第51話 『051 贈り物』
『051 贈り物』
山猫のシロと俺は遊んでいた。
毛並みは柔らかいし、綺麗だな。
真っ白い猫は日本にもいる。
ノラ猫でも見ていたし、エサをあげたくなる。
たぶん山猫ではない普通の猫もいるだろうから、犬も飼いたい気もする。
山猫のことを考えているとシロが急に牧場の外に反応した。
「誰か来たのか?」
シロが牧場に誰か来たと俺に知らせる。
来客なら出迎えは必要だし、敵の可能性もあるし、俺が行ってみると以前に来た冒険者だった。
「あれ、この前に来た冒険者達でしたか」
「また来ました。よろしくユウタ」
「よろしく」
「よろしく」
「どうぞ牧場へ」
危険はないから、シロを下がらせた。
冒険者さんが怖がるからだ。
牧場へ来たのは以前に来た冒険者だったからで、俺は安心したし、嬉しくもある。
なぜなら牧場と人族の町とで、平和的に仲良くしたい気持ちが俺にはあるから。
戦いを起こすことなく、商業で交流したいから、再び来たのは大歓迎であり、俺は笑顔になる。
牧場へと案内をしてハウスイーターの家に入ってもらう。
「この家はユウタが建築したのかい?」
「いいえ、俺は建築できません」
「異種族に頼んだのですね。オーガ族とエルフ族がいました」
「いいえ、違うのです。家はハウスイーターです」
「ハウスイーター!!」
「まさか、森にいるとされる最悪の家の魔物!」
「一度入ったら最後と言われる魔物ですよね!」
「驚くことはないです。何もしませんから。ちゃんと出れますよ」
ハウスイーターの名前を言った途端に、冒険者さんの顔色が悪くなった。
全然怖がる必要はないのに、もの凄く怖かってしまった。
「そんなはずはない。冒険者にはハウスイーターは恐怖の家。入ってしまったら脱出は不可能な家。直ぐに脱出します!」
「逃げろ!」
「速く出ろ!」
「大丈夫です。攻撃しませんから」
冒険者はハウスイーターと聞いて怖がってしまったな。
俺の説明が悪かったかな。
「あらまあ、皆さんユウタの牧場を怖かっています」
「うん、ユウタの家から出たがっているから、押さえつけようか」
「オガーナ、無理に押さえつけなくていい。大事なお客様だ」
「だって、逃げようとしている」
「嘘だろ」
「やはり来るべきじゃなかった」
「大丈夫です」
なんとか安心させたいところです。
「わかりました。逃げません。今日来た話をします。俺たちは自分達の町に一度帰り、ギルドマスターから贈り物を持って来ました。こちらが贈り物です」
「贈り物。俺にですか。ありがたい。受けとります」
なんと贈り物をもらった。
何かな?
袋は大きくはない。
軽い。
ギルドマスターは、とても親切な人だな。
「塩と胡椒! これをもらえるのですか。牧場には塩がなくて困っていた。ありがたいです」
「町では塩と胡椒は売っています。喜んでもらえて良かった」
「今後も取引きできますか?」
「またここに来いと!」
「はい。来て欲しい」
お願いします。
ぜひとも、来てくれ。
「えっと、そ、そ、それは、ギルドマスターに報告します」
「あまり嬉しくないのか冒険者ども」
「ひえっ、エル!」
「エル、脅してはいけません」
「はい」
「すみませんでした。エルは少し言葉が悪いので、気にしないでくれ。また塩と胡椒が欲しいです」
「ユウタ、お返しにこれを差し上げたらいいですよ」
「この牙をあげます」
クモーナがメガイノシシの牙を持って来てくれたのを、冒険者に渡す。
今後もよろしくの気持ちで。
きっと喜んでくれるよね。
「く、く、蜘蛛!」
「蜘蛛族ですか!」
「彼女は蜘蛛族のクモーナです」
「クモーナ!!」
「よろしくね」
クモーナが挨拶。
見た目は蜘蛛だから怖いが、凄く優しい子です。
冒険者さんも、気に入ってくれると思う。
「受けとります。牙は受けとります。も、もう帰りますので」
「えっと、もう帰るの。来たばかりですから、ゆっくりしていけばいいのに」
「忙しくて、すみません帰りますので」
忙しいそうです。
「次はオーガ族にエルフ族に蜘蛛族も町に行きましょうよ」
「そうね、エルフ族5人で行きましょう」
「えええええ!」
「来るの!!」
エルフ族やらが行くと言うと驚いているのは、嬉しさからだろうな。
「冒険者は忙しいのはわかる。魔物を討伐したら、報酬に変えるし、使えれも取る必要もある。大変なんだと思う」
「また来てください。俺は待っています」
「こちらこそ、ユウタに会いに来ます」
冒険者達は町に帰った。
こちらからも取り引きをしたいから、メガイノシシの牙をお返しした。
メガイノシシをオガーナが料理したときに、使わないからと牙はあったもの。
俺も使わないし、使い道もないし、必要ないからとあげた。
しかし忙しいな冒険者は。
来たばかりなのに、慌てて帰った。
もっとゆっくりしたらとクモーナが誘うも、忙しいとのことだった。
ただ塩と胡椒が入手できたのは大きい。
今までスパイスなしで食べてきたから味が弱かった。
一番欲しかったのが入手できて感激しました。
森の近くに町はあるのなら、人族との交流も盛んになりそうです。
オーガ族、エルフ族、蜘蛛族とかバラエティに飛んだ種族もいて、牧場に来たい人がいれば、観光地にもなるか。
日本でも地方都市では、観光地にするために、特産品を作って宣伝もしていた。
特産品があれば有名になる。
肉なら松坂牛や近江牛や山形牛とか有名だしな。
牧場のイノシシも名産品になれば、観光客が来る。
冒険者とは仲良くして、宣伝してもらおうと思う。
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