二章 喪失に眠る
01
朝から静は疲労困憊だった。
「静様」
「今日、部屋から出ない」
ルイスの呼びかけに言葉だけ反応を返すが、静はソファの上から一歩も動く気力すらなかった。
嵐が過ぎ去った後のように、部屋はとても静まり返っていた。いつもと変わらない朝の時間のようにも見えるが、大きく違う所があるとすれば静の格好だ。
昨夜の宣言された通り、静は三人他複数名の手により、それはもう不服としか言いようがない何とも可愛らしい服を着せられていた。
白みがかった紫のワンピースは幾重にもレースがスカート部に重ねられ、腰というか腹周りにはコルセット。詰襟ではあるが、丸みを帯び、可愛らしい刺繍まで施されたもので、肩付近は丸く膨らみ、そこから袖口に向かって広がっていくわけだが、袖口にもこれまた可愛らしいレースが見え隠れしている。
静もこれは可愛いと分かっている。しかし見るのと、実際に着用するのとでは話は全く別である。
「静様、皆様が談話室でお待ちですよ」
「いかないっ」
戻ってきたリーリアが扉の向こう側から顔を出す。その顔は早く、とせがんでいるそれだ。静はそれを見た瞬間、きゅっと顔をしかめた。
『早く行くぞ、静』
愛娘だと大ぴらに伝えたこともあり、ネーヴェは躊躇することなく言葉を発しながら静のスカートをぼふぼふ、と叩く。しばらく無視を決め込んでやろうと静はそれを放置していれば、ルイスがすぐ近くで控えていた。
「静様」
「やだ」
「抱えますよ」
これは問答無用で抱えらえる、と静は本能的に悟り、素直に立ち上がった。
「自分で行きますぅ……!」
半ば自棄になりながらも、今日もルイスの手を引かれて部屋を後にした。子狼はやはりリーリアに抱えられ、ご機嫌そうに尾を何度も揺らしていた。
思い返せば四人がこの大神殿に集まってきてからというのに、なんだかんだと日がな一日、四人で集まって何かをするということはほとんどなかった。一日に数度、まともに顔を合わせるのは夕食時の時ぐらいだ。それ以外となれば、庭園でお茶をしていた時ぐらいだ。もちろん昨日のことは数にいれていない。
そういうわけで昨日から一夜明けて今日、真咲が静に着せる服を選ぶ横で、今日は全員談話室に集まって過ごそうと言う話になったのだ。ちなみに静は最後まで抵抗したが拒否権はなかった。
「ちょっと静、次よ次」
「はぁい……」
ゆったりとした一人掛けの椅子にぐでりと腰をかけている静は目の前にいる真咲にうながされ、間の小さなテーブルに置かれた遊技盤の駒を一つ動かした。
軽い石の音がコツリと響く。その後、真咲が少し迷うような手つきで自陣の駒を動かした。
「真咲、これ好きだよね」
「もうね。けど、すごく好きってわけじゃないわ」
「そうなの?」
「ただ……なんていうか、ちょっと極めたくなるっていうか」
「へぇ、すごいね。じゃあ最難関は伊織か」
「次こそ勝つんだから!」
「ほら、ここお留守」
「ぎゃあ! 待って!」
静は遠慮なく、他の駒に夢中になり、手薄になっていた場所に駒を移動させる。途端焦った声を出した真咲に、静は小さく肩を揺らした。
それらを横目に奈緒と伊織はと言えば、お菓子のレシピ本を顔を寄せ合って覗き込んでいた。次にどんな菓子を作ろうか、一緒に話をしている所だった。もちろん目線は本に向けてはいたが、耳はしっかりと二人の会話を拾っていた奈緒は少しばかり呆れたように伊織に視線だけを向けた。
「ちょっとは手加減したらどうなの、伊織」
「手加減したら怒るんだもん」
「ばれないようにやれば良いじゃない」
「頑張ってばれないようにしてたんだけど、何故かそれだけは分かるみたいなの」
「本人はあんなに分かりやすいのに。不思議ねぇ」
「ちょっと、聞こえているわよ! 後、手加減なんて許さないんだから!」
