攻撃
キメラを引き付けながら森を超え、迷宮都市アネッロへと向かっていく僕たち。
「……そろそろか」
数分ほど移動して森林を抜け、街までの平原を走っている最中で僕は止まる。
「この辺りなら、街の監視塔の方からもギリギリ見えると思う!戦闘の余波が街にまで波及しないよう、ここで戦おうかっ!」
そして、そのまま急展開。
魔剣グリムを構えて、自分たちを追いかけてきていたキメラの顔面に向かって剣を振るう。
「ガァァァァァァッ!?」
いきなりの切り替えしからの攻撃。
それにキメラは反応できず、自分の攻撃を食らう。
僕が狙ったのはキメラの片目だ。右目に剣を突き刺し、そのままぐりぐり。右目を確実に潰してやる。
「しゃぁぁぁぁぁぁっ!」
そんな僕へとキメラの蛇の頭を持った尻尾が迫ってくる。
それに対して、迷いなく魔剣グリムを向けたのだが。
「かってぇ」
僕の剣は蛇の尻尾に刃が入らず、軽く弾かれる。
そして、そのままの勢いで迫ってくる蛇の口を体を捻ることでギリギリ回避する。
「ガァっ!」
「ちぃっ!」
そんな僕を狙って振るわれるキメラの腕にもしっかりと反応して剣を構えて受け止める。
「ぐっ……!」
キメラの重たい体重が加わった一撃。
それを受け止める僕は苦悶の声を漏らしながら地面にまで押され、足を陸地につける。
「ふぅー」
足を地面につけたことによってある程度踏ん張れるようになった僕は上から押さえつけられるようなキメラの攻撃に耐えていく。
重い。だが、僕はその場で耐えていく。
「ガァァァッ!?」
そして、キメラの悲鳴が聞こえてくると共に、自分を抑えるつけるような圧力が弱くなったことを敏感に感じ取って、強引にその上をはじき返す。
それから地面を蹴って、再び空へと上がっていく僕が見えたのは魔法を食らって悶え苦しんでいるキメラの姿だった。
「助かった!」
キメラに向かって魔法を放ち、僕への圧力を軽くしてくれたシオンとリトスの二人へとお礼の言葉を口にする。
「今、治しますっ!」
「レトンもっ!」
そして、地面へと叩きつけられて際に痛めていた足も全快させてくれたレトンにもお礼の言葉を返す。
「先走るなよっ!」
そんな僕の隣にインターリが遅れてやってくる。
「先走っていないよ。必要なことをしただけ……インターリ。しばらくの間は僕とお前で。目の前にいるキメラの動きを封じ、後方を守らなきゃいけないけど、問題ない?」
「あるわけないだろ、僕を舐めないでほしいね。これでも僕は神童と称えられ続けた王子なのでね。こんなところで止まらないさ」
「なら、いいさ」
魔法を食らって一度はのけぞったキメラだが、すぐにその態勢を立て直している彼の前で僕とインターリは互いに剣を構える。
「ガァっ!!!」
「「……ッ!」」
そして、キメラが動いた瞬間に僕とインターリも共に動く。
二手に分かれる僕とインターリはキメラの体へと足をつけて互いに剣をその体へと突き刺して疾走。
そのキメラの体の皮を斬り裂いていく。
「しゃぁぁぁぁぁぁっ!」
そんな僕とインターリを蛇の尻尾が追ってくるが、二人で攪乱するように動いてそれらへと捕まらないようにする。
キメラはそんな僕たちに対抗するため、空へとその翼を動かして羽ばたき、そのままぐるんぐるんと回転を始める。
「……これはっ!?」
「ぐおっ!?」
それによるGがかかった僕とインターリは流石にキメラの体にへといつまでもへばりついていることは出来ずに落とされる。
「ガァァァァァァァァッ!」
僕とインターリが落ちていった後、キメラがその視線を向けたのは自分たちではなく、後ろにいる人たちだった。
「行かせないよっ!」
「行かせるわけないだろっ!」
それに対して、僕とインターリは共にキメラの鼻先へと立って、そのまま剣を振りつける。
自分の背後に結界を展開して足場とし、全力でキメラの突進を止めようと踏ん張り続ける。
「「はぁぁぁぁぁぁああああああああああああっ!」」
僕とインターリが共に全力で尽くして、後ろにいる三人の元へとキメラが襲い掛からないよう、死力を尽くす───だが。
「ぐっ!?」
「ぁぁっ!?」
それでも、圧倒的な巨体であるキメラの突進は強く、僕とインターリは二人して弾き飛ばされる。
足場に使っていた結界は粉々となっていた。
「まずっっ!」
だが、ここまで来ても僕は諦めず、弾き飛ばされながらも手を伸ばしてキメラのひげを掴むことで何とか彼の突進を少しでも遅らせようと奮起する。
そんな時だった。
「「「敵を縛れっ!」」」
地面から色とりどりの、魔法によって作られた鎖が伸びてキメラの体を絡めとったのは。
「……ッ!」
動くを止めたキメラに執念でしがみついていた僕が視線を後ろの方に向けると。
「おめぇらっ!大物だァっ狩り尽くすぞぉ!!!」
「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!」」」
僕とインターリよりも後ろにいたシオンたち三人よりも更に後ろから、何とも頼もしいダンジョンで鍛えられあげられた冒険者たちが集団となってやってきていた。
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