第74話 『074 魔族マゾーラ』

『074 魔族マゾーラ』


 牧場は広くなって刺激があるな。


 普通にこんな短期間で、拡大してきて、あり得ない速度で牧場が大きくなるのは、今後を予想できなくて刺激があった。


 日本にいた時は、仕事と家に帰るだけの生活が多かった。


 パソコンでネットしているくらいが、楽しみな生活で、でも変えられるかと言うと、自分で変えるのはできない感じだったな。


 今は牧場に興味があったのもあり、自分の牧場を持つとは、信じられない展開です。


 牧場にてドライフードをあげながら、思っていた。


 すると山猫のシロが慌ただしいらしい。


「シロの様子が変です!」


「変ですよ!」


「おい、シロ。どうした?」


 シロが寝ていたのに、急に起きてきて、威嚇しだす。


 まるで敵が来たかのような、相手をこれ以上は近づけさせない風にした。


 何かあるなと予感が牧場全体に伝わる。


「誰です?」


 誰だ、この男は?


 人族ではないのは感じる。


 初めて見る男。


 異様な雰囲気をしている。


 転生して初めて感じる空気だった。


 もう一人女もいる。


 この女も、おぞましい物を感じる。


「ユウタ! 近づくな。そいつは魔族よ!」


「魔族! なぜ牧場に来た!」


 エルが教えてくれて、魔族らしい。


 シロが興奮するのは魔族だからか。


 牧場に来たのは、支配しに来たとか?


 会話ができるなら話はしたい。


「そいつは魔族マゾーラだな。会ったことがあるから」


「ふふふ、オガーナですか。覚えてましたか。その通りですマゾーラと言います」


「マゾーラが俺の牧場に何か?」


「ドワーフ族に私の部下の魔族が殺されたのはご存知ですよね。あれは可愛い私の部下でした」


「ダンジョンで私たちを襲った魔族。よくもやってくれたわね」


「落ち着けドワーネ」


「ムカつく!」


 ドワーネを落ち着かせる。


 それにマゾーラというるしいのはオガーナから聞いた。


 マゾーラはダンジョンで俺達と争った魔族と関係あると言う。


 どうやら部下らしく、俺達がドワーフ族を救う為に殺してしまったので、因縁をつけてきたのかな。


 だとしたら恐れていたことが起きたとなるのは、魔族は逃げたと思っていた。


 牧場に仕返しに来る可能性も考えていたのだが、それが現実に起きたのだ。


 牧場を魔族に知られるのへ厄介だな。


 最悪は牧場が魔族と戦場に変わる可能性がある。


 戦場にだけはしたくはないのが俺の気持ちかな。


 せっかく牧場を育ててきたのが全部破滅してしまうのは惜しい。


 マゾーラから説明してきて、


「100人近く殺されました。しかしそれはこの際ですからなかったことにします。我々魔族と牧場とで取引きをしましょうか」


「取引き?」


 何のことかな?


 いきなり取り引きとは不自然です。


「ここは闇の森です。人族でも魔族でもない土地。そこで魔族の国と物を交換する。お互いに友好な関係にしましょうと私は考えています」


「マゾーラを信じてはいけません。こいつは魔族です。エルフ族も魔族は絶対に信じません」


「あららエルフ族のエルですか。これまた凄い種族ばかり。オーガ族オガーナ、エルフ族エル、蜘蛛族クモーナ、ドワーフ族ドワーネ、そして山猫。私は仲良くしたいのです。こちらをどうぞ」


 魔族マゾーラと女の魔族が来て、何やら出した。


 牧場と魔族で交流を希望しているらしいが、俺はまだ答えは出していない。


 そもそも魔族は常識では人族の敵軍だろう。


 異世界マンガなどでは常識ではあるから、そんな魔族との間で取り引きをしたいとなると疑いはある。


 オガーナやエルも警戒している感じだ。


 取り引きするか、それとも断るかで、無理に取り引きする必要はないかな。


 すでに人族の冒険者が牧場に来て取り引きをしたし、あえて危険をおかすことはないか。


 しかし何を持ってきたかぐらいは確認したい。

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