遊戯盤に集中していると思いきや、真咲はしっかりと奈緒と伊織の会話に耳を傾けていたらしい。それでも顔はしっかりと遊戯盤を見下ろし、迷いながらも駒を一つ動かした。
そして笑顔の静が即座に返し、真咲は両手で顔を覆った。
「負けたっ……!」
「真咲ってこの攻め手に弱いんだね」
「え、どういうこと?」
「ちょっと待ってねぇ」
勝利を収めた静は、不要な駒を退けつつ、手際よく駒をその位置に置いて行く。
「紅茶をどうぞ」
「ありがとー」
その横でルイスがタイミング良く、いれたばかりの紅茶を静と真咲の横に小さなカチリ、という音を鳴らしながら置いてくれた。
静は聞こえた音の方へと手を伸ばし、カップの小さな持ち手をつまむように持ち上げた。
「静様、こぼしますよ」
「はぁい。ここね、ここ」
まるで母親か何かのように、よそ見をしている静に小言を漏らしたルイスに生返事を返して、駒を並べ終えた。
真咲が両手でカップを手に取り、胸元に持ち上げつつ盤上を一緒にのぞき込んでくる。
「えー……でも、それってさぁ」
「じゃあこうする?」
頭を寄せ合い、ああじゃない、こうじゃないと言いあいつつ、話の合間にお互い手に持ったカップを口元によせて喉を潤す。と、真咲がばっと顔を上げた。
「静」
「うん?」
「なんでこれ、こんなに美味しいのよ」
「ねー。びっくりするよねー。あ、これなんてどう?」
「え、あ、それ良いかも!」
驚きの声を上げる真咲に、静は全くもってその通り過ぎるために軽く流しながらも駒を動かしていく。
うんうんと静が動かす駒を凝視しつつも、その手にあるカップは飲み干すまで手放されることはなく、あっと言う間に空になってしまった。真咲はほんのちょっぴり名残惜し気にカップをソーサーの上に戻すと、控えていたルイスが無言でおかわりの紅茶を入れてくれ、真咲の笑顔がぱっと咲いた。
もちろんそんな真咲の様子を見ていた奈緒と伊織が気にならないはずもなく、静かに二人して手を上げた。
「お茶をいただきたいです」
「です!」
「少々お待ちください」
呼ばれたルイスは手早く元から準備していた二人分のカップを用意し、紅茶を注ぎ入れる。白い湯気がまだ立つ透き通ったキャラメル色が二つ満たされ、食器のこすれる音と共に二人の前に置かれる。
二人は迷わずカップに手を伸ばし、迷わずに喉を潤した。
「……え、これ、なんの紅茶?」
「いい香り!」
奈緒が小さく驚きの声をあげ、伊織がぱぁっと笑顔を浮かべた。
「ルイス様」
「何か」
「こちらの茶葉ですが、どちらのものですか?」
奈緒の一言に何か気づいたのであろうリーリアが笑顔で詰め寄ろうとし、ルイスは無言で逃れようとした。が、その前に他三人の侍女達がそっと周囲に詰め寄っていた。
「そういえば、ルイス様は紅茶をいれるのがとても得意だとか。是非とも教えて頂きたいのですが……?」
「静様のお気に入りだそうで。お話を一度お聞きしてみたく」
「何か、入れる時に工夫をなさっておいでで?」
ずずい、と迫ってくる四人の侍女達にさすがのルイスもわずかに顔を引きつりながら、半歩後ろに下がった。そしてその半歩分、侍女達が迫るという地獄のような、見る人によっては羨ましいような、そんな状況に追い込まれたルイスは視線を大きく動かしながら答えた。
「……別に、とくに、何も」
「それでは茶葉に何か秘密でも?」
さらにもう一歩、アリッサが距離を詰めてきた。
背後は壁。前面、左右には侍女達。ルイスが静に、無言で視線を向けてくるのを見ていると、静は妙に放置してみたくなってしまった。とは言え、それで紅茶を二度と味わえなくなる可能性だったあることをすぐに予測し、静はようやく口を開いた。
