恋
この場に現れたシオンとレトン。
「……ッ!?」
その二人が醸し出している雰囲気を前に、玲香が息を飲む。
今のシオンとレトンが醸し出している雰囲気は殺伐としていた、常に周りへと殺意を振りまいているような状態だった。
常に、鬼気迫り、表情は常に硬い。
「それでですわ……リトス。そちらの方が魔王討伐の為に召喚された方の一人ですこと?」
「そうね。この子が今回の勇者召喚によって召喚された人物の一人よ」
「……へぇ、そうですの」
「そうなんですか」
「……ッ!?」
シオンとレトンは玲香へと冷たい視線を送り、それを浴びる玲香は体を硬直させる。
「それで?私に何を求めているんですか?その姿を見るにちゃんと戦っていそうな感じじゃないですか?私がどう役立てばいいのでしょうか?」
「少し、ティエラと似ているのよね、この子は」
「「……ァ?」」
「戦闘適性がね。多くのものを使えそうなのよねぇー。だから、回復魔法を教えて欲しいのよ」
「あぁ……なるほど。そういうことですか。納得できました。それにしても、魔法と剣を使えた上で、本当に回復魔法を使えるのでしたら、かなり将来有望ですね。中々、期待できます」
「でしたら、私は何ですの?魔法分野であれば、リトスで十分じゃないですの?」
「シオンは何か、アドバイスがしやすいかと思ってね。私は魔法剣士なんていう……そうね、器用富豪と呼べるような人物の強さ、戦い方についてほとんど知らないもの」
「……なるほどですわ」
何故、自分たちが呼ばれたのか。
それについての説明を受け、シオンとレトンが頷いていた中で。
「あの……」
最初はシオンとレトンの二人の雰囲気に大きく気圧されていた玲香が、その二人の方に声をかける。
「二人は好きな人がいるんですね。それも、同じ人を好きになっちゃったんですね」
「へぁっ!?」
「……?」
だがしかし、玲香は恋する乙女であり、それがもつ直感は世界一だった。
既に体の硬直を和らげさせている玲香は、二人へと声をかけるのだった。
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