ばち当て
僕の言葉に頷いてくれたレビスタがこの部屋から退出してくれた後。
「それでは、三人だけとなりましたが……これからどうするんですか?」
話をリベロオール男爵閣下の方へと振る。
「まずはスムーズな協力を感謝させていただきます」
それを受け、リベロオール男爵閣下の方は明らかに態度を変え、立ち上がりながら深々と頭を下げる。
「ここからは完全な私の妄想となりますが、少し、お話をよろしいでしょうか?」
「構いませんよ」
そして、その態勢のまま言葉を話し始めたリベロオール男爵閣下へと困惑の感情を抱きながらも、僕は表情を崩さないまま頷く。
「まずは、そこにおられるのはアルケー王国の元、公爵令嬢であるシオン様でお間違いないでしょうか?」
「「……ッ」」
……嘘、知っているんだ。
これはちょっと、話がだいぶ変わってくるよ?」
「先ほどのティエラ様の発言になりますが、王族とはインターリ様ことで、聖女様というのはレトン様のことですね?おそらくはシオン様経由で、冒険者として昔より活躍しておられましたティエラ様ともお会いになられたのですね」
「……」
これは、これは。
「何処でお会いしたのかはわかりませんが、お会いになられて問題になっていないということは、しっかりと関係改善もされたのでしょう。喧嘩別れで、ウソをつかないように注意しての発言をする方が行うとは思えませんし。となれば、素直にお二方はあの方々へのコネクションがあると考えることも出来ます。もしかすると、実はもう既にシオン様におられましては、国に帰ることまで出来るのではないですか?」
ほとんど、あっているじゃないか。
うそでしょ……?インターリたちは迷宮都市アネッロにいた間、自分の正体を悟られないようにするため、認知を歪める魔道具を持っていたはずなのに。
僕は己の原作知識がゆえのことを、自分の魔法で貫通できそうだった上に、シオンとも知り合いだったから、で乗り切ったけど……他の人はそうじゃないはず。なのに、何故?
「……あっていますわ。私の方は、もう既に自家の方に戻れますの。あれをやりすぎだったという判断で済ますという話は一応来ていますわ」
「えっ!?」
待って!?それは聞いていないよっ!?
「これらを踏まえた上で言っておきたいのですが、別に私はスパイ等ではないのでご安心ください。正直に言いますと……まさか、そこまで合っているとは思っていませんでした。自分としてはあえて話を少しだけ外し、油断していただく予定だったわけでありまして。ティエラ様に関しては少々有名なところもありますので」
「……なるほど、そういう事情でしたか」
色々と世界中回って、色々なことをやっている僕がちょっと有名になるのもわかる。
冒険者の中じゃ、割と知名度はある方だと思う。直近ではあるけど、迷宮都市アネッロとかじゃ信じられないくらい目立ったし。
いや、うーん。実は迷宮都市アネッロでのことを、インターリたちも含めて知られていたのかな?
「……」
んにゃ、ここで考えるべきはそこじゃないな。
想定外のことをしてくれた目の前の人物を前に、僕がどういう対応を取ればいいのかが最優先だ。
「貴方が私たちの事情に詳しいことはわかりました。その上で、何を?」
「どうか、我々に協力してほしいのです。我が領地を救うこと。それが私の願いにございます」
「……うみゅ」
何とも言えない答えが返ってきた僕は思わず変な答えを返してしまった。
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