第31話 灼眼の羅狼
「来い、
少女の胸に突き刺さっている紅い槍がハイネルの手に戻る。
「貴様…なり損ないの種族か…!よくも我が体に傷を…!」
「貴公の正体は分からないが、貴公を災害事象の根源として討伐する!」
スゥゥと息を吸い、ハイネルが構える。その構えには一分の隙もなく。
ヒュゥと音がしてハイネルの姿が消えた。一瞬で少女の後ろに跳んでいた。
振るわれた槍は、頭を捉えていたが、またしても無に止められる。
「止められた!?」
「ふはは!そうだ。私は魔法使い!この程度の攻撃を喰らうわけがないのだ!」
「ならば…雷撃よ!かの者を撃ち滅ぼしたまえ!!」
パキパキと枝を折るような音が辺りに木霊する。槍の刃先がバチバチと雷を発生させ、紅い雷が少女を包み込む。
「爍槍解放!!」
紅い雷光が一本の柱の如く空間に突き立てられる。
衝撃波で地面が拉げる。辺りの木々がへし折れる。
徐々に消えていく雷光が余韻を残し消えていく。
そこには焦げた少女の姿があった。
「ぐぁ。ああ…」
「魔法で隙間に空間をさらに発生させたのだな?残念だったな、それは既に経験済みだ!物理には有効だとしても、コレには反応できまい!」
「私は塔の魔法使いだぞ、この程度で死ぬわけがぁああ!!」
「ならば来るがいい!見せてみろ、その力を!」
少女の手から火球が連射される。凄まじい速度、威力共に申し分ない。
だがそれを、上回る速度でハイネルは叩き落としていく。
「カァッ!!」
少女の口から熱線が放射された。木々を岩を溶かす一撃だ。
「ゼロカク!異聞を喰らい尽くせ!!」
ハイネルが体を弓なりに逸らせ、爍槍を投擲した。
神速の一撃が熱線を弾きながら空を飛翔する。
勢いは微塵も衰えず、徐々にドリルのような回転を加えながら爍槍が飛ぶ。
「止まれ!止まれえぇえええ!!無よ!あれ!!」
少女が叫ぶ、爍槍は止まらない。
静寂。
パキ、という音、槍が少女の頭蓋を貫いていた。
「あ、」
「討伐完了」
ハイネルの手に回転した爍槍が空から落ちるように戻ってくる。
「強い。これが、騎士団第一団長か…」
カテラのつぶやきを聞いてか聞かずしてか、ハイネルはカテラの方を向き笑いかけた。
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