第1話 「非常識人限定」
舞台は、アメリカのヒューストン。たくさんのオフィスが立ち並ぶ中に、一際目立つ
黒塗りの建物があった。そう、「ジュガード闇金事務所」である。
この事務所は、最近できたばかりで、あまりにも外観のインパクトが強烈であることから近所の人々の噂になっているんだとか。そんなここは、金利なし、金額上限等という、闇金では聞いたことがないような条件でお金を貸してくれるらしい。
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俺の名前は、ピルスナー。世界一の大富豪にして、闇金事務所を運営している。
単刀直入に言うが、俺はお堅いこと大嫌い。ねちねちと説教してくるタイプの人間が心底嫌いである。今俺は、いつも通りここにやってきてお金がほしいという客人と話をしていた。「おいあんた、いくらほしいんだ。言ってみな。」
するとその客人はこう言った。
「14万ドルだ、14万ドルがほしい。」
「ずいぶんと大人しいなぁ。ここは金利もないし、金額条件もなし、返済期間の上限や怖そうなヤクザだっていないんだぞ?そんなもんでいいのか?」
「あぁ、それでいいんだ。」
先ほども言ったが、ここはほかの闇金とは違う。
「じゃあ、仮契約成立だな。こっちに来い。」
俺はその客人を別部屋に案内し、一つ質問をぶつける。
「じゃあ一つ聞いてやる。『あそこに高級車がある。お前はそれに対して何する?』」
その客人は答えた。
「その車持ってる奴の前に俺の車持っていって、『見ろよ!!これ3000$だぞ!!』って言った後に中指立ててやる」
「...フッハッハ!!合格だ、じゃあこれで契約成立だなぁ!!持っていけや!!!」
「あいつは『優材 उत्कृष्ट सामग्री』だ。間違いないねぇ」
「優材 उत्कृष्ट सामग्री」とは、脳味噌の思考回路が凡人じゃたどり着けない域まで逝ってる野郎のことだ。
これまでに俺が金を貸した奴は、全員とんでもねぇこと成し遂げてやがる。
俺が金を貸すのは「非常識人」だけだ。周りが友達の家でゲームしてる中、一人だけ
自分のサインを家中の本に書くような人間。そんな奴が将来学校の宿題すると思うか?親の言うことハイハイ聞いてるか?聞いてねえよなぁ多分。
でもそういう奴は自分の言いたいこともはっきりしてる奴が多かったりするから
俺と同じで常識や細かいルールが嫌いな人間が多い。.....法律は守ってるけど。
そうそう、これを読んでるお前。そう、そこのお前だ。家での生活に嫌気がさしてんなら、今日はお前の親がが寝た隙にベランダにでも出て、お前のほしいもん
頭に思い浮かべながら奇声あげてみろ。勇気がないならやめてもいいが、毎日の鬱陶しいしがらみから少し解放されたようないい気分になるぞ。
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この闇金事務所は、そこら辺の奴らと同じ考えした人にはお金は貸さない。
少なくとも、今これを読んでいるあなたがテニスボールを鍋で煮込んでみたり、
スナック菓子を砕いて凍らせたりするなんて言うことをやってたりするなら、ここでお金を借りられるかもしれない。そう、ここは「非常識人」限定の闇金なのである。
世界一やさしい闇金くん。ー「全ての常識人」へ。ー @Morse_Tanima
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