「ルイスが入れてくれる紅茶、たぶん茶葉変えているよね。ほぼ毎回」
「……そうなのですか?」
迫るリーリアから急いで顔をそむけたルイスに、静はほんの少しだけ同情したが、これはこれで愉快なので後は黙って眺めることにした。真咲が軽く袖を引いて、良いのかと無言で問いかけてくるが勿論放置だと、無言で笑顔を浮かべた。
「ルイス様?」
「……多少、私の方で他の茶葉やハーブをブレンドしたものをお出ししています」
「何故黙って行っていたのです?」
「話すようなことではないと、思っていたので」
「はい?」
「……申し訳ありません」
「それは一体何に対してでございましょう?」
普段からは見ることが出来ない二人のやり取りをまだ見ていたくはあった。とは言え、一目は多いし、後で面倒なことになりかねないと静は思い、残りの茶を飲み干した。
「リーリア。ほら、そこまでにしてやってよ。ごめん、ルイス。おかわりもらっても良い?」
「はい、ただいま」
「静様……! ルイス様に甘いのではないですか」
「そうかな?」
これ幸いとルイスが逃げ出し、リーリアが小さく頬を膨らました。静はリーリアの可愛い反応を目にしつつ、紅茶を注ぎ入れてくれるルイスを見上げだ。
「今日はハーブ強め?」
「はい。庭園でとれたものを使用させていただいております」
「そうなんだ。いいねぇ」
「……料理ではそうでもないようですが、花や甘い香りよりも、ハーブのようなものが好まれるのですか?」
「どうだろ……? 香辛料が強いものはあんまりだけど、あの庭園のハーブの香りは結構好みだったかなぁ。だから結構好きな方かも」
ルイスからの問に、静は小さく首を傾げた。
最初から静はハーブの香りが好きだったわけではない。というより、知らなかった方が正しい。
この世界へ来て初めて知ったハーブのあのすっきりとしながら、心を落ち着かせてくれるような甘さの薄い香り。人によっては物足りないものがあるかもしれないが、強い香りが苦手な静にとっては丁度良いものだった。
「そうなのね。もしかして香水は苦手だったりするの?」
「気持ち悪くなるのが多いから駄目だねぇ。奈緒は好きなの?」
「物によるけど、比較的にはそうね。後は瓶が綺麗だからいくつか持っているわ。二人はどうなの?」
大人な女性の印象を抱かせる奈緒はその通り、香水を使っているらしい。別に大人だからというものではないだろうが、静の中では香水は大人が使うものとしての印象が強かった。
そしてまだ未成年の二人は揃って首を横に振った。
「香水分かんなぁい」
「ぶっちゃけ苦手。無理無理。あたしも静と同じかも。これ結構好き」
静の勝手な印象ではあったが、やはり伊織は持っていないらしい。というより、あれほど虫や爬虫類に夢中になって外にいるのだ、まず思いつかない。
ただ真咲が持っていないのは案外意外なところではあったし、まさか好みが似ているとは思わなかった。たからか、本日のルイスが入れてくれた紅茶はずいぶんと気に入ってくれたようだった。
静はルイスへ視線を向けなかったが、真咲がそう言った瞬間、こそこそと声が聞こえてきた。
「失礼、ルイス様。後でこちらの茶葉についてお教えください」
「……しかし」
「お教えください」
「はい」
この声は真咲付きの侍女、アリッサの声だった。有無を言わせぬ何かを察知したルイスは素直に返事をしていた。
なんて今日は不憫なのか。もしくは今日、自分の侍従は女難の相でも出ていたのか。上の方からルイスの視線がぐさりと刺さっている静はどの話題を変えようかと思い、ふとそれが頭の片隅から出てきた。
「そういえばさ、ルイス。少し聞きたい事があるんだけど」
「はい」
「その、漆黒って結局何? ルイスが所属している……騎士隊ってことだとは勝手に思っているんだけど」
