第66話 『066 風呂が溢れる』

『066 風呂が溢れる』


 魔王バチのハチミツが美味しいのは、全員が一致した。


 少し食べた程度であるが、誰も反論はしないくらいに甘くて濃厚だった。


 冒険者が来たら町に販売もできそうな品質だな。


 これを日本で販売したら絶対に売れる自信があるくらい濃厚。


 ハチミツ以外にもイノシシとマンゴーとナメタケンも美味しいから、販売は可能だし、今度来たら交渉もしてみたい。


 牧場の様子は見たし、風呂に入りたくなると、エルナにお願いをして熱湯にしてもらった。


 こんな森で露天風呂に入れるのは、東京の都市部では不可能なので、気持ちがいい。


「いい湯だな」


「我々も入ります」


「エル、また胸が成長したとかないよね?」


 大きくなったよね。


「どうでしょうか。ユウタが触って確認して」


「ユウタとエルはそういう関係でしたか。知りませんでした」


「ドワーフ族は後から来たから教えておこう。エルフ族はみんなユウタの女となっている。私もだ」


「そうでしたか」


「いや、俺の女って」


 自慢して言うことじゃないよ!


「オガーナもですか?」


「私が一番最初」


「いつの間に風呂に入ったのかオガーナ」


「蜘蛛族は違いますよね?」


「なぜ違うと決めつける。蜘蛛族だってユウタは独占したい。ただエルフ族がいるから、独占は困難だ。ドワーフ族だって、昨日はユウタを独占しただろうに」


「はい、ユウタと一緒に寝ました。独占したつもりはないです」


「ユウタは牧場で誰と寝るか、いつもみんな気にしている。ユウタが誰と寝たいかだ」


「どうなの?」


「誰と寝たいとか考えたことはない。みんな一緒に寝たらいい」


 気づくとオガーナ、エル、クモーナ、ドワーネが入浴している。


 他にも入っているから、お湯が溢れてしまうな。


 露天風呂を拡大しないと狭くなってしまって、同時に入浴は禁止にするかだな。


 それにしても凄い光景だった。


 これは異世界では普通なのか、牧場でだけのことなのかわからないな。


 牧場以外には行ったことはないし、ペットフードの影響だろう。


 ペットフードなしでは、この状況はないと思う。


「オガーナさ、露天風呂が狭いな」


「蜘蛛族とドワーフ族が多いからです。彼女らは別の風呂を作ります。そっちに入ってもらえばいい。ユウタはこのまま今の風呂でいい」


「もう一つ作るのか。大変だと思うけど。このまま拡大できないかな」


「できますが、人数が多いのが私は嫌いなだけです」


「ふふ、蜘蛛族だってオーガ族と一緒に風呂に入りたくはない」


「エルフ族も同じく嫌」


「風呂の支配を決めますか?」


「ふふ、面白い。勝ったものだけが風呂に入れるのを決める」


「エルフ族も参戦する」


「あああ、ダメだ。風呂はみんなの物。争いは禁止する」


「はい」


「はい、しません」


「しません。ただ蜘蛛族が生意気だったので」


「仲良くすればいい」


 風呂で争いをするのは困るから禁止させた。


「ドワーフ族は背が低い。子供用が必要ですね」


「あああああ! クモーナはドワーフ族を身長低いからって笑った!」


「別に笑ってはいません」


「オガーナに俺から風呂の拡大でお願いする」


「わかりました」


 オガーナは別に蜘蛛族、ドワーフ族用の風呂を作り、向こうに行けという感じだった。


 だが2個作るとなると、お湯を加熱するのも2回するから手がかかるし、拡大にして欲しいと伝える。


 それにオガーナはいいが、別にされると蜘蛛族から、俺がどっちに入るのかとか言われそうで怖い。


 最悪は2回風呂に入ることになりかねないし、風呂は一つがいい。


 オガーナには近日中に拡大する工事をしてもらうことでお願いしたら、わかったと承諾してくれた。


 有名温泉の露天風呂並に大きくしてくれたら嬉しいです。


 写真で見たことあるが、温泉地には大きな風呂を見た。


 写真であって俺が実際に入ってはいないのは、旅行に行くことがない俺には無縁のものだったから。


 この森でも地面を掘れば本物の温泉が出るかな。

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