移動
リトスにシオンのことは任せ、僕はインターリと共にレトンを連れ去った者たちの元へと向かっていた。
幸いなことに、インターリたちのパーティーそのものが位置を共有する特殊な魔道具を全員持っていたおかげで、レトンの位置を探るのに困ることはなかった。
そんな移動の最中。
「ちょっと僕は色々あって、街の様子を見ていたわけじゃないんだけど、何があったの?」
「いや、僕のほうもほとんどわからないぞ?」
僕はインターリへと今回、何が起こったのか。
そのことの顛末を聞いていた。
「少しでもいいから情報が欲しいのさ」
「あー、えっとだな……本当に、突然攻撃を受けたんだ。いきなり現れた一団からの攻撃を食らい、街がいきなり炎上し始めた。本当に突然で、最初は僕たちの方も何が起こったのかわからなかったよ。それでも、確か、その時に僕たちはこれからダンジョンに行こうとして完全武装を終えているときだったから、すぐに動けたんだ」
「うん」
「それで、僕たちは街で救助活動をしながら、街へと攻撃を仕掛けている人と魔物が混ざったような奴ら……伝記上に出てくるような魔族と戦ったわけだ。その間に自然と僕たちの互いの距離は離れ、ジャーダは完全に何処かへと走り去り、リトスの方は魔族との戦いで足を止めた」
「うん」
「残った僕とレトンの方もいつの間にか、そこそこ距離が離れていて……ちょうど、傷の手当てをしていたレトンが魔族に攫われたんだよ。僕もすぐに気づいて追おうとしたんだが、そんな自分の前に立ちふさがったのが項羽だったわけだ」
「……なるほどね」
相手が項羽だったら、どうしようもないだろう。
それにしても、口惜しいな……本当に、あと少し、あそこから出るのが早ければレトンを助けられた可能性があったわけか。
いや、それでもそもそも、あの場に軟禁状態となっていなければ、ダンジョンに行っていた可能性が高い。
それを考えると、結果的には良かったというべきか。
それに、今こうして助けにいけているわけだからね。
「問題は、これから僕たちの向かう場所に項羽のような奴がいるか、どうかだな」
とはいえ、レトンが連れ去れていたその先に項羽のような奴がいればゲームオーバーである。
項羽を退けることが出来たのは彼が本調子ではなかったことと、たまたま戦闘の相性が良かったからである。
他の面々が出張ってこられたら、ちょっとどうしようもなかったかもしれない……まだ、他の面々は自由に動ける状態にないと信じたい、信じることしかできないしね。
一応、ゲームの設定上において魔族たちは今、魔王が勇者に敗れた影響で本調子に戻れない、どころかまだ眠っているような状況だったはずだ。
それが項羽以外にはまだ効いていると思いたい。
「まぁ、だとしても当然のようにレトンを助けるのだから、関係ないがな」
「ん、まぁ、そうだね」
これで項羽のような奴がいるかもしれないからと足を止め、その結果的に魔王が復活したとなればもう目も当てられない。
魔王は強力な魔族の中でも次元が違うからね。
この段階で復活されてしまえば、もう終わりだ。死ぬしかない。
だから、どうせ、行くしかない。それは変わらないのだから、ここで考えていても仕方ないだろう。
「……ここか」
「こんなところに、古城なんてあったのか」
なんてことを話している間に、僕とインターリはレトンが連れ去れたであろう先。
自分たちが進んでいた森の奥深くにある古城へとやってきたのだった。
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