第13話 『013 山猫に襲われる』

『013 山猫に襲われる』


 山猫はオガーナに捕まり、抵抗はしている。


 逃げられないため、鳴いていて手に噛みついている。


 言うとおりに狂暴だな。


「食ってしまいましょう。私が料理します」


「いや、待てオガーナ」


「なんですか」


「殺す必要はない」


「ユウタにとって大事な牧場を荒らして食べたのです。死がふさわしい。食べます」


「待て待てオガーナ!」


「なぜ待つの?」


「食べたらだめだ」


 食べる寸前で停止した。


「どうして?」


「日本では犬と猫は食べないからだ」


「なぜ食べない?」


「かわいいだろ犬と猫は」


「私よりもかわいいか?」


「いや、かわいいの種類が違うよ」


「わかりました。食べません」


「良かった。そしたら山猫は解放していい」


「逃げますよ」


「ペットフードをあげてみよう、ほら、ドライフードだ。食べな」


 とりあえずオガーナは説得できたから良かった。


 今度はユニークスキルのドライフードをあげてみよう。


 食べてくれればいいが、名前は猫となっているが、非常に攻撃的だ。


「食べましたよ。カリカリと食べています」


「食べてくれたか、これで静かになればいいが」


「ユウタのドライフードの袋にある絵は、猫が書いてある。関係あるのかな?」


「猫用のエサだ。日本では一般的に売られているドライフードだな」


「恐ろしい国です日本は。魔物を簡単に手なずけてしまうペットフードがどこでも売っているとは」


「恐ろしくはないよ」


「もしユウタの日本の国が本気でこの世界に来たら、世界は一日で支配できます」


「しません」


 オガーナの中で日本のイメージが恐ろしいイメージになっていた。


 俺からしたらオガーナの方が遥かに恐ろしいんだけど。


「山猫が静かになりました。ドライフードの効果でしょう」


「もうイノシシは攻撃したらだめだぞ」


 山猫に注意すると、2匹とも静かに聞いていた。


 まるで俺の言葉を理解したかのように。


 イノシシと同じで、ドライフードを食べたから俺の命令を聞く。


 この山猫をどうするかな。


 俺が食用にすることはないから、自由に逃がす選択もある。


 または忠実になるなら、牧場の監視役ができれば助かるか。


 今日みたいに夜中は俺もオガーナも同時に寝てしまうこともあるからだ。


 寝ているときに見張り役になるなら助かる。 

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