第4話 『004 魔物にドライフードを』
『004 魔物にドライフードを』
俺は最後のあがきで、ドライフードを袋から出して、投げた。
カリカリした猫が好きな餌だ。
猫の絵が書いてあるけど、味はするだろうから、食べてくれればいいな。
「あっ、食べた!」
なんとイノシシの魔物はペットフードを食べた。
今のうちだ、今なら逃げられるぞ。
食べているうちに逃げよう。
逃げようとした時だった。
イノシシの魔物はこっちに来たが、突進ではなかった。
突進というよりも、ゆっくりと近づいてきた感じ。
そして俺の足元にまで来ると、俺の手を舐める。
「もしかして、ドライフードが欲しいのか、ほら食べろ」
魔物はドライフードを欲しがっているから、差し出すと食べる。
俺には敵意はないようだ。
良かった、助かったぞ!
「魔物はペットフードを食べるな」
発見したのは、魔物はペットフードのドライフードを食べるということだ。
しかも完全に静止していて、敵意はまるで感じない状態になったのは不思議だな。
これは敵意がないし、ペットというよりも、飼育できる可能性を感じる。
もしかしたら飼育して食料にもできるのではないかと思った。
飼育して食べるとは、つまりは牧場だな。
ペットフードがあれば、魔物を静かにさせて牧場にできるので!
「牧場になるな」
魔物と遭遇した時は絶望的だったが、最悪の状況において、ペットフードが俺を救ってくれた。
奇跡ではあったが、こうして魔物はおとなしい。
何とか生きてきていく上で、異世界で牧場を作るのを思い付いた。
この森がどこなのかも、わからないけど、開拓すれば生きていけそうだな。
「そうだ、家がないぞ」
日が暮れてきた。
夜になるのは日本と同じで、一日は昼間と夜があるのがわかった。
太陽もあり、限りなく日本の自然と似ている。
問題は住む家だな。
それと水がないか。
腹が減ればジャーキーはあるからいいが、水分がないと死ぬのが人間だ。
人も俺しかいないし、町もないのは日本の都会では想像もできなかった。
町はあれば助かるが、地図もないし、下手に移動するのは危険だな。
ここで家を作り、暮らすのがベストかなと。
「イノシシの魔物をここで飼育して牧場を作るぞ」
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