価値観
最初はシオンとレトンが纏っている重苦しい雰囲気を前に、玲香が萎縮しちゃっていたのだが……。
「……なるほど、魔王に二人の好きな人が攫われちゃったのか」
「えぇ、そうなんですわ」
「……そうなんですよ。本当に、あの時にティエラを助けられなかった自分を呪うばかりです」
「それは悔しいわよねー、私だったら、頭がおかしくなっちゃうよ」
既にもう、その三人はリトスを置き去りにするくらいのレベルで打ち解け合っていた。
おそらく、何かが嵌まったのだろう。三人の中で。
びっくりするほどに早く、びっくりするほどの相性の良さでもって、友人にんっていた。
「ますます、私たちが強くなって魔王と戦えるようにする必要があるわね」
「えぇ、ですから、私たちは期待しているんですわ」
「私も、シオン様も、一人で状況を変えられるようなタイプじゃありませんからね」
「それは歯がゆいわねぇ……それなら、ちゃんと仲良くしててね?私なら、遠慮なく恋敵は殺すけど……今回はそうも言っていられない状況なんでしょ?いきなり仲間割れ、ってのは辞めて欲しいわね」
「それは常に思っていますけど、敵が敵。ティエラが一番ですわ。自分如きを大事にしている場合じゃないですの」
「ティエラ様を助けるのにシオン様のお力は必要ですから」
「そうはっきりと言ってくれるのなら、ある程度は安心できるかな?流石に背後でドンパチやっている中で何かをするのは中々に厳しいからね」
恋敵を殺す、殺さない。
そんな話を三人は明るく、さも当然のようなノリで盛り上がっていた。
「……おっそろしい話しているわねー」
危険な状態ではなければ、恋敵を殺しにいくことさえも当然としているその三人の価値観を前に、一歩離れたところで話を聞いていたリトスは苦笑を浮かべる。
「よしっ!それじゃあ、休憩はこの辺りにして、私の修業を再開しましょうか!出来るだけ早く、強くならないとねっ!」
そんな中で、玲香は修行への意欲を再び、みなぎらせていくのだった。
自分の愛する人を探すと共に、仲良くなった二人の友だちの為に。
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