第68話 『068 伝説種の薬草』

『068 伝説種の薬草』


「伝説種?」


「薬草に伝説種があるのか?」


「はい、あります。薬草にも種類とランクがある。どこでも採取できる下級種と、数があるが採取するのに経験も必要な中級種、めったにない希少の上級種がある」


「じゃあ上級種なのかい」


「上級種よりも上の種。伝説種の可能性がある。もっと上の神話種もある」


「そんなに凄いの!」


 話が凄いことになっている。


 上級種よりも上の可能性らしい。


「大量にあるのかい?」


「この一本だけです。偶然に発見しました。他には見当たらないです」


「偶然にか。牧場に持って帰ろう」


「はい。私が採取して持ち帰ります」


「さすがエルサね。採取スキルは普通の人には発見できないのを発見できるのよね」


「エルサは過去にも中級や上級を発見しているけど、伝説級はないと思う」


 森の周囲をその後も探すも、伝説種は発見はなかったことから、本当にラッキーだったみたいだ。


 エルサの採取スキルが発動して、発見に至ったとも考えられるな。


 エルサがいなければ、発見できないで通り過ごしたということだ。


 しかし一本だけしかないから、本当に貴重になる。


 まあ俺にはどれも雑草だが。


 かなり歩いたところでエルミが、


「牧場に戻りましょう」


「そうね、けっこう下級種、中級種の回復薬草が取れたしね」


「俺も疲れた」


 色々と森を歩いたから、疲れもあった。


 みんなで相談して牧場に帰るとした時に。


「あれ、ユウタ見て、魔物だわ!」


「魔物? あれは、鳥!」


「鳥です。しかも、コカトリス! ユウタは逃げて、森でも危険種な魔物です!」


 鳥!


 エルカが戦闘に立ち、俺を守る。


 魔物はかなり大きい鳥で、コカトリスという魔物らしい。


 名前は異世界マンガで聞いたことはあるが、危険種だと。


 エルカは大丈夫なのか。


 俺は戦闘はしたくないのに、戦闘が開始された。


 コカトリスのテンションは上がっていて、怒っている風に思えた。


 コカトリスとエルカが戦闘になる。


「エルカは魔法があります。私とエルミとは違う」


「エルカに任せて逃げましょう」


「でもエルカを置いて逃げるのはできない。俺も残るから、エルサとエルミは下がっていてくれ」


「はい」


「はい」


 エルカが攻撃魔法ができるとあって、魔法を出して攻撃開始。


 コカトリスは羽根を大きく出して、襲いかかる。


 強いな。


 攻撃魔法は初めて見るので驚いてしまい、マンガやゲームで見てきたあの魔法であるから、男子なら思わず見てしまう。


 エルカの攻撃魔法の破壊を軽く回避してしまうコカトリス。


 戦闘の素人の俺でもコカトリスが強いとわかる。


 エルカの魔法も強力だよな。


 凄まじい破壊力で森の一部を吹き飛ばしている。


 しかも最悪な展開になった。


「一匹じゃない。4匹いるぞ!」


「ヤバいわね、ああああ!」


「エルカ!」


 4匹いるので、さすがの攻撃魔法も苦戦して、逆に攻撃を受け、コカトリスは4匹でエルカを襲う。


 非常にエルカが危険な状態になっていて、俺は困惑してしまう。


 さっきまでは伝説種の薬草を発見して、みんなで喜んでいたのとは大違いの展開になると、この差がこの森の怖いところだと痛感した。


 一瞬先が読めない。


 絶対にエルカを守りたい。


 このまま致命傷にはさせないし、俺が体をはって守る。


 俺のユニークスキルでドライフードを出す。


 食べるかはわからないけど、これしかエルカを救う方法はないとなった。


 コカトリスに向かってドライフードを投げる。


 頼む、食ってくれ。


 必死で投げつけた。


「ドライフードだ、コカトリスよ、食え!」

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