そのうちに聞こう聞こうと思っていたが、気づけば今の今まで引っ張ってしまっていた。
今更ながらに聞けば、ルイスはむしろ説明をしていなかったことに気づいたようで、簡潔に答えてくれた。
「我々が身にまとう色は国、もしくは神に仕えていることを示す色になります。神に仕える神殿は紫紺。故に静様含め、ここにいる者達はそれに近しい色を身にまといます」
「ああ、だからか」
「はい。王城にいる高官や、国の政に深く関わる者達は純白。その下に仕える文官や、侍従、侍女と言った者達は深緑。王立開発局に務める者や、医療に携わる者達は青藍。そして騎士は二通り。国の要の守護であり、主な戦力である深紅。そして我々漆黒は、静様が見た通り、潜入等々、表だって行うことが出来ないなものを行います」
純白。深緑。青藍。深紅。漆黒。紫紺。それらが一堂に介した時の光景は、壮観で美しいものだろうとと静は頭の片隅でそっと思い浮かべた。
「分かりやすいわね。ん? じゃあ王族の色ってあるのかしら?」
「黄金になります。ヴィンセント様を見れば一目で分かるかと」
ああ、と静達四人はそろって納得してしまった。
薄地の紫の衣を常に身にまとっていることもあってか、男性にしては少々長い金糸のような美しい黄金の髪が良く映えていた。さらにあの琥珀は、見ようによっては黄金のそれと見間違うばかりに強い光を持っており、まさしく王族の血縁ではあったが、もしそうでなくとも初対面で王族の一人と言われれば疑う余地もなく納得してしまう風貌と、雰囲気を持っていた。
「キンキラキンだもんね、ヴィンセントって」
「伊織にはそう見えてるの?」
「すっごいキラキラしてる。けどお腹痛いせいで時々キラキラがないからすっごく分かりやすい。なんていうかぁ……キラキラが、ほんやり光っている感じ」
「それ、本人にも言わない方が良いし、ここだけの秘密にしときましょ。ね、皆」
ヴィンセントは必死にそれを隠しているし、一見しても体調のことは分からないが、伊織の目を前にしてはそれも無駄だということだ。しかもそんなに分かりやすく見えていたなんて誰もが思わず、彼の尊厳の為に口を閉ざすことに誰もが異を唱えなかった。
「……そういえば。だけど」
「どうしたの、真咲」
「今更って言うか、大したことがないって言えば大したことがないのかもしれないけど」
「とりあえず聞いとけばいいと思うよ」
「そうね」
今ならばおかしなことを聞いても問題ないだろう。なんせ異世界からの住人だ、知らなくて当然なことが多すぎるのだ。
手に持っていたカップを戻しながら真咲は何かを思い出すかのように空色をくるりと上に向けた。
「こっち来てからなんだけど。ほら、あたしって城下町に落ちたじゃない?」
「そうらしいね」
「それで、あっちでの会話っていうか。名前教えてもらったりとかしていた時に、名字まで名乗っていたのよ。けど、この神殿に来てから皆名前だけだったから何でだろうって思って」
「ああ、そう言えばそうね。開発局にいた時なんか、フルネームで怒鳴りながら呼んでいる人がいたわ。だから無いわけじゃないのは分かっていたけど……」
「どういう状況よ、それ」
「開発していたものが爆発したのよ。それで掃除する場所が増えて大変だったわ」
きっとその話で重要なのは爆発したことについてだろうが、今それを聞いては話が逸れてしまう。
とても気になることではあったが、静達は目配せをして今はそれについて触れることはせずに、ルイスに視線を向けた。
爆発という言葉に何かしら反応を見せるものかと思ったがルイスといえば、特に何も反応を見せることなく、むしろああよくあるよなと言わんばかりに納得しているそぶりを見せなつつ答えてくれた。
