第7話 変身の才能はゼロ
ん?
『あんたが雨を降らせたせいで、ミカちゃんが怒っているのよ……全然聞いてない。一体、なにを見ているの?』
あ~、机の上に立っているカワセさん
その写真には、ミカちゃんとショウタ君、それにパパとママとおばあちゃんが写っている。
みんな、ほほえんで、いい顔してる。
見ているわたしまで、幸せにしてくれるって感じ。
なんて、思っている場合じゃないわね。
あ、
わたしには、ニヤッと笑ったように見えた。
なにか嫌な予感。
あんたね、これ以上、ミカちゃんを怒らせたら知らないわよ。
わかってんの?
やっぱり、わかっていないみたい。
え、なに?
どうしたの?
まさか、変身してるのぉ?
雲って、自由に体の形が変えられて、うらやましいなぁ……て、今は、そんなこと、どうでもいいか。
でも、何に変身したの?
白くて太っていて……。
あ、わかった。
白ブタね。
違うの?
じゃ、何なのよ?
ショウタ君も、
「あ~?」
と、不思議そうに首をひねっている。
それって、まさか、嘘でしょぉぉぉ。
ショウタ君も、
「ママ~?」
とフシギそう。
笑っちゃいけないけど……。
ギャハハハ……。
笑いすぎて、お腹が、お腹が痛い。
死にそう。
どう見たって、白ブタが人間の中年のおばさんの真似をして、お尻をフリフリ歩いてるって感じ。
見ようによっては、可愛いくないわけじゃないけど、やっぱり我慢できない。
ギャーハハハ……。
ところが、ミカちゃんは
「
怒りながら、
そうよね。
あれじゃ、ミカちゃんが怒っても仕方ないわ。
わたしだって怒るわよ。だから、あれほど言ったのに……。
ミカちゃんから怒られた
部屋の角に移動して、シュンとしている。
いたずらっ子の
ママに似てない、て言われたことがショックなの。
ま、あんたらしいけどね。
そこで、ショウタ君が、
「チビ、元気出せよ」
と
でも、それで終わらないのがショウタ君。
「変身の才能はゼロだけどね」
と笑っている。
ガッカリした
『いいんだいいんだ、僕なんか……』
そんな感じだ。
やっぱり笑っちゃう。
そのときだった。
あ!
何よ、その目は……。
わたしもユウレイじゃないかって?
ん~……。
一人前に、痛いとこついてくるじゃないの……。
あれ?
あんたに、わたしが見えるの?
『あ、ヤダ。わたしにまでカミナリ⚡を落とさないでよ。わかったわかった。笑ったのは悪かったわよ。謝るから。ごめんごめん。だから、もうやめてちょうだい』
本当にいたずらっ子なんだから、もぅ!
でも、わたしに気づいた人がいてくれて、うれしい。
あ、人じゃない、雲か。
なんて、どっちでもいいわ。
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