第55話 『055 労働の後の入浴』

『055 労働の後の入浴』


 牧場に新たに来た魔王バチの様子は大丈夫そうだ。


 逃げることもなく、牧場の中に収まっているのを見て安心。


 飛行できるので、いつでも飛んでいけるが、俺の命令を聞いていて、ちゃんと牧場に戻って来ている。


 ハチが俺の命令を聞くのは不思議な感覚にはなるが、ドライフードを食べるので、エサとして置いておく。


 ペットフードとユニークスキルがなっているが、魔物全般に効果があると判明している。


 本来の予定ではトマトなどの野菜を取りに行くはずが、偶然にも魔王バチの巣に出会ったのがきっかけとなった。


 森には俺の知らない世界がまだまだありそうだ。


 森の大きさ、広さはオガーナに聞いたら相当に広いらしい。


 歩いて全部を把握するのは無理なくらいに広いと。


 日本でいうと一つの市くらいあるのか、それとも県くらい広いのかによって違う。


 県レベルの広さなら、徒歩での移動は不可能であろう。


 車で移動とかの広さとなる。


 今の所は徒歩の移動なので、牧場の周辺しか行動範囲は広げられないかな。


 オガーナは以前から森に住んであるが、いまだに全体は見ておらず、ほんの一部しか見ていない現状と言った。


 しかもこの森の周囲には町もある。


 いくつかあるらしい。


 複数の国も存在していて、争いも起きているとか。


 ファンタジー世界ならではの広大な世界があると聞いていて、俺はその森に転生した。


 もし町に転生していたら、また違う人生だったろうか。


 偶然にも森に転生して、ペットフードのユニークスキルが活かされた。


 逆に王都などの大都会では、ペットフードスキルの使い道に迷ったと想像できるし、冒険者になっていたかもな。


 今は色んな種族と仲間にも恵まれて、牧場をできている。


 少し森を歩いてきて、汗もかいたし、露天風呂に入ろうか。


 やっぱり動いたり、運動したら、風呂は最高ですからね。


 水路と露天風呂の仕切りを取ると水が流れる。


 露天風呂の水が入ればエルナに加熱してもらうと、熱湯に早変わりした。


 エルナにはお礼を言うと、なぜか照れている。


 俺は何かしたかな?


 照れるような事はしていないけど。


「ユウタの為なら加熱するのは、たやすいです。それに」


「ありがとう。それに?」


「私もご一緒に入浴させて欲しいです」


「エルナが、いいなら入ってもいいけど、いいのかい?」


「もちろん入ります」


 もちろんなのか。


 エルナが入浴すると、エルサ、エルミも来て脱ぎ出す。


 俺の入浴に割り込んで来た。


 エルフ族は俺との入浴は拒絶しなくて、むしろ入りたい様子であるのは、この世界特有なのか。


 シルクや山猫が入浴するのを見ているのは、俺の信頼を失わないかな。


 山猫の主人として、山猫からエロ主人と見られるのは、恥ずかしい気もする。


 エルフ族だけに終わらず、蜘蛛族のクモーナも来て、


「エルフ族だけに入浴を独占させません。蜘蛛族も入浴します。エルサ退きなさい」


「クモーナには譲りません。ユウタの入浴を邪魔する蜘蛛には譲りません」


「強引に来るか蜘蛛族」


「ユウタは渡さない」


「こっちにユウタを」


「ユウタはエルフ族のものです」


「向こうに行けエルフ族」


「あああああ、引っ張るなあ〜〜〜」


 クモーナ、クモーゼラ、クモーテまで登場して混浴は混雑です。


 露天風呂は、またも大人数での入浴になりました。


 一人で入浴する予定が、大人数に変更になった。


 こうなるなら、もっと風呂を拡大するのも必要か。

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