「神殿においての話になりますが。ここでは身分の差異を極力無くすため、しかるべき場所以外では家名を名乗らないようにしております。また、聖女である皆様に対しても同様です。ですが、王城、もしくはおそらく他貴族が主催する夜会等々にご出席なさる場合、礼儀作法の観点から名乗られるかと思いますが、とくにお気になさらなくて良いかと」
「家名で身分が分かる場合があるのね。それなら仕方がないことだわ」
「へぇ、そういうものなのね。あれ? じゃああたし達は?」
「名前だけで良いんじゃないかしら。それにほら、私達の場合、名前と名字をひっくり返さないといけないし。もしかしてだけど……」
「そういうの面倒だったから名前だけにしたわよ」
結局のところ、ここに来てから誰もが名前だけを名乗っているのだ。そう言った事情はあれど、少しでも楽な方を取りたいと思うのは仕方がない。
「さて、休憩終わり! 静、もう一戦よ」
「良いよ」
話が一段落ついたところで、真咲が遊戯盤に駒を並べ始める。もうしばらくは逃げられそうにないと予感した静は大人しく頷き、自軍の駒に手を伸ばした。
コツ、コツ。コツン。
「あ」
「や、やったぁ! 静に勝ったわ!」
「うーん、ミスった。なんか悔しい」
「ふふんっ、どうよ!」
あれから一戦、ではなく二戦目にしてようやく静に勝鬨を上げた真咲が胸を反らしているのを見て、静は流石に疲労を感じてつい、思ったことをそのままに笑顔で返した。
「じゃあ次は拳で」
「これで勝てないからって別で勝とうとするの止めてくれない?」
「だって負けるの悔しいし?」
「あたしに何回も勝ったくせに何言っているのよ」
確かにそうだが、さて何回勝っただろうかと思い出そうとするも、さすがに疲れすぎたせいでそれすら億劫になってきた。
頭を酷使しすぎたせいか、少し眠たいし、目も疲れてきた。それと決して言わなかったが若干飽きてきたから誰かに代わってもらおう。と静は振り向きかけ、扉の外から少し騒がしい音が聞こえてきた。
かと、思えば、何とも重そうな扉が勢いよく開け放たれたのである。
「ルイス!」
「騒がしいので静かに扉を開けていただけませんか、ヴィンセント様」
「お前、やってくれたな!」
「話は早い方がよろしいかと思ったのですが」
「そっ……いや、その前にだな!」
騒がしい音をたてている張本人、ヴィンセントはいつも整えられている黄金の髪を少し見出し、走ってきたのか若干肩で息をしているように見えた。
そして何かをしたらしいルイスは涼しい顔のままだ。むしろこれを待っていたかのように、手元の茶器やらを簡単に片づけている。
「おい、静。そいつ借りるぞ」
「あ、うん。え、何したの」
いきなり扉を開けはしたが、さすがに中には入らずにいるヴィンセントに理由を問うが、口を堅く結ぶだけだった。
静はルイスに視線を向けるも、ルイスもまた答えずに胸元に手を置く仕草をするだけだった。
「話を少しばかり。ご安心ください」
「その割にはヴィンセント、結構怒ってない?」
「そうでしょうね。申し訳ありませんが、少し離れます」
「あ、うん。いってらっしゃい」
すぐ戻ってくるつもりでいるらしいルイスに、静は素直に頷いた。が、ルイスはほんのわずかに顔をしかめるような反応を一瞬だけ見せた。何故にその反応をしたのか分からなかったが、妙に視線を突き刺してくるヴィンセントの方が気になり、そちらをまた見やり、静は銀の瞳を細めた。
「……お前」
「何」
「苦労しているな」
「さっさとルイス連れてけ」
そしてこちらを見るな。
静はもうこんな服装はしないと心から誓った。たぶん無駄であろうが。
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