第2話 『002 ペットフードを出す』

『002 ペットフードを出す』


 本当に出るのか疑問だったのは、こんなところを日本人に見られたら頭が変なのかと思われる。


 俺がペットフードと言ったら、いきなり空間から出てきた。


「出たぞ! やった! まんまじゃんか!」


 コンビニで売っているまんま。


 袋に入ったドライフード。


 袋に入ったジャーキー。


 缶詰め。


 3種類が出てきた。


 ペットフードのスキルの使い方は、今ので把握した。


 俺がペットフードと発すれば、実物が空間から飛び出してくるのだ。


 どういう仕組みなのかは、深く考えないのが異世界転生では重要と聞く。


 考え出しても、俺にはわからないからな。


 それよりもこの安そうなペットフードが食えるかが問題となる。


「さすがに食欲はないよな」


 いくら食料がないとはいえ、食べる食欲がわかないのは、生きてきて誰でも思うだろう。


 しかし贅沢が言える状況じゃない。


 今の俺の置かれた状況を理解して、生き抜くので食べることにした。


「ジャーキーなら食えそうだな。普通に干し肉っぽいし、食えそうだが、うん、まずまずの味だな」


 ドライフードのカリカリしたのよりも、ジャーキーを選んだ。


 サラミとか、お酒のおつまみとかで売っているのを食べたことがあるのに、似ていて食べられる。


 ジャーキーがあれば、何とか食欲は満たせそうだ。


 とりあえず飢え死にはしのげそうか。


 食料は出せるとなれば、生きていけるとし、少しだが安心感はあった。


 安心したのもあり、森を少しだけ散策してみようと思う。


 森は静かだった。


 まるで日本の森に入ったらこんな風だろうなという感じで歩く。


 偶然にも家とかあればラッキーだけど、何もない森林が続く。


 この森はどこなのか。


 どれくらい広いのかと疑問に思ってしまうし、せめてもの地域の地図だけでも欲しい。


 森林の中を歩いていると物音があった。


「なんだ?! 魔物か!」


 安心していると草むらから音がした。


 俺しかいないと思っていた。


 異世界の森なので、俺しかいないわけない。


 むしろ俺は魔物の餌じゃないか!


「イノシシ! しかも大きいぞ」


 イノシシに似ているが、日本のイノシシよりも大きい。


 これが魔物らしい。


 俺の方に突進してくるのがわかった。


 どうしたらいいのか、自分でも悩む。


 そもそも日本では俺は都会暮らしだったのがあり、一度もイノシシとか動物と対決した経験がない。


 だからイノシシが突進してきても、どう反応していいのやらと迷ってしまう。


 このまま立っていたら突進に激突して俺は死ぬだろう。


 あっけない死に方だが、そうなる気がする。


 まずは突進に対して回避をするのがベストな選択だな。


「逃げよう!」


 俺はイノシシから必死に逃げる。


 それでもイノシシは俺を追いかけてきます。


 なんで来るんだよ。


 ダメか、しかも速度が速いです。


 このままでは追いつかれて死ぬことになる。


「なんだ、なんかもの凄い地響きがあるけど?」

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