伍
七夕祭りが始まった。通りの道路が通行止めになり、和服やそれぞれの民族衣装などに身を包んだ連中がうじゃうじゃいる。満洲ほどではないが、樺太には様々な民族の人間がいる。
「では行こうか」
いつも通り散歩に出かけようとホテルの部屋で柔軟をしていると、紫色の浴衣に身を包んだ
「散歩がある」
「散歩で何処を歩くのか、それを
そう来たか。そう言われると弱いな。完全に拒絶することができない。
「それならば構わない」
我々は人混みの中を散歩した。
露店の者には地元のロシアンマフィアの下っ端などがいた。
「
少なくとも豊原市は
本性が千年ほど生きる大妖怪に勝てる人間など
「調子はどうじゃ?」
「ボチボチっす」
「水餃子、二パック買おう」
「既に散歩ノルマは達成されている。俺は帰るがお前は?」
人混みを歩き、食べ物を買っているうちに散歩で達成すべき歩数を終えた。
七夕祭りでは二十時から花火が打ち上がるらしい。
「花火はホテルから見ると楽じゃぞ」
「そうか。俺は構わないが、お前仕事大丈夫なのか?」
「今日と明日は全部開けている。お主の部屋から花火が見たいのじゃが……良いだろうか?」
だが、そんなことはどうでもいい。
「分かった。来てくれ」
先に
「袋はいらない」
「壊した床の修理費いい加減払ってくれよ」
たまたまコンビニのレジをやっていたのが、前にチュパカブラに殺されかけていた男だった。
「それもそうだな」
商品の代金とは別に五百万円を渡す。たまたま札束を持って歩いている日だった。
コンドームとスポーツドリンクのペットボトル二本を持って俺はホテルに戻った。
俺の部屋はホテルの上の階にあるので花火がよく見えた。七夕祭りの露店が並ぶエリアから立ち見の者、河川敷に席を確保し見る者。それぞれが同じ花火を見ている。ただ各々が居る場所が違うだけだ。場所によって見えにくくも見えやすくもする。
花火を見ているうちに、
「薄々勘づいているとは思うのじゃが、
「それがどうした」
それからお互いがお互いの唾液を吸うような
「シャワーを借りてもいいか?」
「良い」
俺の前で
我々は性交渉を行った。
性交渉は闘争に似ている。お互いがお互いの肉体を使い、ぶつかり合う。
無意識に
「思ったより重いッ!」
体勢を変えるために
軍用サイボーグ並みだ。軍用サイボーグは百五十㎏ほどするが、だいたいそれくらいに感じる。
「お主ッ!
いつの間にか朝日が登っていた。
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