第34話 『034』

『034』


 冒険者が牧場から去った。


 初めての来客なので丁重に扱ったつもりです。


「ユウタの牧場に驚いたみたいよ」


「俺の牧場の初めての来客だ。楽しんでもらいたかった」


「マンゴーも美味しいと言っていました」


「きっと森から町に帰ったら、ユウタの牧場について話すわよ。とてもいい牧場が森にあるぞとね」


「評判になるわね」


「有名な牧場として、多くの人が来ますよ。どうするの?」


「多くの人が来られても困るが、なるべく楽しんでもらいたいな」


「ユウタらしいな」


「私も頑張って牧場を有名にします」


「ありがとうエルナ、エルサ、エルミ、エルカ」


 牧場が有名になるか。


 考えてなかったが、有名になるのは悪くはない。


 ただ受け入れる準備がないだけだ。


 牧場が発展すれば、肉を売ったり、取引きは可能だ。


 牧場の経営にも繋がるな。










 ユウタが冒険者の来客に嬉しく思っていた時のこと。


 冒険者らは嬉しいどころではなかった。


 冒険者は慌てて牧場から去ったのだった。


「おい、森の中に人がいるから、食料でも奪ってやろうとした。しかし奪うどころじゃなかったぞ」


「殺されていても不思議はないな。なにせ、入ったらいきなり山猫が来たのは驚いた。あれは山猫でも超レア種だろ。伝説級の山猫だった。しかもオーガ族の女と来た」


「あのオーガ族の女はオガーナだろう。オガーナと呼ばれていた!」


「まさかあの災害級のオガーナか! 最悪な強さで、国の戦力と互角と言われる!」


「しかも牧場にはエルフ族がいたが、あのエルフ族は有名な災害級のエルだろ。冒険者が間違えてエルフ族の村を襲ったら、全滅したって言う!」


「そんなのが森の中にあった。しかも牧場をしているとか、危な過ぎる!」


「それに、招かれた家は、ハウスイーターじゃないか?」


「ハウスイーター! Aランク級の魔物!」


「なんで危険なのばかりいるんだよ! それを集めているのがユウタだった」


「ユウタ、ユウタ、恐ろしい人族だぞ」


「町に帰ったら冒険者ギルドに牧場とユウタを報告しよう。災害級に危険な牧場があったとな」


 冒険者は逃げるようにして町に帰る。


 ユウタが期待していたとは逆に恐れられてしまった。



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