戦力

 大地の上で踊っている大量の触手たち。


「行くぞっ!ジャーダっ!ティエラっ!」


 それを前にして、まず真っ先に突撃していくのはインターリだった。


「もちろん……っ!魔力の回収もしないといけないからね」


「おうよっ!」


 そして、それに僕とジャーダの方も追従していく。


「皆さんは後ろに控えておいてください!」


 ただ、その前に僕は後ろに視線を向けて指示を一つ。


「騎士団の皆さんの、まずは教会の人たちの護衛をお願いしますっ!」


 現在、空には僕が魔法で浮かべている教会関係者。

 それと、リベロオール男爵閣下の命を受けて街に残っているこの街の騎士団の中でも精鋭、自分で飛行魔法も展開することが出来ている数人の騎士だ。

 本当はここに国の方から派遣される騎士の皆さんも加わる予定だったんだけど……残念ながら、まだ到着していなかった。

 今、いない戦力を当てにしてもどうしようもない。

 まともに前へと出れるのは僕たち三人。

 それと、後ろからの攻撃係としてはシオンとリトス。回復と支援はレトン並びに教会関係者の全員だ……あまりにも回復に戦力が寄っているが、これも受け入れるほかない。

 教会関係者の方でも攻撃手段を持っている人はいるだろうしね。


「前線は自分たち三人におまかせを!」


 前は僕たち三人。

 護衛は騎士。

 後衛はその他、全員。

 そうなるようお願いした僕は自分の持つ力をフルで解放し、触手の方に突っ込んでいく。


「よっと!」


 大地で荒れ狂う触手の方に向かっていく僕へと大量の触手が迫ってくるのだが、それを僕は一蹴。

 全てを軽く斬り捨ててみせる。

 触手はやはり、そこまでの脅威じゃない。

 僕の一刀で全然斬り裂けるし、帰ってくる攻撃もそこまでのものじゃない。


「……随分と再生速度の速いことで」


 ただ、再生速度は異次元だ。

 斬った端から再生していき、どうなれば終わるのか、それはあまり見えなかった。

 そういえば、今回の勝利条件は何なんだろうか……?

 肝心なことを聞き忘れていたことに気づいた僕はその視線をエルピスさんの方に向ける。


「……」


 僕から視線を向けられたことに気づいたエルピスさんは、苦渋の色を浮かべる表情で首を横に振る。


「……なるほど」


 勝利条件を見つけるのもセットなのね。


「ハァァァァァァアアアアアアアアアアアアアッ!」


「おらぁっ!!!再生出来なくなるぐらいまでフルボッコにしてやるぜぇっ!」


 インターリとジャーダは圧倒的な攻撃速度で触手へと攻撃を仕掛けていき、多くを消し炭にしていっている。


「……」


「多いわね……っ!まったく!」

 

 そして、シオンとリトスは上空の方から大量の魔法を発動し、より多くの触手を消し炭にしている。

 その他にも、多くの人がデバフの魔法だったり、バフの魔法をだったりを発動させ、この場にいるすべての人が触手と戦っていた。


「……どうするか」


 そんな中で、僕はこれからどうしようか、どう勝利するか。

 頭を悩ませるのだった。

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