第64話 どんなニンゲンでも
「はい、水」
ハナからペットボトルの水をもらう。カラカラの喉に潤いが。
「はぁ、はぁ、はぁ、何時間だ。」
「え?」
「何時間してた?」
外はもう暗い。
「5時間かな?」
「よく体力持ったわ、オレ。」
「私のためにありがと。」
頭を撫でてくるハナ。
「おかしな話だ。」
「え?」
「中だしされてるんだ。高校生でハンデをもらってるのにお前はありがとうって。」
「ハンデじゃないよ?これは一番大切なモノをもらってる。だから私のお腹が膨らんだら喜んでね?」
そう言いながらキスをする。何度目のキスか分からない。
「腹減った。」
「私疲れたからコンビニにしよ?」
「じゃあ行ってく」
「待って。」
スッと立ち上がったハナは何かを取り出した。
「何じゃそれ?」
「スウェット。お揃いの。」
「だから?」
「これ着ていこ。」
「コンビニだぞ?」
「コンビニだからスウェットなんじゃん?」
「まぁ、確かにそうか。」
「よし。着て。カオルは細いからこれピッタリだと思うよ?」
「ストーキングしてたやつの言葉だ。正しいだろ。」
「だね!ピッタリだよ!絶対!」
その通りピッタリだった。
「お揃い!ね、ね?写真撮ろ?」
「は?」
「写真!待ち受けにする!」
「あ、そう。」
「こっち向いて。はいチーズ!よし!オッケー!あ、ちゃんとカオルにもあげるから待ち受けにしてね?お揃いにしよ?」
「お揃いばっかりだな。」
「だって彼女と彼氏だよ?お揃いじゃないといつも一緒じゃないと意味ないでしょ?そして隠し事も無しでいかないといけないでしょ?ね?カオル?」
「お前に隠し事は無理だな。全て筒抜けだ。」
「悪いことしたら怒るからね?あ、この悪いことは私にとっての悪いことでホントに悪いことはじゃんじゃんしていいからね?どんなニンゲンになっても私はあなたを愛するから。絶対に見捨てないから。」
その目の奥は本気だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます