第72話 おにぃちゃんダメだよ

「お風呂のサイズはこんな感じ!」


「一緒にギリギリ入れる感じだな。」


「うふ~。おっぱい当ててもいい?」


「好きにしろ。」


2人で湯船に浸かる。また今日も疲れた。

悪行ポイントはかなりたまってはいるがまだまだなんだろう。死者蘇生はハードルが高いからな。


「ねー、カオル」


「なんだ?」


「あの女さ」


「サキか」


「あの女何回も何回も何回も何回も何回もカオルいなくなれって言ってない?なのにずっとくるじゃん。何なの?」


「心配してるらしいぞ。俺が急に活発的になったから。」


「それで?だからか。けどカオルのことアイツは好きだよ。」


「知らね」


「えへへ。だよね。私がいるもんね。」


「あぁ、アイツじゃダメだ。」


「アイツじゃ悪には染まれないからでしょ?」


「染まれないから。その通りだな。悪には染まれないし止めてくるから。アイツは。だから遠ざける。」


「後大切なんでしょ?」


「あ?」


「私には分かるよ。アイツがいた時のカオルの記憶は色鮮やか、けど今のカオルに触れれば全てその記憶が汚されていく。でしょ?汚されていく汚されていく、アイツとともに。そしてそれはリンちゃんの思い出と共に、真っ黒に染まっていく。それが怖いんでしょ?」


「……………」


「カオルにまだ微かに残る人間がそれを消したくないと思ってるんでしょ?だから遠ざけた。だからあの女とは関わりたくない。でしょ?」


「メンタリストかよ。」


「えへへ。カオルのことならお見通しだよ。」


そうだ。サキとの記憶にはリンがついてくる。アイツと喋るとリンも思い出す。あの正義感いっぱいだったリンのことを。


おにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよおにぃちゃんダメだよ


ごめんな。リン。悪いおにぃちゃんで。

でも悪くてもお前だけは生きて戻すから。

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