第56話 『056 ドワーフ族に応援する』

『056 ドワーフ族に応援する』


 この日は森に出掛けた。


 やる事は色々とあるが、順番的に森に行くことにした。


 まだ未開の森だけに、常に緊張感はあり、いきなり死ぬのは避けたいです。


 注意を最大限にして歩くと、向こうから人が来た。


 森で人に会うのは初めてかな。


 親切な人ならいいな。


 俺からは攻撃心はないのを伝えたいので、オガーナに戦いではなくて、話をしてもらう。


 オガーナが俺の前に出る。


「止まりなさい。もしかしてドワーフか?」


「私はドワーフ族のドワーネです。助けてください!」


「どうした? 説明しなさい」


「ダンジョンがあって、我らドワーフは採掘をしていた。いつも採掘をしている。そこに魔族が来た。魔族はドワーフでも倒せるのだが、数が多くて仲間がピンチなんです」


「ユウタ、彼女はドワーフ族でした」


「ドワーフ。初めて見た。彼女は困っているのかい。魔族がいたとか聞こえたが」


「ダンジョンがあって、魔族が大量にいる。私達に助けてくれと」


「魔族は俺は悔しくない。オガーナは知っているだろう。戦えるのかオガーナで」


「魔族がいるとして、私は負けない。しかし助ける義理はない」


「お願いします。お助けを。魔族の数が多いし、ダンジョンには仲間がいるのです!」


「俺はドワーフ族とは何も関係はない。しかし助けを求めているなら無視はできないな」


「助けてください、ユウタ」


「ユウタは女には優しいからね。我ら蜘蛛族にも優しい」


「別に女だからじゃないさ」


 ドワーフ族のドワーネは女性だった。


 姿はマンガで見たことのある服装だ。


「魔族は強敵もいる。下手に関わると今度は魔族が牧場にも攻めてくる。ここは断るべきです。しかしダンジョンが近いなら、牧場にも被害が出る」


「エルが言うように牧場は大事だ。魔族が攻めて来たら嫌だ。魔族を追い払うならできるかな。オガーナやエルは?」


「当たり前だ。私はオーガ族ですよ」


「エルフ族は魔族を恐れません。蹴散らしてみせます」


「蜘蛛族は魔族と争いを過去にしています。望むところ」


「決まりだな。ダンジョンに行きます、ドワーネ」


「お願いします」


 ドワーネにダンジョンに行くと約束し、ダンジョンへ移動した。


 思ったよりも、めっちゃ近い。


 牧場の近くにダンジョンがあったのは全く知らなかったから、牧場が危険な目に合う可能性があった。


 あのままドワーネを無視していたら、本当に魔族が牧場へと来たなら、ここで魔族を追い払うのが正解かな。


 逆に魔族から反感をかって、牧場に攻めてくるのもあり得ないことはないが。


 異世界のマンガではダンジョンは必須の必ず出る舞台。


 あるのが普通だから、この森にもあったわけだ。


 ダンジョンと聞くと憧れもあるが、それはマンガやゲームの話であって、実際に自分が行くとなると怖さはある。


 しかも魔族と聞いたら怖いし、マンガや異世界小説のように楽しんでいられなくなった。


 初めて見るダンジョンに入った。


「ユウタはダンジョンは来たのあるかい?」


「初めてだよ。これがダンジョンか。一人だと怖いな」


「みんないますから、心配はない。ただ魔族の数がどれだけいるかですが」


「不安にさせるなよ。怖くなるだろ」


「ドワーネ、あなたの仲間の場所へ案内して。エルフ族が加勢します」


 ドワーネの後をついて階層を進む。


 ダンジョンは単純な構造ではなくて、複雑な構造だった。


 迷路のような通路だし、見た目は全部同じにしか見えない。


 ドワーネはよく進めるなと思ったが、慣れているものと思われる。


 階段も降りて進んだ。


 緊迫感を感じるのは俺だけかな。


「仲間がいます。みんな、応援を呼んできました!」


「ドワーネ、もうだめだ。魔族の数が多い!」


「魔族が勢いがある。応援が来ても無理だ。全員逃げよう」


「そうです、逃げるしかない」


「ダンジョンから撤退しましょう」


 ドワーネと来てみると、ドワーフ族の人が魔族と戦闘中だったが、逃亡を訴えていた。


 ダンジョンから早く出るのを。

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