脅し

 自分たちの前にいる魔王。

 その威圧感はは想像を絶するようなものだった。


「私を差し置いて、ずいぶんと楽しそうなことをしていたのだな。項羽」


「い、いや……」


 それを前にしては、項羽とてタジタジである。


「お前は張良の元にでも行くと良い。あ奴の実験体にでもなってこい」


「げぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」


 そして、項羽は魔王の言葉に嫌そうな声を上げる。


「何だ?お前は私の言うことに逆らうのか?」


「い、いえ……そういうわけでは、ないのですが」


「では」


「……」


 魔王の言葉に項羽は逆らえない。

 とぼとぼと肩を落とし、その姿を何処かへと向けていった……その、張良というものはそこまで嫌なやつなのだろうか?マッドサイエンティストなのかな?


「さて、ティエラよ」


「……何?」


 視線が僕の方へと向く中で、魔王の言葉に対して棘を残した言葉を返す。


「そう邪険にするでない。悲しくなるぞ?私は別にお前と敵対しようと思っているわけではない」


「人類社会の敵だろう?」


「お前が素直に私と仲良くしてくれるのであれば、もはや、人類社会と戦う必要もないとも」


「……?」


 待って?それは色々と変わってくるよ?

 ゲームと、何もかもが違ってくる……僕は、ただのモブだぞっ!?何故、魔王に目をつけられるような重要人物になっているんだ。

 あくまで、ここはゲームに近い別世界か……ッ。

 それとも、本来は次作があって、その世界観もごちゃ混ぜになっているのか。

 どちらせよ、僕が楽しいことにはならないだろう。


「どうだ?私と仲良くはしないか?今、我が軍勢が人類社会へと攻撃を仕掛け、戦えば勝てるとは思えないだろう?」


「……そんな、脅すような真似をして楽しい?」


「そ、そんな意地悪なことを話さないでくれ。我々の事情も後で話す。それを聞けば、こちらのことも納得してくれるだろう。私はティエラと友好的な関係を築いていたかったのだ。無理、だろうか?」


「今の自分は捕虜と何ら変わらない状態なので。何も言えることはないですよ」


「……今はそれでいい。満足しよう。それでは、部屋の方に戻ろう。色々と、放したいこともあるのでな」


「えぇ」


 事情を、向こう側から話してくれるのであればありがたい。

 どうせ、今の僕の状況としては八方塞がり。助けを待つことしかできない身。大人しく従っておくのが一番だろうからね。


「では、行こうか」


「……」


 僕は素直に魔王の言葉へと頷き、そのまま彼女に従って自分が起きたあの、趣味の悪い部屋へと向かって行くのだった。


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