のために、離れるべきだと頭ではわかっているのに。心露の兄でありたい。

俺のことを本当の兄だと言ってくれたことが、こんなにも嬉しくてしょうがない。


「私も知りたい」


立ち上がり、心露は俺のもとにゆっくりと歩いてきた。


「自分のこと。そして、兄さんのこと」



俺たちは家を出て、散歩することにした。

心露は外に出るのをためらったが、俺は冷水シャワーで冷えた身体を少しでも太陽に温めてほしかった。


「んー!気持ちいい陽射しだな」


「……あつい」


心露はすでに、ぜぇぜぇと肩で息をしていた。


「どうせ、あんまり外出してないんだろ?運動不足だな」


「外に出る用事がない」


「まぁ、夏休みだもんな。でも夏休み終わったらいきなり登校で歩くのも大変だろ」


「登校はしない」


「は?」


「高校は行ってない」


唖然とした。

まさか、高校に入学していないと言うのか?


「高校受験は?」


「してない。中学も途中から行ってない」


親父はこのことを知っているのか?知っているに決まっている。

何があったかは、知らないが心露が学校に行かないという選択をして、親父はそれを承認したんだ。


「そっか」


どちらにせよ、俺は心露に対して過度な干渉はしない方がいい。

なんの拍子で、心露の記憶が戻るかわからない。


「じゃあ、ずっと家にいるのか?」


「太陽を見たのはもう何年も前」


その言葉の真実味は心露の真っ白な肌が物語っていた。

小学生の頃、学校が休みの日の心露は絶対に外には出かけなかった。一日中床に寝転がってアイスばかり食べていた。春夏秋冬、どんな季節でもそれは変わらなかった。


「兄さん」


「ん?」


実は心露から『兄さん』と呼ばれるのは初めてだ。

ずっと『縹』と呼び捨てにされていたから。

それが、嫌だったわけではないけど、『兄さん』と呼ばれるとなんだか、兄扱いしてくれている実感が湧いて悪くない。

いや、正直とても気持ちがいい。

『俺は、兄さんなんだぞ!』と全世界に言いふらしたくなる。


「……何、笑ってるの?」


「え?笑ってた?」


「笑ってる」


「そうか、悪い悪い」


ついつい表情が緩んでしまう。気をつけないと。


「で?なんか言った?」


「……昔の私は、外によく出てた?」


「いーや、まったく。昔っから引きこもりだったよ」


「やっぱり、そうなんだ」


「そうそう。だから、よく俺が無理矢理引っ張って外に連れ出してたな」


「記憶はないけど、当時の私はすごく嫌がってたと思う」


「ははは。だろうな。連れ出しても、気づかないうちに、よく勝手に家に帰ってたよ。ほらスーパーの大荷物……」


言いかけて、ハッとした。

何を言おうとしてるんだ俺は。


「スーパー?」


「いや、なんでもない。とにかく、お前は外が大嫌いだったよ、昔から」


「そっか」


沈黙が続いた。

ついつい、昔話をしてしまう。

自分の発言には気をつけなければ。


「そうだ!確か、このあたりに駄菓子屋あったよな?」


「知らない」


「あったはずだ!種類が豊富でさ。あー、でも結構昔だったから、もう無いのかな。ま、いいや。行ってみよ。なんか欲しいのあったら、買ってやるよ」


「誘拐犯みたい」


「誘拐犯って……酷いこと言うな」


「駄菓子、食べたことない」


「そうなのか?昔はよく食べてたんだぞ」


「覚えてない」


「俺、ヨーグル大好き。あ、あと筒状の中に入ったラムネみたいなやつ?あれも好きだな。それからチョコ棒も買おう。当たり付のやつ!おー、なんかワクワクしてきた」


「……あつい」




幼い頃によく行った駄菓子屋は、まるで、時が進んでいないかのように当時の面影を残したままそこにあった。古びた木の看板。だいぶ年季の入ったソフトクリームのオブジェ。


「ここだ」


後ろを振り返ると、心露はだいぶ息が上がっているようだった。そんなに長いこと歩いたわけでもないのに。


「大丈夫か?」


「…もう帰りたい」


「ほらこっち来てみろ。涼しいから」


心露の腕を引いて、店内に足を踏み入れた。

クーラーがよく効いている。


「懐かしいなぁ」


「……」


心露は興味深そうに、店内を見回した。

宝の山のように並ぶ駄菓子。勘定台には誰もいなかったが、店の奥にかかっているのれんの裏から微かなテレビの音が聴こえてきた。


「何がいい?」


「なんでもいいの?」


わかりにくいが、心露は興奮しているようだった。

まるで小さな子どものように駄菓子を見つめている。


「おう!なんでもいいぞ。兄ちゃんが全部買ってやる!」


「わかった」


心露は目を輝かせながら店内をゆっくり見て回り、アイスボックスを見つけると蓋を開けてアイスキャンデーを一本取り出した。

