第35話 『035』

『035』


 冒険者が牧場に来たのは俺は嬉しい。


 もっと牧場を発展させたくなった。


 今の家だと宿泊は困難だから、別に宿が必要になるな。


 食料も足らないし、もっと生産出来るように発展させよう。


 生産量は牧場を大きくすればいい。


 オガーナに言って拡大をする。


 牧場はオガーナに任せて、今日はエルと森に行くとした。


 まだ森は俺が知らない場所も多く存在する。


 森に入ると険しい森林で迷宮のようだ。


 俺が一人では確実に迷子になる自信がある。


 そのまま奥に進む。


 エルが立ち止まる。


「ユウタ、危険です」


「糸! 蜘蛛の糸が!」


「はい、蜘蛛の糸。昆虫のではない、魔物の蜘蛛の糸でしょう」


「そうですよ、エルフ族。私の糸をよくぞ察知しましたね」


「蜘蛛族の女か。私は蜘蛛は大嫌いだ」


「蜘蛛族!」


 蜘蛛族という種族らしい。


 周囲は巨大な糸が張ってある。


 下半身が蜘蛛に似ている。


 俺たちは蜘蛛の罠にかかっていた。


 エルが罠の寸前で気づいたから助かったか。


 あと一歩踏み込んでいたら、食べられていただろうか、そんな状況に。


「ユウタ、私が戦います」


「わかった」


「ふふふ、エルフ族で私に勝てますかね。私の蜘蛛の糸で!」


 お尻から糸を出す攻撃!


 エルは回避した。


 連続で糸を出してくる。


 エルも負けてはいない。


 弓を放つ。


 蜘蛛の女は軽く蜘蛛の糸を移動。


 速い!


 まさに蜘蛛って感じの速さ。


 ここは蜘蛛の圧倒的な有利な場所だな。


 糸を移動できる蜘蛛が有利だ。


 しかも一匹じゃなかった。


「エル、仲間がいる! 逃げよう!」


「くそっ、仲間が来たか。悔しいが逃げます」


「ふふふ、逃がしませんよ。エルフ族と人族ん囲みなさい」


「しまった、囲まれた!」


「だめです。囲まれました。数が多いわね。10匹いますもの」


「糸で包んであげます」


「ああああ! 糸が!」


「エル!」


 最悪の展開だ。


 エルが蜘蛛の糸にグルグル巻きにされた。


 そのまま宙ずりになる。


 俺が助けるしかないか。


 しかし蜘蛛の糸に触れたら終わりだ。


 エルですら名にもできないので、俺も終わりだ。


 少しずつ蜘蛛の魔物が接近してくる。


 一気には来ない。


 ゆっくりと接近してきて、じっくりと俺を捕獲するつもりだ。


 まるで俺が昆虫になった気分。


 蜘蛛に狙われた小さな虫に。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る