第73話 『073 魔族マゾーラ』
『073 魔族マゾーラ』
牧場の土に薬草を植えた。
もし土から育つようなら、薬草から回復薬を作るのをエルミに続けて依頼はしてある。
慌てることはないので、ゆっくりとだが作成してもらおう。
回復薬があれば、森に行く時に安心である。
過去に出会った魔物はどれも強烈だし、回復薬は助かる。
それにしても俺が来た森は強そうな魔物が多いな。
俺の勘違いなのかわからないが、オガーナやエルフ族も強そうなイメージだし。
コカトリスまで出てきて、森についても知りたい。
ずっと森で生きていくとなるなら、森の情報は大事になる。
◇
魔族の国。
ユウタのいる森に接している地域には魔族の国がある。
魔族は人族と対立していて、争いは常に起きていた。
人族は魔族に怯えて暮らす毎日で、冒険者が討伐をしているのが日常。
魔族にとって人族との争いは長い歴史で常にあった。
魔族マゾーラは、魔族の上に立っていて、中級、下級魔族はみんなマゾーラに従っていた。
そのマゾーラはショックを受ける。
報告をするのは女魔族のクララ。
「マゾーラ様、クララが報告します。森にあるダンジョンに魔族を100人送りました。ドワーフ族が鉱石を発掘している。それを奪うのが目的でした」
「見せなさいクララ、奪った鉱石を」
「ありません、すみません」
「なぜない?」
魔族マゾーラは部下のクララに質問する。
「ほとんど死んだのが理由です。ダンジョンにいるドワーフ族を襲ったのはいいですが、そこへ不測の事態が起きました。オーガのオガーナが来ました」
「オガーナ! あれが来たのか。ドワーフ族を助けたのか」
「助けました。なぜ助けたかわかりません。それにエルフ族エル、蜘蛛族クモーナもいたと逃げてきたのが説明しております」
「エルにクモーナだって! どれも森の災害級の奴らだ。バカなことがあるのか。疑問です」
マゾーラには信じられない話だった。
どれも災害級と呼ばれる魔族も恐れる名前を聞いたからで、それらが一緒に行動しているのが意味がわからない。
「100人送って帰ってきたのは数名でした」
マゾーラは報告を聞いて怒り出すと、部下の魔族らは恐怖で震える。
マゾーラは国でも最高峰の魔族であり、逆らうものは存在しない。
オガーナ、エル、クモーナの名前は魔族の国でも有名だった。
いずれも破壊的な強さから、恐れられていた。
一度にその3人が集まるのは魔族からしたら異常事態。
「そしてリーダーがいて、人族の男だということでして、ユウタと呼ばれていたと」
「ユウタ? 知らないな。新しい勇者や賢者か?」
「わかりません」
マゾーラはユウタの名前を初めて聞いた。
強い冒険者の名前は知っているけども、初めて聞くのは奇妙だった。
森で何か異変が起きているのかどうかを知りたくなる。
この報告が本当なら魔族にとって、恐ろしい勢力といっていい。
マゾーラ自身で調査する必要があるなと思った。
森に行き、確認してやろうとし、クララと共に牧場へと向かうとした。
本来ならマゾーラが直接動くのは滅多にないことで、重大な事態。
そんな重大な時にユウタは、のんびりと牧場で暮らしていた。
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