第69話 『069 コカトリスと戦闘になる』

『069 コカトリスと戦闘になる』


 コカトリスに向かって俺はペットフードのドライフードを投げる。


 地面に転がるドライフード。


 転がるのを見ているだけで、何も反応はなし。


 失敗か。


 食べさせる作戦は見事に失敗に終わった。


 単純な作戦だけに、失敗する確率はあった。


 イノシシやマンゴーランドも、このドライフードを食べてくれた。


 コカトリスも食べてくれと願いで投げたのは、俺の責任になる。


 悔しいが反省していると、コカトリスの一匹が停止した。


 そして地面に転がったドライフードを見ている。


「食べた!」


 どうなるかと思っていたら、食べた。


 作戦は失敗ではないな。


 一匹のコカトリスがドライフードを食べると、他のコカトリスも食べ出す。


 食べたら攻撃的だったのに、停止したコカトリス。


 エルカには攻撃はしない。


「どうしたのですか、コカトリスが動きません」


「俺のペットフードを食べたんだ。俺の命令を聞くようになる」


「本当ですか」


「コカトリス、エルカから離れろ」


「離れた」


 俺が命令するとコカトリスは従った。


 良かった成功だ。


 一瞬危なかったが、食べてくれて静かになる。


 とりあえず食べれば効果はあるから、心配はない。


 もうコカトリスから攻撃はないと断言できる。 


 不安な顔のエルサとエルミが来て、


「エルカ、無事か?」


「うん、ユウタが救ってくれたから無事です」


「エルカを救ってくれたのは感謝します」


「俺も必死だった」


「コカトリスはユウタの命令で動くのね」


「うん危険はない」


 危険はなくなり牧場に帰るとした。


 まだ何かあるかもしれないし、早く帰るのがいい。


 危なかったけど、コカトリスは大丈夫だろう。


 予定外に牧場に新たな魔物が増えそうです。


 これも森では、ごく普通のことに思われる。


 俺自信もこんな想定外に慣れていかないといけないかな。


 そこでコカトリスに命令する。


「コカトリスよ、牧場に来てくれ」


 牧場に来てもらう命令をすると、静かに俺に従いついてくる。












 無事に牧場に帰った。


 最初に異変に気づくのはシロ。


 コカトリスが来たことで、危険を察知したのだろうから、それはいいことだが、安心させるように言う。


「シロ、静かにしろ。安心していい」


 シロは俺の声に停止する。


「コカトリスか! ユウタ、コカトリスですよね」


「うん、コカトリスだ。森で戦闘になったので連れて帰った」


「私が最初に戦闘になって、危機になった時にユウタが救ってくれた」


「ユウタのドライフードを食べたのです」


「食べている。今日からコカトリスを牧場で飼う。4匹いるんで新たに牧場を拡大する」


「オガーナの仕事です」


「なんでも私の仕事にするな。エルミも手伝え」


「よろしく。ユウタからジャーキーをもらってください」


「今日にも拡大するようにする。しかしコカトリスが森にいると聞いてはいたが、よく発見したよ。しかも牧場に連れてくるのはユウタらしい規格外っぷり」


「オガーナが言うくらいだからコカトリスが超レアな魔物ってことか」


 牧場ではコカトリスを見て、かなり驚いていた。


 オガーナでも驚くとはな、予想外でそれだけレアな魔物と思っていい。


 牧場がまたレアな魔物が増えたのは、牧場の価値が上がるわけで、ありがたいと思う。


「蜘蛛族は、コカトリスは会ったかい?」


「会ってません。森でも特定の場所にしか生息していないとされる、希少種です。どこで見たのですかね」


「エルサが採取スキルで薬草を発見した辺りだな」


「ええそうですね、伝説種の回復薬草を発見した。そしたらコカトリスがいた。まるで伝説の薬草の近くに生息している風だった」


「もしかしてコカトリスは、その伝説種の薬草の守護魔物かもです」

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