才能の芽 5話

後日ミラー姫は、自分の部屋にこっそり隠し持っていた兵士が訓練する時に使う木剣をロッカーから取り出し。

近くで寝ているバレイをゆすって起こす。

なんです? バレイは目をこすりながら寝起きの掠れ声で訊く。


ミラー姫「ねぇ、剣術教えてよ」


バレイ「ですが母上様にヨガ以外の運動を禁じられているのでは?」


ミラー姫「いいじゃん、最近太ってきてるし、ヨガだけじゃ痩せないし健康に悪いよ」


バレイ「確かにそうですね」


ミラー姫「こっそりさ、やろうよこっそり、私知ってるのよ城の庭のさ、ほぼ誰も来ない場所…そこでちゃちゃっと…」


バレイ「ミラー様、変なことしないで下さいよ、いくら男と関わりないからって」と体を守るように両腕をクロスして肩を掴んだ。


ミラー姫「やるかバカ垂れ」


二人は移動する。


バレイ「へぇ、体感裏みたいな所ですね」


ミラー姫「でしょでしょいいでしょ、ここ、声大きいとバレちゃうから、音立てないでねあんまり」


バレイ「やっぱりミラー様、そっちの…初キスは取らないで下さいね…」目薬をさして、嘘の涙を流す。


ミラー姫「次茶化したらぶん殴る…!」


バレイ「こわ〜い、パワハラだパワハラ、労基に訴えた〜い」


ミラー姫「ねぇ〜ほんとにお願い!強くなりたいの!バレイみたいに!」


バレイ「…まぁ、護身にもなりますし、剣を覚えるのもいいかもしれませんね」


ミラー姫(チョロい)


バレイ「まぁ、まずミラー様のセンスを見るので、倒す気でその木の剣で殴りかかって下さい、私を露出狂の変態だと思って」


ミラー姫は声を出さずに悲鳴のジェスチャーをする。


バレイ「いや、そういう事じゃないです」


しばらくして仕切り直し、二人は構える。


ミラー姫「ほんとにいいの?」


バレイ「怖いですか?」


ミラー姫「うん…」


バレイ「私は攻撃しないので安心して下さい」(構えがひっぺり腰じゃない…うん…センスあるかも)


ミラー姫(大丈夫、バレイが戦ってる所何度も見てきた、ドラゴンを一撃で倒しちゃうやつだもん、よし!)


とミラー姫はバレイに木剣で殴りかかる。

が済ました顔で余裕で受け止めるバレイ。


バレイ(本当に初心者かよ…)「動きを止めないで、打ち込んできて」


ミラー姫は自身が打ち込んだ一撃で緊張が解けたのか、止まらずに連撃。


バレイ「私に一撃でも当てれば一人前、いや百人前ですよ」と平然の攻撃を受け流し、交わしながら喋る。


数十発剣撃を打ち込んだか、ミラー姫の剣速が上がる。

バレイ(形になってきている…というか、私の動きに似ている…もしかして、私の戦いを見ただけで…やっぱり、一族で王になった男の娘なだけはあるな…)



すると更に姫の剣速は上がる。

バレイ(やべ、当たる…!)

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