第58話 鶴の
「最終ゴール地点ね。とりあえずまぁ、どうなろうがそこに行くようにするわ。」
「にしし。」
寒いのに外で立ち話。しかもハタから見たら独り言。
「中入るぞ。」
「うにゃ。」
部屋は真っ暗。当たり前だ。
「うわ、誰もいないね。」
「いないから鍵かかってんだろ?電気はつける。」
「ピか」
「何だよ?うっせぇな。おいしょっと。」
昨日まで人ん家だった場所で大の字になり横になる。
「変な感じ。」
「何が?」
「人ん家なのに俺ん家で人ん家で俺ん家なのが。」
「何その言い方。変なの。」
「変なのはお前もだろ。モモ。」
「うー。変な感じ!」
「馴れろ。」
チクタクと時間が進む音が聞こえる。
「暇だ。」
「悪行すれば?外行く?」
「行かねーよ。バカか。もう今日はする気力がないからここにいんだろ?」
「そうなんだ。残念。」
「残念じゃねーし。全く。」
風呂でも入るか?でもそんな時間でもないし。飯でもつくるか?けどそれもそんな時間じゃないし。
「なんかねーかな。」
と動画サイトを開けようとした時。
「あ、そうだ!ニンゲン!」
「何だよ?」
「メグミの秘密知りたくない?」
「は?」
「昨日言ってたじゃん。この部屋には入らないでって言ってた部屋。そこ入ろうよ?」
「ダメだろ。お前昔話知らねーの?鶴の恩返しっていうのがあって絶対に見ないでって言われてたのに見たら悪いことが起きたんだよ。それと一緒。悪いこと起こしたいの?」
「当たり前でしょ?ニンゲン自分の使命を思い出して?ニンゲンは悪いことを起こして自分の妹を助けたいんでしょ?なら悪いことを起こしてなんぼでしょ?」
「……………」
前なら受け止めていた言葉も年齢を聞いたら何か簡単には受け止めきれないんだよな。
正論をぶっかけられたけど。
まぁ、常人なら正論ではないが。
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