ここまできて、またアイスかよ。


「これがいい」


「それだけ?もっといっぱい選んでいいんだぞ」


「ううん。これだけでいい」


心露はアイスを見つめて微笑んだ。

微笑んだ、というにはあまりにも小さな顔の変化ではあるが。


「欲がないのも、変わってないな」


俺も適当に、目についた懐かしの駄菓子をいくつか選ぶ。

そして樽の中で氷水に浸かったラムネに目が止まった。


「お!本当に商品化してる!」


「なに?」


「これ!抹茶ラムネ」


ラムネの瓶を見せると、心露は眉間に皺を寄せた。


「まずそう」


「だと思うだろ?これが案外いけるんだよ!よし、二本買おう」


「私はいらない」


「なんでだよ、美味しいのに」


「普通のがいい」


「ちぇっ、わかったよ」


樽から抹茶ラムネと普通のラムネをとる。


「すみませーん」


勘定台ののれんの奥に向かって呼びかけた。


「……はーい」


出てきたのは、前歯の抜けた6、7歳ほどの少年だった。なぜか不機嫌そうだ。

勘定をするとそのまますぐに奥へ引っ込んでしまった。おそらく、見ていた番組が丁度いいところだったのに邪魔してしまったんだろう。


「無愛想」


「お前が言うな」


昔、勘定台には糸のように目の細いおばあちゃんが座っていた。

とても優しくて気さくなおばあちゃんだった。たまにしか来ない俺の顔も覚えていて、よくお菓子を1つおまけしてくれた。

あの少年は孫だろうか?おばあちゃんはどうなったのだろう。当時でもすでに高齢だったから、もう亡くなっていてもおかしくはない。


「よし、帰るか」


「うん」



夏の田舎道をラムネを飲みながら歩く。なんて、夏休みらしい光景だろうか。

心露はアイスを咥えながら俺の数歩後を歩いていた。


「優しい誘拐犯だろ?」


「そうかもしれない」


遠くでセミが鳴いている。よく耳をすませば水の流れる音も聴こえる。


「川?」


そういえば浅葱が、近くに川があるって言ってたな。


「近くにある」


「川沿い歩くか」


「うん」


俺たちは土手に登った。

体力のない心露の手を引っ張り上げる。


「昔、よく4人で川に遊びに来たんだ」


「家族で?」


「そう。俺とお前と、父さん。そして母さん」


あの頃は楽しかった。


「バーベキューとかしてさ。俺は川遊びに夢中で、いつもお肉は焼けすぎてるのばっか食べてた」


「ふーん」


心露が川を見つめる。


「……」


「思い出せないや」


「いいんだ。思い出さなくて」


「兄さんまで、そう言うんだ」


「忘れた方がいいこともある」


「母さんの事故?」


「……」


言葉に詰まった。俺がそのことについて語れることは少ない。


「母さんはどんな人だったの?」


「優しい人だったよ。綺麗で、頭が良くて、料理が上手で……」


「そうなんだ」


「俺たち2人のことを、本当に愛してくれた」


母さん。

もう7年も昔の姿で、止まってしまった記憶の中の母さん。

あの日、俺がもう少し早く帰っていれば、もしくは心露を無理矢理連れて行きさえしなければ。

今も母さんと父さん、そして心露と俺。

4人で、あの家で暮らせていたんだろうか。


「兄さん?」


「ははっ。ちょっと思い出しちゃった」


心露は目を伏せた。


「……どうして思い出せないんだろう。私は」


太陽がジリジリとその白い肌を焼いていく。

できることなら思い出して欲しい。

あの光景以外の、家族の風景を。

だけど、そんなうまい話はない。


「あの雲」


唐突に心露が空を指差した。

つられて俺も空を見上げる。

丸く薄い雲が空を漂っていた。


「クラゲみたい」


「!」


驚いた。

あの頃の心露と同じことを言ったから。

心露はクラゲが好きだった。昔、水族館に行った時も生まれて初めて見たクラゲに釘付けになっていた。クラゲの水槽から離れようとせず、延々と水中を浮遊するクラゲを見つめ続けていた。

それ以来、雲を見てはあの雲はクラゲに似ているとよく言っていた。


「……クラゲ好きか?」


「わからない。本物は見たことない」


「今度見に行こうか」


「また外出?」


「ああ、少しは歩け。運動不足は長生きできないぞ」


「ふーん」


相変わらず淡白な返事。

読み取れない表情。


「いいよ」


「ん?」


「クラゲを見にいくなら、外に出てもいい」


「……!」


心露は背を向けて川沿いを歩き出した。

俺もそのあとに続いて歩き出す。

頭上にはクラゲのように丸い雲がいくつも空の中を漂っていた。

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