第5話 『005 川を探す』

『005 川を探す』


「まずは水だな。家は野宿もできるからな」


 最悪は地面に直で寝ることもできるが、水は必要だ。


 しかも緊急である。


 水となると川が有力で、井戸は掘らないと無理だろう。


 今の俺に井戸を掘るのは不可能であるから、川を探してみるか。


 ちなみに俺の日本での名前は霧島ユウタ、35才。


 ステータスでは自動でユウタとなっている。


 実年齢は35であるのに、転生した姿はもっと若そうだな。


 だいたい20才くらいに思えるのは、缶詰めの金属に自分の顔が写ったからだった。


 まあ、年齢は若い方が得だろうから、若いに超したことはないか。


 森に川があるかも知らずに歩くと、川が見えた。


 奇跡が起きました!


 偶然であるが、川です!


 転生させたのが神様なのか知らんが、川の近くに転生させたのと思いたい。


 これで水分の確保はオッケーだな。


 それに川魚もいれば、魚も食料になるし、希望が持ててきた。


 しかしそう甘くはなかったか。


「またもイノシシ! それも数が多いな。10匹はいる!」


 浮かれていたのを反省する。


 ここは異世界なのだ。


 即死も当たり前の世界である。


 直ぐにユニークスキルを使う。


 ペットフードのドライフードを出すと、袋が出てきた。


「ドライフードだ、食べてくれ!」


 魔物に食べてくれと言うのも変な気はするが、袋から大量に出して投げる。


 一度目のイノシシは食べてくれた。


 今度は10匹もいるから、同じになるかというと、食べないのもいたら俺は終わりだ。


 食べてくれて祈ると、10匹はみんなドライフードを食べ出す。


 カリカリとから、食べている。


 そんなに美味しいのか?


「食べてくれた、良かった」


 イノシシ魔物10匹は今度も静かになっている。


 ドライフードは強力な効果があるな。


 ただしアイテムやスキルの効果は相手によって影響される。


 例えば耐性のある魔物や、魔力が強い魔物には効果は大幅に落ちるのが通説だ。


 イノシシ魔物が弱いから効いているのも考えておくか。


 イノシシは大丈夫なので、川に行けた。


 川の水は飲めるな。


「普通に美味しい水だな」

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