第51話 殴り合い
「逃げる?」
「いや、逃げる気力はハナから無い。」
「じゃあどうする?」
「来るまで待つ。」
数分後。
「お父さん、絶対違いますよ!カオルがそんなこと………」
親父と共にめんどくさいのもついてきたみたいだ。
「離せ!ヤツだけだ!ヤツ、カオルだけが取れるんだよ!金を!」
ガシャン!っと屋上の扉を開けると
「よぉ。親父。」
「カオル…………貴様…………俺の金を返」
「ちょっと!ちょっと待ってください!お父さん!」
「何だ!入ってくるんじゃない!サキ!」
サキ、余計なモノもついてきたな。
「考えてください!カオルがそんなことするわけないで」
「100万ちょいだっけ?意外と貯めてたんだな?」
「へ?カオル?」
「あざした。もらったよ。」
「貴様!」
親父は1発顔面を殴る。そして、そのまま馬乗りになって殴り続ける。
「やめて!やめてください!カオルが死んじゃう!」
「死ねばいいだろ!こんな出来損ない!俺はハナからいらないんだ!こんなヤツ!俺が欲しかったのはリンだけ………」
果物ナイフを首に突き立てる。
「お父さん!」
「やっぱりあの日、お前が死ねば良かったんだよ!お前が死ねば!お前が死ねば!」
「そんなこと始めから俺も思ってんだよ。」
「あ?」
「へ?」
「痛っ!」
蹴りあげた脚でナイフをゲットし逆に馬乗りになる。
「お前がなぁ。俺を欲してないことくらい誰でも分かるんだよ。バカでも分かるんだよ。けどそれでもお前のために、我慢して我慢して我慢して我慢しただろ?どんだけ暴言言われてもどんだけ食器を投げられてもテメェの言う通りにしてきただろうが。」
果物ナイフを目に向ける。
「リンを助けたい?なら俺に殺されてくれるか?」
「は?何を言って………」
「リンのために命捨てる、人生捨てる覚悟があんのかどうか聞いてんだよ!」
怒号にも近い叫び声。
「俺にはある。だからお前が今ここで殺されてもいいって言うなら俺は躊躇なくぶち殺す。どうする?お前はどうしたいんだよ?なぁ、答えてみろよ?」
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